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8月15~17日にかけて、同人誌即売会の「コミックマーケット」が開催されました。東京ビッグサイトで開催され、今年の来場者数は55万人だったそうです。

さて、今回の記事では恐らく誰もが一度は考えたことがある”「コミックマーケット」で売られている同人誌が著作権の侵害にはならないのか”という素朴な疑問に答えたいと思います。

 

同人誌とは

そもそも同人誌の”同人”という言葉は、「同好の士」つまり同じものを好きな人同士という意味です。同人誌とは、同じものを好きな人同士がつくる雑誌という意味になります。最近ではアニメやマンガのイメージが強いですが、もともとは小説、俳句、短歌などの同好の士が雑誌を創り始めたのがはじまりだと言われています。

小説の同人誌は日本文学の発展に大きな影響を与えたと言われ、実際昔は芥川賞の選考対象に同人誌も含まれていました。

手塚治や藤子不二雄などによりマンガが一般的になると、マンガの同人誌がつくられるようになります。そして、現代のようなマンガやアニメの二次創作物(原作のキャラクターを用いつつ、オリジナルのストーリーでつくられたもの)の発表の場となっていきました。

 

著作権的には大丈夫?

「コミックマーケット」に限らずネットの個人取引や普通の古本屋さんでも同人誌を有料で販売しています。人がつくったキャラクターで書いたマンガを売って利益を得ることは法的に許されるのでしょうか。

基本的に、人が作ったキャラクターを勝手に模倣して雑誌を描くことは違法です。二次創作は下記の権利の侵害にあたる可能性があります。

•複製権:著作物を複製する権利

•翻案権:著作者が二次創作物を作製する権利

•同一性保持権:著作物の改変を禁止する権利

しかし、これらの権利を侵害したからといってすぐにその作品が削除されたり、作者が逮捕されたりということにはなりません。

同人誌がつくられることで、原作のファンコミュニティーが維持されたり、原作の宣伝になるという効用もあるため、ほとんどの原作者や出版社が黙認しているというのが現状のようです。

しかし、「ドラえもん最終話同人誌問題」(2005年に男性マンガ家によって執筆されたドラえもんの最終話が無断で13000万部販売された問題)のように原作のイメージ変容など社会的影響が大きいと判断された場合、権利者によって訴えられたり作品の削除を求められたりします。

 

近年ですと、2013年に漫画家の佐藤秀峰さんが自らの作品『ブラックジャックによろしく』の二次利用を認めています。佐藤氏はこの件について次のように語っています。

”作品をオープンにすることで、ネット上にそれが拡散し、作家の利益につながるのではないかという仮説を立て、それに基づいて「ブラックジャックによろしく」の二次利用フリー化を実行しました。”

引用元:佐藤秀峰チャンネル

インターネット社会においては作品が容易にコピーされ配布されます。そのような状況の中で佐藤氏のような判断をする著作者は今後も出てくるかもしれません。

同人誌はすでに一大マーケットを築きあげ、ファンたちにとってはなくてはならないものとなっています。また「コミックマーケット」にトヨタや雪印といった大企業が参入するなど産業界からの視線も熱くなっています。

こうした環境を維持するためにも、二次創作者には原作者•著作者へのリスペクトを忘れないでいて欲しいものです。

[参考文献]

水越伸・吉見俊哉,2003,『メディア・プラクティス―媒体を創って世界を変える』せりか書房

photo by Guilhem Vellut

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