「メディアミックスの歴史と未来」シンポジウム レポート(下)ドワンゴ川上会長「大学は、教育ではなく研究をしてほしい」

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先日から、KADOKAWAとドワンゴの経営統合が報じられ、大きな話題を呼んでいます。ですが、約2ヶ月半前となる3月11日、KADOKAWAの角川歴彦会長とドワンゴの川上量生会長が、同じシンポジウムに登壇していたことを知る方は、そう多くないかもしれません。

「メディアミックスの歴史と未来」と題して、東京大学で実施されたこのシンポジウムの内容を振り返り、両者の経営統合の意義、これからの「メディア」「サブカルチャー」の未来を考察します。

2014-03-11 16.36.41.jpg大学教育のあり方について答える川上会長(左)

前回前々回は、角川会長・川上会長それぞれの、メディア論を中心にお届けしました。最終回となる今回は、川上会長の「教育」に関する発言を中心にまとめます。

——大学のネット化はどのように考えていますか?

川上会長:大学のネット配信は、複数の形で再構築されるのではないでしょうか。今も数多くの教育系プラットフォームが生まれ始め、MOOC(Massive Open Online Course)も広く始まっています。

大学の役割は、縮小するのではないかと思っています。ネットで授業が受けられる時代に、「勉強」するために大学に行く必要はかなり薄れているように感じます。個人的には、大学は教育ではなく研究してほしいと思っています。

ーーーニコニコ動画を教育に使うとしたらどうしますか?

川上会長:ニコニコ動画には向いている放送と向いていない放送があります。向いていると思うコンテンツは、例えば野球や将棋です。特徴は、番組自体の変化が乏しい点です。野球であれば、ストライク数・アウト数が決まっていて、表と裏が繰り返されるスポーツですし、将棋であれば一手一手の積み重ねで対局が進みますよね。

ニコニコ動画の最大の強みは、例えば一球一球の間、表と裏の交代の間、あるいは一手一手を考える間の「空白」を埋めることができる点だと考えています。自分でコメントをしてもよいし、他の人のコメントを眺めていても良い。自分からある程度能動的に暇つぶしもできるし、そうしなくとも、勝手に「空白」は埋まっていくわけです。

こういった特徴を持つニコニコ動画をオンライン授業に応用すると、良い点も悪い点も出てくると思っています。良い点というのは、視聴者間で、つまらない授業の「間」を埋めることができる点です。逆に悪い点というのは、授業そのものを聞かなくなる(笑)。

ーーーニコニコ動画のような視聴者間の交流を持つメディアが、教育にどのような影響をもたらすでしょうか。

川上会長:こういったアーキテクチャが、教育に普遍的に応用可能かどうかは、正直、疑問を持っています。教育に関しては、もっと他のアーキテクチャがあるのではないでしょうか。

例えば、ある特定のテーマがあった時に、その道何十年の教授による説明と、ついこの前、そのテーマを理解できた人による説明には、違いがあるような気がします。難しいことを、自分にあったレベルでわかりやすく翻訳してくれるのは、教師ではなくデキる学生の方なのかもしれません。

将来的には、一緒に授業を受けている学生同士が、教師にもできないような形で、教え合える環境が生まれるのではないでしょうか。

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今回で、本シンポジウムのレポートは終了です。

(文・写真 オンライン編集部 荒川拓)

※今回の記事は東京大学新聞Onlineからの転載です。元の記事はこちらから

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