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社員の発明に関する特許が誰のものなのかを巡る議論が政府内で本格化してきているという。この議論は古く、20世紀の初頭大正デモクラシーの時期にも議論され、このとき一度「特許は社員のもの」と定められたが、近年発明の対価を求める社員が会社を訴えるということが相次ぎ、再び議論になっている。

 

特許権の役割

特許権とは、ある発明をした人がその発明を公開することと引き換えに、ある期間その発明を独占できる権利である。発明をした人が他の人にそれをまねされることなく、その発明を使って商売ができるというのはすごく分かりやすい。

権利はそもそも人に帰属するものだからだ。しかし、特許権が会社に帰属するとはどういうことなのだろうか。よく会社のお金、会社の権利という言い方をするけれど、会社とは何だろう。何気なく、個人か、会社かという議論をしているが、それを疑問に思ったことはないだろうか。

権利は人に帰属するこれが法律の世界の基本である。帰属主体となる人なしに権利というものは存在しえないのだ。しかし、完全に個人しか権利の主体になれないとすると困る場面がたくさんあることは容易に想像できるだろう。

 

法人の役割

たとえば、学校のサークルがある。サークルで必要な道具を買うとして、個人しか権利の帰属主体となれないとすると、その道具は常にサークルに所属する個人Aさんのものということになる。Aさんがサークルを辞めてしまったら、Aさんはその道具を持って行ってしまってよいのだろうか。

個人にしか権利が帰属しないとすると大変だから、サークル、つまり「団体」を権利の主体する必要が生まれる。そこで、独自のルールやメンバー、財産を持った集団を法律の世界においては生身の人間と同じような権利をみとめようとしたのが、「法人」というものである。これによって会社を構成する個人とは切り離されて権利の帰属する「法人」が生まれ、「法人」が契約を結んでも必ずしも、その構成員が義務を負わなくし、権利を得なくなる。

特許権はこうした「法人」の地位を持った会社に帰属するというわけである。「法人」というものが法律上存在することにより、契約の手間を省き、信頼を与え、社会における取引は活発になる。その一方で、現代では国家に匹敵するような巨大な企業も存在し、社会や個人に大きな影響力を持つようになっている。

[Photo by Railways of Australia by Daryle Phillips]

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