【インタビュー】原田謙介さんと若者の政治参加について語る 前編

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こんにちは、Credo編集長の前島です。今回はインタビュー企画第2回としてNPO法人YouthCreate代表の原田謙介さんにお話を伺ってきました。若者の政治参加に関する課題やインターネット選挙の実状などについてのお話を前後編でお届けします。今回は東大法学部5年で原田さんの後輩であり、Credoのライターでもある近藤駿さんも同伴しました。

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現在の活動について

前島:これまでやってきたこと、現在やっていることを教えて下さい。

原田:現在のことからお話します。現在はNPO法人 YouthCreate代表を務めており、立ち上げから1年半がたちました。活動内容は「若者と政治をつなぐ」ということです。そのために、イベントやキャンペーンなどの方法で取り組んでいます。

前島:ルーツについてお話を伺いたいのですが、そもそも政治に興味を持ったきっかけ、そしてNPOというやり方を選んだ理由を教えてください。

原田:高校1年生で文理選択をした際にはじめて政治について意識しはじめました。そのころは「世の中に広くかかわる仕事」として政治というものを意識していました。その後東京出てきて政治の現場をみようと思い、議員インターンをはじめました。

前島:普通は政治について知ろうとすると本を読んだり、ある意味受動的なインプットからはじめると思うのですが、なぜインターンから入ったのでしょうか。

原田:一つは、本を読んでも本質的に政治のことを理解することはできないと思い、現場での体験を通して政治を学びたかったということですね。もちろん本でも学ぶことはできますが、本で学ぶことができるのは「基礎知識」にすぎないと思うのです。

もう一つは、正直なところ東京っぽいことしたかったということですね(笑)。大学に受かったあとの「なんでもできる感」ってあるじゃないですか。その勢いではじめました。

前島:現場ではどんなことを感じましたか。また、そこでの体験が政治と若者をつなげる今の活動につながっているのでしょうか。

原田:政治のスケール感を知ることができました。目の前でやっていた会議が朝刊の一面に載ったりするのです。いろんな人が政治に関わっていて、メディアを通して国民に広がっていく。あとは、政治家はまじめな人が多いということがわかりました。

一方で、地元や大学同世代の友達に政治の話をしても興味がありませんでした。年金や国の借金の問題が出てきたころ、若い人が政治にいかないから将来よりも今を優遇し、若い人よりも高齢者を優遇するようになっていることにもやもやとした感情を持っていました。

近藤:前島さんも先日、都知事選挙に行かない女子大生と議論していましたよね。どのような意見を言っていたのですか?

前島:考えがあっていかないならいいが、なんとなく行かないというのは問題だと思いました。選挙権が欲しくても与えられない高校生とかがいるのに、せっかく持っている権利を行使しないのはもったいないなと。

なおかつ、「世の中によくなってほしい」という願望はもっているのに、その願望を表明するために投票という手段を使わないことに疑問を感じたのです。

近藤:一方で、年配の方だと特定の考え方がなくても、なんとなく選挙に行くという人が多いですよね。

前島:若い頃から行っていて、それが当たり前だから行くのでしょうね。

原田:世代が上になるほど投票を義務と考えている傾向はあると思います。あとは、ある議員や政党に対してずっと先代からお世話になっているからという理由で投票に行くということもあると思います。ですので、その時その時で政策を検討しながら考えているわけではないのかもしれません。

 

若者と政治をつなげる方法

前島:2つ質問があります。まず若い方でいうと投票に行かない理由は3つあると思います。一つは衣食住など現在の生活に満ち足りているということです。発展途上国へ行って、若者に「なぜそんなに政治関心が高いのか」ということを聞くと、「自分の生活に関わっているから」と答えるんですよね。

生活が逼迫していればいるほど、それを改善する手段として政治への関心が高まるということはあると思います。二つ目は、学生運動など日本の歴史的な部分を見てきて若者の力では社会は変わらないという諦めがあるということですね。

そして三つ目がメディアの影響もあり、政治や政治家に対して悪いイメージがある。こういった若者が政治に関心を持たない理由が複数ある状況の中で、どうしていけばいいとお考えですか。

原田:まず現状に満足しているから行かない、ということについて。発展途上国と対比していましたね。もうひとつ理由としてあるのは発展途上国だとそれまで優遇されていた人たちが選挙で政権が代わり対抗勢力が政権を取ると、と一気に虐げられることになりうるということですね。

国レベルでも、市などのレベルでも権力層の交代ということが起こりえます。日本よりも政治による日常生活の変化がドラスティックであるということは言えますね。今言ってくれた3つの理由に加えて、まさにCredoも同じ意識でやっているのだと思いますが、政治に関する情報が分かりづらいということがあります。

たとえば、今オバマ大統領が来ているけれども、自分はあのことがどれだけ今後に日本とアメリカの関係を左右する重要なことかを認識しているが、多くの人にとってはただ「寿司食ったんだな」くらいの認識かもしれない。その重大性が分かればもう少し政治に興味を持つかもしれないですよね。

そこまで規模の大きなことでなくても、例えば市区町村のレベルでも区長が代われば自分の生活がどれだけ変わるかということが分かればもっと興味をもつのではないでしょうか。

前島:実生活との関連という文脈でいうと、国政よりも市区町村の政治の方が身近で実感も湧きやすいと思います。そういった意味で言うと、政治関心の高め方としてはローカルなレベルから一歩ずつ階段を踏んでいくという方法もあるかと思うのですが、若者への発信としては国政と地方政治をどういう比重で考えているのですか。

原田:まず大前提として、分からないものを分からせるというのは僕らの役割ではないと思っています。知るきっかけ、知ろうとするきっかけを提供しています。そういう意味で今は、地方議会・地方選挙に力をいれていますね。

国政選挙・国の議会はメディアで取り上げられることが多いし、情報量としては十分だと感じています。関心の持ち方の階段という意味でも地方政治から始めていこうと思っています。地方政治だと、情報が少ない分デメリットが2つあると考えています。

メディアの取り上げ方が小さく、投票率が低いため問題のある政治家も一部の組織票で勝ち続けるし、その裏返しで思いを持って何かを変えていこうとする人が出馬しても、同じ理由で影響力を及ぼすことが出来ない状況があります。

 

まずは投票に行ってみること

前島:僕はただ選挙に行くだけではいけないと思います。原田さんの活動を追わせていただくと、昔はとにかく投票率をあげよう投票率が上がることだけを目的としているように感じました。しかしながら、現代の若者の場合政治的な事柄について考えている人は少ない。

そういった人たちがこのまま何も考えずに投票にいってしまうのは問題だと思います。感情的な理由ですぐに政治のあり方が変わってしまう危険性があります。

原田:今でも四の五の言わずにまずは選挙に行けというのは強く思っています。選挙の経験の少ない若い人ほど、まずは一度行って選挙というものを経験してみるということでいいのではないかと思っています。

近藤:考えて投票しなくても、投票にいって若者の存在を示すことが政治家の行動に影響をおよぼしますからね。

原田:投票する側も全く投票しないよりは、何も考えなくても投票する人の方がその後政治に興味を持ってくれると信じているから、だからみんなが考えて投票することは確かに理想だけど、そうではないアプローチもあっていいと思っています。だから自分としては昔も今もやっていることはあまり変わっていないですね。

前島:なるほど。それでは、具体的な活動内容についてお聞かせいただけますか。

原田:一つはVoters Barです。簡単に言うと地方議員さんなどのお話を伺いながらみんなで飲む活動ですね。もちろん飲むだけではなく、ワークショップやディスカッションも行います。もともと自分が議員インターンをして政治に興味をもったように、漠然とした政治家ではなく「この人が政治をやっている」という具体的なイメージができればもっと政治に興味をもってくれるのではないかと考えています。

学生団体の頃にやっていた「居酒屋ivote」の頃は本当に議員と飲むだけでした。しかし、最近地方政治というと本当にみんな知らないと思うので、その辺の前提知識を入れる場にしたいとも思っています。議会の開かれる時期や市議の権限の範囲など、パネルディスカッション形式で議員の方に聞いていきます。

また、単に地方政治だけでなく、それぞれの回にテーマをつけて開催しています。今度の5月には「地方政治×NPO」というテーマで、NPOと政治の関わりや役割分担について議論したいと思っています。前回は「地方政治×国際交流」で、姉妹都市や自治体内に住む外国人との交流などについて話してもらいました。去年は10回開催して、ほとんどが東京で、知り合いのつてで少しだけ地方でも開催しました。今年は全国で、もっとたくさんできたらと思っています。

前島:対象やPR方法はどういった形でやっているのでしょうか。

原田:対象は特に決めてないですが、若者と大きく書いているのであんまり年配の人は来ませんね。お酒の入るときはのときは大学生以上ですが、休日午後のワークショップですと高校生もたまに来てくれます。どうやって来てくれるのかは細かくは分かちませんが、発信は、自分たちのSNSで発信したり、関係しそうな団体にはメールを送ったりしています。

集客はすごく難しいですね。国会議員と飲めるというと結構来てくれるのだけど、区議会議員と飲むといってもなかなか来てくれない。だからこそ、毎回テーマを決めてそれに関心がある人が来てくれるようにしています。

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