古い放送から抜け出せないローカル局、ネット配信へ進むキー局 amano_yui 2014/04/05 IT•テクノロジー, オピニオン 【読了時間:約 3分】 お昼の長寿番組が大団円を迎える 3月31日、タモリさんがMCを務めるフジテレビのお昼の長寿番組「笑っていいとも!」が幕を閉じた。最終回は、視聴率16%を記録し、打ち上げには、歴代出演者ら600人、新宿アルタ前には、多くのお客さんが集まっていたそうで、「愛され続けた番組」だったんだと改めて思った。 春の番組編成 2014年4月1日から新年度がはじまり、テレビ局各局は新しい番組の編成を行っている。よくある施策として、視聴率が悪い番組のテコ入れ、既存番組の放送時間帯の変更、新規の番組制作などがある。 今回は、春の番組編成をしたテレビ局の戦略の背景を、ローカル、キー局の構造上の違いで見ていく。 マルチチャンネルで番組の拡充 TOKYO MX、24時間マルチチャンネル化ラインナップ発表によると、従来放送されてきた競馬、株、プロ野球中継(ソフトバンクホークス主催試合)以外にも、視聴者を絞ったニーズある番組(名作アニメ、歴史ドラマ、海外ドラマ)を放送していくとある。この施策によって、TOKYO MXは、メインチャンネル(091ch)とサブチャンネル(092ch)をフル活用して多くの番組を放送可能になった。 マルチチャンネルに踏み込めないキー局 地デジ化によって、放送帯域が整理された結果、1つのテレビ局がメイン、サブ、さらにサブと同一ブランドで複合的に放送することが可能になった。この仕組みが、マルチチャンネル放送というもの。 普段、マルチチャンネルは、忘れられている存在だ。私が住んでいる千葉県でも、チバテレビ、TOKYO MXしかマルチチャンネル実施しておらず、在京キー局は行っていないのが現状だ。よって、多くの視聴者に「地デジ化は、データ放送ができるようになった、画質が綺麗になっただけじゃないか。」と不満げに思われている。 なぜ マルチチャンネルを実施出来ないかは、サブチャンネルの視聴率測定が不可能だからだ。番組を放送し、多くの視聴者を集め、視聴率という指標で広告主から莫大な広告収入を得る民放のビジネスモデルにおいて、視聴率が測定できない→広告収入が入らない→制作費に回すことができないのでは意味がない、という論理が働くからだ。 ネット配信に踏み込めないローカル局 年明け7日にもっとTVが月額制に、3月にフジテレビが、アニメ枠ノイタミナが月350円の定額見放題をスタートさせ、日本テレビが買収した新星hulu japanが、日本テレビ約70作品を配信しはじめた。いずれも、制作会社、版権、ライセンス管理会社とグループ会社で、自社で番組の著作権を持つコンテンツホルダーとしてのキー局の強みが出ている。 ローカル局は、自社の番組がごく少数、大半の番組がキー局からの提供(系列局、独立局)というビジネスゆえに、稼げる番組の本数が少なくネット配信に踏み込めない。キー局のネット配信進出で、キー局の番組を届ける地方局の存在意義を問う識者もいるほどだ。 あくまでも放送に重きをおかざるをえないTOKYO MXなどのローカル局、フジテレビ、日本テレビ、コンテンツホルダーとして変化する視聴者に歩み寄れるキー局。生き残るのはどちらだろうか。 ※画像はWikipediaより引用 【おすすめの記事】新聞の社説にはクセがある~統計学的分析でわかった「物語」と「構造」〜議員の実名割り出しは「魔女狩り」かスノーデン氏提供の報道が受賞したピューリッツァー賞とはデータで見る、本当に少年犯罪は増加しているのか Credoをフォローする @credo_mediaさんをフォロー Facebookでシェア Twitterでシェア LINEで送る はてなブックマーク