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4月13日付の朝日新聞によると、「反原発運動に参加している北九州市の男性(60)が、勤め先だった同市門司区の原発部品メーカーから再雇用契約で不当な条件を提示されたとして、再雇用を求める労働審判を近く福岡地裁小倉支部に申し立てる。」という。労働審判とは、裁判所において労働関係に関する紛争を適正、迅速かつ実効的に解決する手続きである。

 

法の下の平等の適用範囲

今回の原告となる北九州市の男性は、被告原発部品メーカーがおそらく労働基準法第3条の均等待遇に違反していることを主張するだろう。均等待遇とは、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」というものある。

これは、憲法14条の法のもとの平等を労働分野において具体化したものであり、労働条件において特定の国籍や思想を持つことによる不当な差別を禁止するものである。今回は反原発という思想を持つがゆえに他の労働者は再雇用されるにもかかわらず、自分は同様の条件での再雇用が認められないという主張がされるだろう。

 

三菱樹脂事件とは

しかし、三菱樹脂事件(最大判昭和48・12・12)の判決では、憲法は22条、29条において、経済活動の自由を保障しており、企業者は特定の思想・信条を有するものをそのゆえに拒んでも、当然に違法とはいえないし、労働者の思想・信条の調査や、申告を求める事も違法ではないとする。特定の思想をもっていることを理由として、企業が採用において、特定の思想を持つことを採用において考慮することは法に反しないというのだ。

企業としてその事業に反する思想を持つものを雇用する危険を冒さなければならないというのは普通に考えてもおかしいと分かるだろう。労働基準法第3条は、雇用後の賃金・待遇に関するものであり、雇用時に適用されるルールではないという判断だ。

この判例を考慮すると、今回の労働審判では、再雇用が、労働基準法第3条の適用のない新たな採用行為とされるのか、適用のある労働者の待遇に関することなのかという点が争われるのではなかろうか。

 

[Photo by Thomas Anderson]

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