「アイスバケツチャレンジ」が流行した4つの理由

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今、世界中で「アイス•バケットチャレンジ」が大流行しています。8月22日時点でYoutubeで「Ice bucket challenge」と検索すると70万件以上の動画がヒットします。facebookやTwitterのタイムラインでバケツで氷水を頭から被っている人の動画を観た人は少なくないと思います。

日本でも浜崎あゆみさんや田村淳さん、秋本康さんなどの著名人がチャレンジを行っています。(下の動画は浜崎あゆみさんのチャレンジです。)


まだご存知ない方のために説明しておくと、「アイス•バケットチャレンジ」というのは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の支援運動の一つです。ALSは急激な勢いで筋力の低下と萎縮が起こる病気で、半数ほどの発症者が3~5年で亡くなっており日本にも8千人以上の患者(2009年時点)がいますが、まだ有効な治療法は確立されていません。

「アイス•バケットチャレンジ」には次のルールがあります。

•指名を受けたら頭から氷水をかる様子を撮影しfacebookやTwitterに投稿するか、もしくは100ドルをALS患者とその家族を支援するためにALS協会に寄付する、もしくはその両方を行う

•チャレンジを行った人は次にチャレンジする人3名を指名し、その3名は24時間以内に何らかの回答をする

今回は「アイス•バケットチャレンジ」がなぜここまで流行したのかについて考えてみたいと思います。

先に結論から言うと、以下にアイス•バケツ•チャレンジ流行の要因を4つあげていますが、それらは大きくシェアする側の要因=「facebookのインターフェイス」「大義名分」と、チャレンジする側の要因=「社会的強制性」「確実に拡散するルール」に分けることができます。

 

facebookの仕様変更

facebookは昨年、web版とアプリ版でタイムライン上の動画が自動再生されるようにインターフェイスの仕様変更を行いました。それまでですと、タイムライン上に気になる動画を再生するためには、閲覧者が自分で再生ボタンを押して再生画面に進む必要がありました

しかし、この仕様変更により再生ボタンを押さずとも、何気なく自分のフィードを見ているだけで次々に動画が再生されるようになりました。今回の「アイス•バケットチャレンジ」のルールには氷水をかぶった人はその様子を撮影してfacebookに投稿するというものが含まれています。

誰でも自分のタイムラインにいきなり氷水をかぶる動画が表れたら、投稿の文章も気になって読んでしまうでしょう。このことが「アイス•バケットチャレンジ」の認知を急速に広げた一つの理由だと考えられます。

 

支援という大義名分

今回のムーブメントがALSの支援運動であるということは、流行をつくった非常に重要な要素です。誰にとっても疑問を差し挟む余地が無いほど社会的に良いとされる行為であるということが重要なのです。

SNS上ではその価値に対して多くの人が共感するであろうことが予想され、疑問の余地が無いものほど容易にシェアされるということは経験的に理解していただけるはずです。

だから、かわいい猫や犬の動画が頻繁にシェアされるのです。ALSの支援運動であるということが、「アイス•バケットチャレンジ」のシェア加速を下支えしたものと考えられます。

 

社会的強制性

既に述べたように、指名された人は24時間以内に何らかのアクションを起こさなければなりません。

このルールを守らなかったからといって、何か具体的な罰則があるわけではありません。しかし、ほとんどの人がこのルールを守り氷水をかぶるなり寄付をするなりして次の3名をSNS上で指名しています。

これはなぜでしょうか。私はこの背景には社会的な強制力が働いていると考えます。「あいつは社会的意識の低いやつだ」「ノリの悪いやつだ」といったレッテルを貼られることを回避する気持ちが氷水をかぶる行動を促しているのでしょう。

「強制力」というと法律などの規則が想起されますが、”多くの人が従っているルールを守るように公共の場で命令する”このこと自体が社会的強制力を生み出しているのです。

 

確実に拡散していくルール

「アイス•バケットチャレンジ」における”3人を指名する”というルールこそがこの流行をつくった一つのポイントだと私は考えています。指名された人には、(1)氷水をかぶる、(2)寄付をする、(3)両方を行うという3つの選択肢があります。

(「何もしない」という4つめの選択肢もありますが、社会的強制力によって回避されています。)

仮に指名した3人それぞれが別の選択をしたとしても、2人が氷水をかぶる動画がSNS上にアップされます。「アイス•バケットチャレンジ」はこうして、一人から複数人に高確率で伝播していくルールを持っています。

1人から1人に広がるのではなくて、高い確率で2人以上へ広がっていく、つまりねずみ算式に実行者が増えるルールを持っていることが流行をつくった大きな要因だと考えられます。

 

以上述べてきたように、「アイス•バケットチャレンジ」にはインターフェイス、大義名分、拡散性の高いルール、社会的強制性、というムーブメント広げるのに有効な条件が揃っていたのです。

他にも理由はあると思いますが(もちろんこれらの条件のもと多くの著名人がチャレンジしたということが重要です)、主にこれらの条件が揃っていたことが流行の原因だと考えられます。

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