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今年もライジングサン、サマソニ、フジロックなど夏フェスが盛り上がっています。みなさんは今年、夏フェス(=夏場に開催される大規模音楽イベント)に参加しましたか?

近年、音楽ライブ全体、そして特にフェス型のライブに人気が集まっています。まずは、下のグラフをご覧ください。こちらは1997年から2011年までの日本国内でのCD生産実績を表したグラフです。

cd2 (1)参考:http://kabuzen.com/keizai/kousatu/down1.html

CDの売り上げが減っているということはよく聞きますが、たしかに、2011年には1997年と比べて半分以下になっていることがわかります。一方でこちらのグラフをご覧ください。

 

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出典:musicman-net

少し古いデータですが、ライブの市場規模が近年伸び続けていることがわかります。そしてライブの中でも特に夏フェスを好む人が増えていると言われています。

今回は、なぜフェス型のライブは人気なのかということについて考えてみたいと思います。よく言われる理由として音楽をiPhoneなどのプレイヤーで聞くことと、ライブに参加して聞くことの違いは聴覚だけではなく視覚や触覚まで含めた総感覚的な体験だからだ、というものがあります。

しかし、そういったライブにおける特別な体験は今にはじまったことではなく、ライブというものが生まれた時からずっとあったものです。フェスの人気が高まっている理由を考えるためにはライブの現場だけではなく、行く前から行った後までのプロセスが近年どのように変化しているのかを見ていく必要がありそうです。

 

行く前

フェスに行く前の変化としては(これは野外ライブ以外にも言えることですが)、チケットのとりやすさと仲間の見つけやすくなったことがあげられます。チケットのとりやすさとしては、インターネットで簡単に決済ができ、わざわざ電話したり店頭に足を運ばずともチケットを買うことができるようになりました。

そして、ライブに行く前から仲間を見つけることができるようになりました。たとえ周りに一緒にライブに行く人がいなくても、少し前だとmixiのグループ、最近だとTwitterを使って同じライブに行く予定の人をすぐに見つけることができます。

SNSのプロフィール欄に「○○、8月10日のライブ参戦予定!」といったことを書いている人を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

 

最中

近年、音楽フェスのあり方は大きく変容してきています。大きな変化の一つが、お客さんに対して音楽以外の価値が提供されるようになったことです。

これまでは、アーティストによる演奏が最大の価値提供でしたが、現在では屋台による「フェス飯」、大道芸、マッサージ、ワークショップなど様々な価値が提供されるようになっています。

こういった変化を通して、参加者のあり方も「観る」「聴く」から「いる」に変化していると言われています。一緒に参加している仲間とも常に行動を共にするわけではなく、自分が好きなブースを周りまた時々合流するという楽しみ方をしている人が多くいます。

 

行った後

行った後の行動としては、やはり写真や動画のインターネット上への投稿が最も多いものではないでしょうか。多くの人はフェスで撮った写真や動画をアップロードし、友達と共有します。

ここで重要なので、写真や動画をアップロードするのは必ずしもフェスに一緒にいった友達と共有するためだけではないことです。SNS上での友人のほとんどは、その時フェスに一緒に行っていない人々なのです。

そういった友人たちがコメントやいいねをくれることがまた一つの価値になります。それと同時に、フェスを楽しんでいる姿をシェアすることはフェスそのものの宣伝にもなるのです。

 

以上のように主にインターネットを中心とした環境の変化により、フェスに参加しやすくなり、また参加のきっかけが日常的に発生するようになったと言えます。近年の音楽フェスの人気の高まりはこういったことが要因として考えられます。

[参考文献]

永井純一,2014年,「ツーリズムとしての音楽フェス「みる」から「いる」へ」『観光メディア論』ナカニシヤ書店.

 Photo by Akira Kamikura

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