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動き出した「世なおしは、食なおし。」

4月20日の朝日新聞によると、東日本大震災で被災した農家や漁師らの野菜や魚を、都市の消費者が定期購入することで生産者を支える東北の「食べる通信」が、今春から順次、四国や北海道、宮城県東松島市でも始まる、という。実は、私も本家の「東北食べる通信」を昨年秋から定期購読しているのだが、これがとても面白く、この取組が全国に広がることは非常に喜ばしい。

 

「東北食べる通信」とは

「東北食べる通信」は、被災地の農家や漁師の野菜や魚を家庭に届けるものだが、ただ家に食材が届くだけではない。毎月その食材についての10ページほどの記事が一緒に届くのだ。食材にかける生産者の思いや栽培・漁の仕方や歴史、その食材を使ったこだわりレシピなど、読むと一層美味しくその食材を楽しめる雑誌になっている。発行に携わる本間勇輝さんのお話を以前伺いに行った時には「食べるディアゴスティーニ」といった表現を使っていたが、ぴったりの表現だ。

本間さんによると、現代の食に関する問題の多くは生産者と消費者の乖離が原因となっている。食品に毒薬を混入させてしまう事件も、生産者が消費者を想像できないから起こるのだろうし、無理難題を平気で言うクレーマーの存在が社会問題となるのも、消費者が生産者の苦労に思いをはせないからではないか。

その生産者と消費者を人間の基本的な営みである「食」を通じて変えていきたい。そんな思いが、いつも雑誌の表紙にある「世なおしは、食なおし。」という言葉に込められているのだろう。

 

生産者と消費者の新しい関係

生産者と消費者をつなぐことが具体化されているのが、購読者のみが参加できるフェイスブックグループだ。ここでは、生産者と消費者のじかのやりとりがなされる。生産者が栽培などの経過を投稿し、消費者がその食材を使って作った料理の写真や感想をあげる。

特に感動したエピソードがある。それは天候の不順で商品の発送に遅れが出てしまったときのことだ。編集部でも謝罪をすべきか相当もめたが、生産者さんがいてもたってもいられず謝罪の投稿をした。もしかしたらすごいクレームが来るのではないか、という不安があったという。しかし、返ってきた多くのメッセージは、「天候相手だから仕方ないよ」「待つ楽しみが増えた」というもの。まさに生産者と消費者の理想の関係ではなかろうか。

こんな日本を変える取り組みが、被災地のみならず全国に広がりはじめた。まさに、「世なおしは、食なおし。」が実現に向かって動き出した。

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