【読了時間:約 2分

 

4月11日参議院本会議で少年法改正案が可決・成立しました。今回の改正は、少年の不定期刑(※1)の上限を10年から15年に引き上げるとともにこれまではなかった下限を設けるなど、罪を犯した少年への刑罰を重くするものです。これは、少年事件の被害者遺族らの「成人と比べて罪が軽すぎる」との声を反映したものと考えられます。

 

応報刑論とは

刑法は刑罰を定めた法律ですが、そもそも何のために存在するのでしょうか。この改正には、そうした刑法の存在理由に対するひとつの考え方が表れています。それは、「人に罰を与えるのは犯罪者の悪い行いに対して、同じく悪いことを犯罪者に課すべきだからである。」という応報刑論の考え方です。

国家は、良いことをした人には幸福を、悪いことをした人には害悪を、という因果応報を社会として実現することを刑罰によって目指しています。そうすることで、合理的な判断をする人間は、犯罪により得られる利益よりも、刑罰により失うものが大きければ、罪を犯さないから、社会全体で犯罪が予防されます。こういった考え方は、刑法学において古典学派といわれる思想です。

 

近代学派とは

一方で、刑法学においては近代学派と呼ばれる考え方であります。この考え方によると「人に罰を与えるのは応報・報復ではなく、行為者の反社会的な性格を改善するためである。」と考えます。罪を犯した人は、その生まれもった資質と生まれ育った環境により、社会に対して害悪をなす性格が備わっています。

だから、国家は犯罪者に刑罰を与えることにより、その性格を矯正・教育してやらなければならない。刑罰は、社会全体から犯罪を減らすものではなく、一度罪を犯した者がもう一度罪を犯すことを防ぐものである、という考え方です。こちらの考え方からすると、刑罰は罪に対する報いではなく、罪の重大さに比例してその分大きな罰を与えると考えるのではなく、犯罪者が更生するか否かに焦点を置き、それにたる範囲で刑罰を考えます。

 

確かに裁判というものは常に社会の変化や世論、国民の意思に敏感であるのが望ましいものですが、刑法そのものの存在価値まで考え、他の在り方も知ったうえで議論した方がより深い議論ができるのではないでしょうか。

 

(※1)不定期刑:あらかじめ期間を示さずに科される刑。例)「懲役5〜10年」

[Photo by Sharon Mollerus]

Credoをフォローする