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角川とドワンゴが経営統合

出版大手の角川書店とニコニコ動画の配信などを行うドワンゴが経営統合を発表しました。経営統合というのは複数の会社の経営機能を統合することを言います。多くの場合は統合する会社とは別に会社がつくられ、その別会社が両社の株式を保有することで両社の経営権を持つという形をとります。

IT企業と老舗出版社が組むことで移り変わりの早いインターネット市場で生き残りを計ります。角川の角川歴彦(つぐひこ)会長は経営統合を発表した14日の会見で「両社の共通のテーマはサブカルチャーだ。異質だが文化は同じだ。21世紀の新しいメディアを作りたい」と述べています。

角川はアニメやゲームといった若者文化に早い時期から力を入れてきました。特に、「ライトノベル」の分野では最大手で、男性向けライトノベル市場の9割のシェアを持っています。「涼宮ハルヒ」シリーズなどが有名です。

ドワンゴはニコニコ動画にアニメやボーカロイドの「初音ミク」を使った音源等が多数投稿されています。これらのコンテンツを「サブカルチャー」と言うとたしかに納得しますが、そもそもサブカルチャーというのはどういったものを指すのでしょうか。

 

サブカルチャーの起源

サブカルチャー(sub culture)という言葉をはじめて使ったのはアメリカの社会学者デイビット•リースマンだと言われています。リースマンは『孤独な群衆』などの著書で知られる現代を代表する社会学者です。公民の教科書など名前を目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

サブカルチャーの”サブ”は「下」「次」などの意味を持っています。つまり、より上等なカルチャーが存在し、それよりも劣ったもの、劣位にあるものとしてサブカルチャーは存在しています。

ここでいうより上等なカルチャーというのは、音楽、美術、演劇、文学といったある程度の教養がある少数の人々しか理解することができないヨーロッパの伝統的な芸術です。これらを総称してサブカルチャーに対するハイカルチャーと呼ばれます。

アメリカやヨーロッパにおけるサブカルチャーはハイカルチャーを享受する社会的な強者に対抗する文化として、移民やLGBTなどの社会的な少数者から生まれた歴史があります。一方日本ではサブカルチャーという言葉がそういった文脈を離れて意味を持っています。

 

日本におけるサブカルチャー

日本におけるサブカルチャーという言葉は3つの意味を持つと言われています。

一つは民族問題や社会的な階級の問題を背景とした、対抗文化としての政治色を持ったサブカルチャーです。

もう一つは1980年代以降に流行した、政治色が脱色されて、ただメインストリームではない存在としてのサブカルチャーです。クラブ文化や、ストリートファッションなどがこれにあたります。

そして3つめが漫画やアニメといったいわゆるオタク文化としてのサブカルチャーです。ここでいうサブカルチャーは政治色や、マイノリティの対抗文化的な色彩が完全に脱色されています。むしろ、アニメや漫画は世の中のほとんどの人が知るものになっているため語義的な意味のサブですらありません。

冒頭で書いた角川歴彦会長の言葉の中でのサブカルチャーは3つめの意味だと言えます。このように日本において現在使われているサブカルチャーという言葉は元の意味からはかなり外れてきているのです。

[参考文献]デイヴィッド•リースマン、『孤独な群衆』1964年、みすず書房

[Photo by Dick Johnson]

 

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