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現在日本を訪れている国連開発計画(UNDP)のトイリー・クルバノフ・ミャンマー事務局長が17日に朝日新聞のインタビューに応じた。国連開発計画は、発展途上国の経済的・社会的な発展を支援するためにつくられた国際連合の組織のひとつである。

朝日新聞のインタビューによると、クルバノフ事務局長は、「ミャンマーでは人々が司法を信用しない結果、汚職が横行する状況が続き、民間の紛争を解決する手段もないままだ」と指摘したという。人々への司法への信頼。普段私たちはあまり法というものを意識せずにくらしているが、これは日本にはあるのだろうか。

 

もし日本に「法の支配」がなかったら

もし、日本にこれがない、信頼のおける民事裁判制度がなければどうなってしまうのか、これについて妄想してみた。下記は私の思考実験であり、フィクションである。

一応、裁判所もあり、殺人や窃盗などの罪を裁く刑事裁判も、個人の争いを判断する民事裁判も行われているが、民事裁判では裁判官が気分屋でいつも自分に都合のいいように判決を下すから、国民からの信頼がないとする。

今回の主人公はA子さん(40)。S子さんは、大学卒業後しばらくOLをしていたが、25歳の時にB男さん(当時30)と結婚し、15年間専業主婦として、家庭で、家事・子育てに従事してきた。しかしながら、ここに来てB男が別の女性と関係をもち、一方的に離婚を言い渡された。

 

民法の効力がない場合

現在の日本では、民法で結婚という制度が用意され、婚姻関係に入った者同士は、相互に貞操義務(他の相手と関係を持たない義務)、扶養義務(お互いに生活を支える義務)や夫婦の財産の一部が共有のものとされるなどする。だから、今回のような場合、A子さんは「訴えてやる!」といい、B男が貞操義務に違反したことを理由に慰謝料を請求したり、共有財産の一部の自分に渡すように請求できる。

しかしながら、もし民事裁判の信頼がない場合、そもそも結婚という制度すら意味をなさないだろう。女性より男性に力があれば、男性は何人の女性と関係をもつこともでき、女性は何年尽くしていようと、いきなり家から追い出されるかもしれない。仕事もあまりしてこず、男性に扶養されていたとすると、いきなり収入がなくなり、仕事も見つからないかもしれない。男性の勝手な都合で、いきなりこんな状況に追い落とされても裁判制度が機能していなければ「訴えてやる!」ということもできない。

こういう場合、A子はどうするだろう。まず考えられるのがB男に直接行為に訴える方法だ。自分のものだと言ってB男から財産を盗むかもしれない。この場合、A子は犯罪者として刑事裁判にかけられるだろう。反対に、A子がB男を自分の財産を奪ったと警察に訴えることも考えられる。どちらも民事手続で解決できない問題を刑事手続によって、国家に解決を求める方法である。

 

「訴えてやる!」が言える社会

他にA子が取れる方法はあるだろうか。もしB男が会社に勤めている場合には、その会社にB男の行為のひどさを訴えて、一定のペナルティーを科してもらう、それにより自分との関係を放棄するのを思いとどまってもらうとするかもしれない。また、もしかしたら地元に反社会的勢力、暴力団などがいればそこに頼んで、B男への報復や財産を取り返すことをするかもしれない。これらはどちらも国家以外の権力に頼って解決を図る方法である。

このように、いくらか方法が考えられるがどれも、不確実な方法だったり、犯罪を伴う方法であったりする。これらの方法を取れない多くの人は泣き寝入りをすることになるだろう。ミャンマーでは一方で、刑事裁判は多いと聞くがそれもこのためなのかもしれない。

一方で日本を振り返ると、かつてテレビ番組であったが「訴えてやる!」と簡単に言えるというのは裁判制度への信頼が一定程度ある証なのかもしれない。しかし、裁判以外の方法を考えながら自分は「面倒くさい」と思ったが、もしかしたら裁判など馴染みのない人々にとっては裁判も同様に「面倒くさい」方法であり、多くの人が泣き寝入りをしているのかもしれない。

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