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昨春から始まった新型出生前診断が開始から1年を迎えました。今後も議論が続くであろうこの診断がどのようなものであるのかということと、論点について解説します。

 

新型出生前診断とは

新型出生前診断という名称はマスコミが付けた名称で、正式名称を「無侵襲的出生前遺伝学的検査」(むしんしゅうてきしゅっせいまえいでんがくてきけんさ)と言います。「侵襲」というのは医学用語でお腹を切開したり、切除したりといった行為を言います。

つまり「無侵襲的出生前遺伝学的検査」をわかりやすく言うと、身体を傷つけることなく生まれる前の子どもの遺伝子を検査する行為、となります。母親の血液を採取することで生まれる前の赤ちゃんの遺伝子を調べ、ダウン症(※1)などの遺伝子によって引き起こされる疾患の有無を調べることができます。

 

論点は

議論になっているポイントは大きく分けて二つあります。一つは検査精度の問題です。この検査の方法ではハイリスクな方、例えば高齢出産など胎児の遺伝子異常が起きやすい人に対しては高い精度で検査ができます。それにに対して、ローリスクな方、たとえば若い妊婦に対しては精度が落ちてしまうという特徴があります。

つまり、「検査をして100%異常とは言えないのに中絶(※2)してしまっても良いのか」ということが議論になっているのです。もう一つは生命倫理に関する議論です。この議論は新型出生前診断だけでなく、中絶に関する議論では必ず登場するもので、「子どもの生命を親の意思で殺しても良いのか」「妊娠後何ヶ月から生命と呼べるのか」といった命のあり方に関する議論です。

議論が続く検査ではありますが、日本では母親からの強い要望もあり、徐々に広がり始めています。昨年の春に開始してから約7ヶ月間で約3500人の妊婦が検査を受け、そのうちの56人が異常ありと診断されました。そして、異常ありと診断された人のうち9割が中絶を選んでいます。

 

(※1)ダウン症:細胞の21番目の染色体が1本多いことにより様々な特徴が現れる。高齢出産であるほどダウン症児の出生率は高くなり、全体平均が1000人に1人であるのに対して、45歳異常の出産では30人に1人の割合でダウン症児が生まれている。

(※2)中絶:意図的に妊娠を止め、胎児を殺すこと。日本では妊娠21週目までの母親に対して中絶が法的には許されている。

[Photo by Black Photo Studio]

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