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9月30日、経産省の総合資源エネルギー調査会で、東北、北海道、四国電力の代表が再生可能エネルギー買い取りを一時中断する意図を明らかにしました。

いずれも太陽光発電の買い取り契約が急増し、このままでは送電網の容量を超える見通しになったためで、来月1日から事業者との手続きを当面、中断するとしています。

一般家庭からの買い取りは、これまで通り継続します。調査会では、専門家によるワーキンググループを設置し、電力各社のインフラ整備の状況を精査するとともに、対策を検討することにしています。

 

固定価格買取制度とは

「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、再生可能エネルギーで発電された電気を、その地域の電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度です。電力会社が買い取る費用を電力利用者全員から賦課金という形で集め、今はまだコストの高い再生可能エネルギーの導入を支えることが目的とされています。

(出典:資源エネルギー庁)

買い取り中断を余儀なくされたということは予想を上回る余剰電力の売買が行われたということであり、制度自体は活性化されていたと言えるでしょう。

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(出典:資源エネルギー庁)

この制度が実施されているように現在の日本にとって再生可能エネルギーを普及させていくことは喫緊の課題と位置づけられているのですが、再生可能エネルギーは日本の地理状況・制度状況を踏まえると一国の電力をまかなえるまでに運用するには課題が山積しています。

 

なかなか普及してこなかった再生可能エネルギー

資源エネルギー庁が発表するエネルギー需給状況の確報は二年前の2012年度が最新のものですが、日本の電力構成における再生可能エネルギーの割合はその時点で1.6%のみでした。

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(出典:資源エネルギー庁)

次に各再生可能エネルギーの課題を簡単にまとめてみました。

*太陽光発電

発電量は2012年度で全体の0.4%です。技術の発展に伴って、課題の一つでもあった太陽光パネルの能力自体は向上していると言われておりますが普及状況は低水準かと思われます。その理由として、四季や台風など自然環境が変化に富む日本における太陽という不安定要素に依存する電力であるという理由もありますが、それ以上に大きい理由は農地法による休耕地への建設制限や、送電網を電力会社に接続する際の制度的障害など、法律などの人為的な面に依存するところが大きいと言えます。

*風力発電

発電量は2012年度で全体の0.5%です。島国である日本は海風が強い場所が多いので風力発電に適した気候ですが、明確に課題が存在します。大別すると、自然環境・景観問題・安全性の問題・騒音問題・コストの問題です。風力発電機を設置する上で自然環境を人為的に改変することは避けられませんし、地方の開けた場所に発電機を置くことは景観を損なうとして住民から反対を受けています。日本の狭い土地では住居の近くに発電機を置かざるをえない場合もあり、その場合には地域住民への騒音被害は免れません。コストの問題については、風力発電はどうしても大型の設備を導入しないと採算が取れるだけの発電量を得ることが出来ないため、新規参入を難しくし事業拡大を阻む要因となっています。

*地熱発電

発電量は2012年度で全体の0.3%です。火山が多いため世界第三位の地熱資源を持つ日本にとっては適切な発電方法であると感じられますが、やはり課題が存在します。地熱資源の豊富な場所の多くが国立公園や自然公園内にあるため法律的に発電所の建設が出来ないこと、地下水をくみ上げて発電に利用するので温泉を営業する団体からの反対を受けること、そして風力発電以上に大規模な設備が必要になるためコストの問題が主な障害です。

*バイオマス発電

発電量は2012年度で全体の0.5%です。バイオマス発電の大きな特徴はカーボンオフセットを実現できるという点、そして林業における廃材や家畜排せつ物など従来廃棄されてきたものを循環利用できるというところが利点として挙げられますが、その反面資源が広範囲に且つ小規模にしか分布していないため十分な発電量を生み出すためにはどうしても収集・運搬・管理コストが発電量と比較して高くなってしまい、市町村内での循環利用など小規模分散型の設備にならざるを得ないという課題があります。

 

再生可能エネルギーの生きる道

わたし個人としては、再生可能エネルギーがこれから先急激に普及していくことはとてもむずかしいのではないかと思います。技術革新によって設備コストなどは減少していくと考えられますが、それ以上に再生可能エネルギーは法制度や人的トラブル、日本の自然状況・土地状況など、即座に解決することが不可能だと思われる課題によってその普及を阻まれているからです。

しかし、固定価格買取制度がある程度活性化したことを鑑みれば、民間で小規模分散的に電力を供給する役割であれば十分に果たすことが出来ると思います。

つまり国の電力を担うとはいかないまでも、分散的に電力供給を補助する役割として考えれば、再生可能エネルギーはやはり今後も日本のエネルギーミックスの重要なファクターとして位置づけられるべきでしょう。

Photo by pixabay

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