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誰もが一度は耳にしたことのある、モーツァルトの楽曲。リラックス効果があるだとか、胎教に良いだとか、果物を育てるときに聞かせると甘く育つだとか、本当なのかにわかには信じられない怪しい話も同時に良く知られています。今回は、そんな「モーツァルト効果」を心理学的に検証していくとともに、自分でできる音楽療法もご紹介します。

 

1:「モーツァルト効果」が有名になった理由

そもそも世間一般に「モーツァルト効果」が知れ渡ったのは、カリフォルニア大学アーバイン校の心理学者フランシス・ラウシャーが行った実験が、かの有名な科学誌「ネイチャー」にとりあげられたことがきっかけです。その実験がどのようなものであったかといいますと、36人の学生を10分間、

①モーツァルトの曲を聞く

②リラクゼーション用のテープを聞く

③静かな場所で待機する

という3パターンの環境に置いて、その後IQテストを行う。というものでした。この実験の結果、①のモーツァルトの曲を聞いたあとのテストの結果が著しく良かったことが研究の成果として発表されたのです。

ちなみに、この実験で使われたモーツァルトの曲は、「2台のピアノのためのソナタ ニ長調, K448」。『のだめカンタービレ』でも演奏されていた有名な曲です。

 

2:モーツァルト以外の人の曲での効果は?

モーツァルトの曲に、リラックス効果があることは分かりました。が、他の人の曲ではどうなのでしょうか。その疑問に応える実験が、1999年に行われていました。

これもまた「ネイチャー」に発表された実験なのですが、メタ分析という方法で、モーツァルト効果の実験を検証したところ、その効果はモーツァルトの曲だけに限らない、ということが分かりました。

他のクラシック音楽でも、モーツァルト効果と同様に、IQテストの結果が向上することが証明されています。心理学療法のひとつである、「音楽療法」にも、様々なクラシック音楽が利用されています。

ただし、モーツァルトの楽曲には、「1/f ゆらぎ」が多く含まれているということも、わかっています。このゆらぎは、人の耳には聞き取ることのできない周波数の揺れのことです。この揺らぎはヒーリング・ミュージックでも良く使用され、癒しの効果があるとされています。

「1/f ゆらぎ」とリラックス効果の関係については実験的に相関関係があることも明らかになっています。「音楽療法」で大切なのは、自分が心地よいと思える音楽を使用することです。それは世代や好みに左右されるものでありながら、それを考慮しつつ音楽を選びます。

いくら好きでも、激しいロックやメタルが音楽療法にあまり適さないことはなんとなくお分かりいただけるでしょう。

 

3:日常に「モーツァルト効果」を取り入れる

クラシック音楽にリラックス効果があるとわかりました。「音楽療法」といっても、実はそんなに難しいものではありません。静かな夜や爽やかな朝に、自分のお気に入りの落ち着いた音楽を聴きながら、好きな飲み物を飲みつつ身体の力を抜き、リラックスするだけでも、日頃のストレスを解消したり、疲労を和らげたりする効果があるのです。

気がつくと忙しく毎日のすべきことに追われ、休息が取れないような時には、毎日10分だけでもお手軽にできる自宅での音楽療法で、自分の身体や心をいたわってあげてはいかがでしょうか。

[参考文献]
内田博美,2011,『音楽療法の本―もう一人の自分と出会う』アルク出版.
Frances H. Rauscher, Gordon L. Shaw & Catherine N. Ky, “Music and spatial task performance”, Nature 365, 611 (1993).

Photo by Skara kommun

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