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集団的自衛権の議論のわかりづらさ

「集団的自衛権の容認」が安倍政権によって閣議決定されました。非常に重要な事柄なのですが、結局何が議論されているのか、「ニュースや新聞、ブログで何が議論されているのかいまいちわからない」という方も多いのではないでしょうか。

今回の「集団的自衛権の容認」に関する議論がわかりづらい一つの原因は、「いくつかの論点が混在しながら議論が進められてしまっている事」にあると思います。

 

主張的ポジションを分類する

少し抽象的な話から始めます。ある事柄に関する議論がAとBという二つの事項を含んでいるとします。AとBに対してそれぞれ賛成と反対のどちらかのポジションをとれるとすると、

①「AにもBにも賛成」
②「AにもBにも反対」
③「Aには賛成、Bには反対」
④「Aには反対、Bには賛成」

という4つの主張的ポジションが存在することになります。

本来議論というものは、まずはこういった議論における主張的ポジションを明らかにすることで進展していくものです。議論に関わる個々のアクターが自らの主張を明確にした後で、対立、折衝、妥協といったことが行われていくのです。これらの分類を意識しないまま議論を行うと非常にわかりづらくなります。

 

今回の場合どう分類できるか

さて、今回の「集団的自衛権の容認」における議論ではこういったポジションの明確化が不十分なままである場合が多かったように思います。今回の「集団的自衛権の容認」に関する議論では、議論すべき最も大きな事項は二つあります。一つは「憲法解釈の是非」であり、もう一つは「集団的自衛権容認の是非」です。

たとえば、前者においては「時の政権が権力を縛るものである憲法の解釈を変更することはゆるされない」もしくは、それに対抗するものとして「これまでも憲法の内容と折り合いを付けながら自衛隊の存在などが容認されてきた。よって通例通り時の政権による憲法解釈は許されるべきである」といった主張があり得ます。

ところが今回の場合はこの二つの議題がごちゃまぜになりながら新聞やブログなど様々な場で議論がされていたのです。先ほどの抽象化した主張的ポジションの取り方を踏襲すると、今回の議論に関するポジションは以下の4つに分類することができます。

①「解釈改憲にも集団的自衛権の行使にも反対」
②「解釈改憲にも集団的自衛権の行使にも賛成」
③「解釈改憲には賛成、集団的自衛権の行使には反対」
④「解釈改憲には反対、集団的自衛権の行使には賛成」

たとえば、④には「集団的自衛権の行使は”普通の国”になるために当然認められるべきだが、きちんと憲法改正の手続きを経るべきだ」といった主張があたります。今回の議論においては保守系の人でこういった主張をする人が多くいたように思います。

 

不毛な戦いをしないために

議論の中にどういった要素が含まれているのか、どういった主張的ポジションに分類することができるのかということを認識した上で議論を進めないと、不毛な戦いが起きかねません。

表面上は議論を戦わせているように見えても、一方の人は解釈改憲の是非に関する主張をしているのに、もう一方の人は集団的自衛権の是非に関する議論をしているといったことが起こってくるのです。

まずは自分が上にあげた4つの主張的ポジションのうちどれに該当するのかを認識した上でニュースや新聞の社説、ブログなどを見ていくとどういった人が自分の考えと近いのかわかりやすいと思います。

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