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少し前になりますが、FacebookがWhatsAppというサービスを190億ドルという常軌を逸した金額で買収したことが話題になりました。こうしたアプリの現状をまとめつつ、メッセージングアプリの今と未来、そしてSNSとの関わりについて、簡単にまとめていきたいと思います。

 

メッセージングアプリの現状についてまとめてみた

■ 「メッセージングアプリ」ってなんだ?

「メッセージングアプリ」という言葉にはなじみがない方も多いと思います。
これ、平たく言うと日本でいうLINEのことです。

LINEのように、グループなどで手軽にメッセージをやりとりできるアプリがここ2,3年で大きく台頭してきているのです。

■ 主なメッセージングアプリ

以下、今世界で使われている著名なメッセージングアプリをまとめました。

– WhatsApp
言わずと知れた欧米を中心に、新興国などで強い人気を誇るメッセージングアプリ。
アクティブユーザー数は4億5千万人と世界一を誇る。
ゲームなどとの連携はなく、広告・ゲーム・仕掛けなしという軸で運営されている。
2年目から年間99セントの利用料がかかる。
Facebookに190億ドルで買収されたことが話題になった。

– WeChat
中国発で、登録ユーザー数は6億人以上と推計されているメッセージングアプリ。
アクティブユーザー数は3億5千万人ほどと推測されている。

– LINE
日本・韓国を中心に世界で3億人のユーザーがいるメッセージングアプリ。1
ゲームなどとの連携で圧倒的な売上高を誇る。

– KakaoTalk
韓国を中心に、世界に1億人規模のユーザーを抱えるメッセージングアプリの草分け的存在。
サービス開始から二次関数的にユーザーを伸ばしており、連携ゲームの売上げが194%もUPしたという発表もあった。

– Viber
米露やフィリピン等の英語文化圏などを中心に世界に2億8千万のユーザーを抱える。
大きく赤字を抱えているようだが、楽天が9億ドルで買収したことで話題になった。

■ ユーザー数の比較

ここで、各サービスのユーザー数の数を比較してみたいと思いますが、その前にユーザー数とアクティブユーザー数について解説をしておきたいと思います。ユーザー数には大きく分けて2種類あります。一つは一般的にユーザー数と呼ばれているもので、これは登録している人の数や、一度でもサービスを使ったことのある人の数のことをさします。

これに対してアクティブユーザー数というものがあり、これは実際にサービスを使っている人の数をさします。毎月、あるいは毎日などの切り分けがありますが、WEBサービスの場合は月単位であることが多いです。それでは、各サービスのユーザー数について見てみましょう。

sms_graph_users

公開されている(あるいは試算が出ている)数字のみですが、2014年3月の段階ではユーザー数はWeChatの一人勝ちで、その数なんと6億と推定されています。ところが、アクティブユーザー数ではWhatsAppがこれを上回っていると推測されています。

アクティブユーザー数はその月に実際に使っている人の数ですから、いま一番流行っているSMSはWhatsAppであると言えそうです。

■ 売上高はLINEが一人勝ち

ユーザー数ではWeChatとwhatsAppの二大巨頭といった様相でしたが、売上高ではどうでしょうか。単位を100万ドルに統一してグラフ化してみると、意外な事実が見えてきました。

sms_graph_sales

驚くべきことに、年間の売上高ではLINEが圧倒的な1位となっています。それも、他の全てのサービスに10倍以上の差を付けて、です。

これはLINEがユーザーに対しゲームなどを提供していて、より深くユーザーに時間やお金を使ってもらっているからこそ、と言えるでしょう。
LINEはそういった点では、他のサービスとは一線を画しています。

ショートメッセージサービスは、現状はこのような状況になっています。

 

なぜFacebookはWhatsAppを190億ドルもの金額で買収した?

■ 190億ドルっていくらなんだ?

ところで、FacebookがWhatsApp買収にかけた190億ドルという金額っていくらなんでしょうか。
字面だけで見るとすごすぎてすごさがよく分からないので、試しに世界のGDPと比べてみました。

2012年に公開されたIMFのGDPで比べてみると、190億ドルは106位のネパールを越える金額、ということになります。(ソースはこちらからお借りしています)この買収は、実にほとんどの新興国の1年間の経済活動より高い買い物ということになりますね。ちょっと大げさでしょうか?

ですが、さらに面白いのは、最近発表されたFacebookの2013年度第4四半期決算での、売上高が25億ドルで、純利益が15億ドルだったことです。4半期で25億ドルなので、絶好調の現在の業績を維持していくと1年間で100億ドル、ということになります。純利益は年間60億ドルですね。

これはつまり、単純に見積もれば3年かかってもこの買収にかかった金額を捻出できないほどの巨額の買収だったということです。それほどの痛手を負ってまでFacebookがWhatsAppを買収した理由とはなんだったのでしょうか?

■ 今後は個別のアプリが圧倒的な力を持っていく

これほどの予算を使ってFacebookがWhatsAppを買収した理由は、以下の二つの記事に詳しく書かれています。

フェイスブックが190億ドルで「WhatsApp」を買収する理由 – WIRED 
FacebookがWhatsAppに190億ドル注ぎ込んだ理由:ヨーロッパと発展途上市場参入のため – TechCrunch

いくつか引用してみましょう。

“WhatsAppのようなスマートフォン向けメッセージング・サーヴィスは、多くの意味で「キラーアプリ」だ。どこにいても、何をしていてもユーザーの注意を引きつけることができる。結果として、このようなサーヴィスは広告の素晴らしい供給先になる。世界はますます、「Facebook.com」のようなウェブサイトを離れ、スマートフォンに搭載された多彩なアプリケーションへ向かっているのだ。”

“ソーシャルネットワークの巨大企業であるフェイスブックは、10代の間で人気のある、「WhatsApp」をはじめとするメッセージング・サーヴィスの活用について、目立たないように調査を行ってきた。この年齢層ではしばらく前から、フェイスブックの影響力が弱まってきている。”

– フェイスブックが190億ドルで「WhatsApp」を買収する理由
“Facebookは、海外におけるモバイルソーシャルネットワークの要になることを諦めるか、金を頼んでWhatAppがこれ以上大きくなる前に買収するかしかなかった。そして後者を選んだ。”

“世界的に見ると、Facebookはメッセンジャー祭りに出遅れている。Facebookが参入したのは、2011年にBelugaを買収した後のことであり、当時はSMSが極端に弱かったグループメッセージに力点を置いていた。
WhatsAppは2009年、身軽ですっきりして早いモバイルメッセージアプリという正しい焦点と共に登場した。そして、世界のメッセージング市場が驚くほど断片化していた時、WhatsAppは主要な存在を勝ち取ることに成功した”

– FacebookがWhatsAppに190億ドル注ぎ込んだ理由:ヨーロッパと発展途上市場参入のため

今後のマーケットの価値を決める10代~20代前半のユーザーがFacebookから離れていっていて、そのユーザーたちは今メッセージングアプリに圧倒的な時間を費やしている、ということがまさに決め手だったと言えるでしょう。Facebookもメッセンジャーアプリをリリースしていましたが、タイミングを逸してしまったことは否めなかったようです。

この地位をこれから揺るがすためには、巨額を積んでの買収という方法以外なかったということですね。190億ドルという常軌を逸した金額からも、どれだけマーケットの上位を占めることが重要視されているかが見えてきます。この買収が吉と出るか凶と出るか、今後何かの進展が見られ次第、また本メディアでお伝えしていきたいと思います。

[Photo by TechCrunch]

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