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ネットでも作品が売れる時代へ

KADOKAWAが自社で運営するComicWalker、DeNAとドコモが運営するEエブリスタ、同じくDeNAが運営するマンガボックスといったネットで作品を無料公開するメディアミックス展開(ネット発の作品を、紙の書籍化、単行本化、実写化で売る戦略)サービスの業績が好調だ。

成功の共通要因は、いくつか考えられる。かつては「無料だから盛り上がるだろう」と運営が安易に目論んでいて書き手&読者と運営が完全に分離していたが、いまは「運営が書き手を育てる」システムに近づいてきたこと。

その結果として、運営側から将来の作家を発掘させようとキャンペーンを打ち、サイト内の作品をチェックする体制ができたこと、既に実力がある作家の参入増加で「ネットの作品=駄作」というイメージが払拭されてきたこと。

PDFが簡単に閲覧できるスマホの普及によって、ガラケー向けマンガでは、画面に合わせて、1ページをさらに細かくコマ送りのギミックをする莫大なコストをカットできたことも経営を上向きにさせていることなどである。

今回の記事では、DeNAが運営しながら異なる特徴を持つエブリスタとマンガボックスを比較する。
【スマホ小説「E★エブリスタ」4月販売部数ランキング発表】 史上初!月間売上200万円越えのスマホ作家が誕生!

株式会社エブリスタのプレスリリース

DeNA「マンガボックス」成功でアニメ分野も無料配信アプリ投入へ

 

エブリスタは、携帯小説の流れを汲む

スマホ小説Eエブリスタは、PCでも使用することができる。これは、マンガボックスも同じだ。違うのは、書き手の立ち位置だ。エブリスタでは、会員登録さえすれば、誰でも投稿することが出来る。実際に、私も映画「LOOPER」と似た過去の自分に成り代わりに時空を超えて戦いにいく小説を公開していた。

とにかく、小説のレベルは問わず、幅広く投稿を集め、その中からヒット作を生み出そうという極めてCGM(youtube ニコ動 Ustreamのように不特定多数のユーザーのコンテンツ投稿で成り立つサービス)に依ったビジネスをしている。さらに、サービス内に読者がコメントを残せる機能がある。

このコメントを見つつ、作者は作品を修正していく。幅広くユーザーを集め、作者と読者との双方向という流れは、携帯小説とまるっきり同じシステムなのだ。いわば、エブリスタは、携帯小説の流れを汲んで成功しているサービスといえる。

 

マンガボックスは、出版の流れを汲む

マンガボックスは、作品を出せる作家が限定されているというのが、誰でもokのEエブリスタとの大きな違いだ。作品の持ち込みを募集してはいるが、私が作品を持っていき、掲載されるかといったらありえないだろう。作品を出すことが出来る作家のレベルを厳選することで、質を保っている。

シェア機能はあるが、作者にコメントを残せる機能はない。私は、「GREEN WORLDZ」作者の大沢さんへtwitterを通じて感想を残したことがあるが、これによってのちのちの作品の脚本や演出に影響があるとは考えられない。あくまでも、「編集部が選んだ質が高い出来上がった作品を読んで欲しい」という古くから息づく出版業の考え方が見えてくる。

 

代替のないサービス

以上、Eエブリスタとマンガボックスは、DeNAというネット企業が運営に携わっていながら、まったく異なる考えでサービスが運営されていることがわかっていただけただろうか?しかも、どちらも成功しているのだから、いいか悪いかでなくユーザー属性の違いとしか言えない。こうも違いが明確だと、今のところ推測でしかないがどちらか片方しか利用していないユーザーが多いだろう。これらは、補完するサービスではなく、ユーザーニーズを食い合うことのないサービスなのかもしれない。

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画像の引用元: https://www.mangabox.me/

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