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任天堂は2014年8月29日にニンテンドー3DSの上位種としてNewニンテンドー3DSを同年10月11日に発売することを発表しました。

プレスリリース後、Newニンテンドー3DSは東京ゲームショウ2014で”モンスターハンター4G”の試遊台で使用され、店頭体験も各地で行われてきました。こうした積極的な宣伝戦略を経て間もなく発売日を迎えます。

任天堂はこれまでも主に携帯ハードの販売において、新しい機能を搭載したり画面を大きくしたりするなどマイナーチェンジを行ってきました。ちなみにですが、ここでいうマイナーチェンジはカラーリングのみの場合を指しません。

今回の記事ではNewニンテンドー3DSの詳しいスペックなどの解説をするのではなく、視点を広げて前系列機種であるニンテンドーDSと比較しながら任天堂のハードウェア・ソフトウェアマーケティングに関する今後の狙いを考察したいと思います。

 

携帯ゲーム機の歴史

発売年度は日本を基準としています。

 発売年 ゲームボーイ系列
1989年 ゲームボーイブロス
1996年 ゲームボーイポケット
1998年 ゲームボーイライト
1998年 ゲームボーイカラー

 

 発売年 ゲームボーイアドバンス系列
2001年 ゲームボーイアドバンス
2003年 ゲームボーイアドバンスSP
2005年 ゲームボーイミクロ

 

 発売年 ニンテンドーDS系列
2004年 ニンテンドーDS
2006年 DS Lite
2008年 DSi
2009年 DSi LL

 

 発売年 ニンテンドー3DS系列
2011年 ニンテンドー3DS
2012年 3DS LL

3DSは現時点ではまだ機種展開は広くありませんが、カラーリングバリエーションが他機種に比べて非常に多いのが特徴です。

 

売上台数の推移

こうしたマイナーチェンジは販売台数促進のために行われるものと世間的に認識されています。以下では実際にその販売台数が上向いたかどうかをグラフでまとめました。
(単位は全て万で統一されています。)

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ゲームボーイは1998年からの記録しかありませんでしたので、ゲームボーイアドバンス(GBA)と関連付けてあります。
GBAが発売されてから一気に販売台数が減ったのが見て取れます。ただし、ゲームボーイのソフトはGBAでもプレイできたので、この動きは任天堂としては意図通りのものと言えるでしょう。

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GBAはマイナーチェンジによって販売台数を維持することに成功しています。GBASPによって2004年4月までの売り上げ水準は高い位置を維持していました。2004年にニンテンドーDSが発売され、こちらもGBAのソフトと互換性があったため、その後販売台数は落ちていきます。

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ニンテンドーDSはマイナーチェンジで販売台数を伸ばすことに成功しました。3DSが発売されるまでに3つの機種を発売し、2010年までは常に前年度の売上台数を超えています。

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これまで述べてきたハードに比べて3DSはかなり低調な動きとなっています。画面を大きくした3DSLLを発売したにも関わらず、売上台数はそれまでのハードと同じような動きを見せてはおらず、前機種のDSと比べると最大売上台数に約1600万の差がついています。

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このような販売推移の中、3DSの上位機種を発売するのは任天堂のハードウェア戦略としては従来通りの動きと言えます。

 

ソフトの売上推移

しかし、ソフトの売上推移と合わせてデータを見ていくと3DSのマーケティングには別の視点が必要なのではないかと考えられます。
以下、3DSとDSを比較していきます。まずハードごとにソフト売上推移を見ていきます。

ミリオン達成タイトルの項についてですが、発売年別にミリオンを達成したタイトルを分類しています。ミリオンを達成した年ではありません。

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DSはマイナーチェンジを経てハードの普及台数が増えるのとほぼ同時にソフト売上も向上しています。
またミリオン達成タイトルも2012年4月までコンスタントに出てきています。

 

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比較して3DSは同じ年数が経過した頃のDSの勢いと比べると明らかに不調です。ソフトの売上本数は増えてはいますが、未だに7000万本に届いていません。DSは発売から3年でこの数字を達成しています。

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発売後の期間で見て、DSと3DSのハード売上台数にソフトほど大きな差が見受けられないことを考えれば、3DSの売上不調はソフトウェアの魅力度が足りない、または以前に比べてソフトウェアの開発に費用と年数がかかりすぎてしまい、リリーススピードが低下してユーザのニーズに対応出来ず、ユーザの興味関心を捉えきれなくなっているのではないでしょうか。

 

今後のゲームマーケティングの在り方を考える

この状況を説明する理由は幾つか考えられますが、ゲーム市場において家庭用ゲームの勢いが落ちてきているというのが一つの理由として挙げられると思います。

サイバーエージェント子会社のCyberZが2014年3月25日に発表したところによると、ネイティブアプリ、ブラウザゲームを合わせた、2013年の国内スマートフォンゲーム市場規模は、5,468億円(前年比178.0%)でした。これは、同年の国内ゲーム市場規模全体の約5割を占め、国内家庭用ゲームソフト市場規模2,537億円の約2.2倍となっています。

こうした状況に対応する方策としては、主力製品をスマートフォンゲームに切り替える家庭用ゲームソフトの開発年数・開発費用を減らして質を落としてでもリリーススピードを上げる、スマートフォンゲーム市場がまだ成熟しきっておらず最終的には質を求めるニーズに応える形で開発費用・開発年数もそれなりのものになってアドバンテージがなくなることを見越して家庭用ゲームソフトにコストをかける、といった選択肢などがあると思われます。

任天堂は独自ハードにこだわりすぎてスマートフォンゲーム市場に乗り遅れたという見方も勿論ありますが、だからこそ後追いでスマートフォンゲーム市場を追いかけるよりは家庭用ゲームソフト・ハードの質の向上に努めるという考え方もあるのではないでしょうか。

10月11日に発売するNewニンテンドー3DSはキラータイトルである”モンスターハンター4G”と同時発売であり、また9月13日に発売し早くもミリオンを達成している”大乱闘スマッシュブラザーズ for 3DS”をNewニンテンドー3DSに買い替えてプレイしたいという需要もあることを考えれば、3DS全体のハード普及率はまだ上がる見込みがあります。

そしてハードの普及率が上がっているところで質の高いソフトウェアを提供できれば3DSの販売低調を抜け出すきっかけに出来るはずです。

今回の上位機種発売は、任天堂の家庭用ゲーム機に対する諦めない姿勢を表しているように感じられます。

私個人としましても、任天堂が今後も自社開発のソフトの質向上と共に各デベロッパーの有力タイトルを呼び込み、家庭用ゲーム市場を盛り上げていってほしいと思います。

 

[参考文献]
*任天堂,2014,任天堂ニュースリリース,(2014年10月5日,http://www.nintendo.co.jp/corporate/release/2014/140829.html )
*任天堂,2014,任天堂ヒストリカルデータ,( 2014年10月5日,http://www.nintendo.co.jp/ir/library/historical_data/)
*Wikipedia,2014年,任天堂各ゲームハードについて-wikipedia(2014年10月5日,http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%BB%E5%A4%A9%E5%A0%82)
*RBBTODAY,2014年, スマホゲーム、2013年は市場規模5,468億円……家庭用ゲームソフト市場の約2.2倍に(2014年10月5日,http://www.rbbtoday.com/article/2014/03/25/118180.html)
*NAVERまとめ,2014年, ニンテンドー3DSソフト累計売上ベスト110まとめ(2014年10月5日, http://matome.naver.jp/odai/2135135234709394901)
*NAVERまとめ,2014年, ニンテンドーDSソフト累計売上ベスト50まとめ(2014年10月5日, http://matome.naver.jp/odai/2133802755256724201)

photo by pixabay

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