中村祐輔教授、がん細胞を狙い撃つ新物質発見

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がん細胞の持つ特異的な性質を分子レベルで捉えて、それを標的に効率良く狙い撃ちする薬を「分子標的薬」と言います。

その分子標的薬の新しい有力候補となる化合物を発見したいう報告を、22日にシカゴ大学の中村祐輔教授の研究チームがアメリカの医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」に発表し、注目を集めています。

がん細胞の増殖には、「TOPK」というたんぱく質が重要な役割を果たしています。このTOPKとは、中村祐輔研究室のゲノム包括的遺伝子解析により解明されたもので、乳がん、肺がんなどを含めた多くのがんでの発現が高く、逆に正常な組織での発現はほとんどありません。

そのため、教授の研究チームはこのTOPKに作用する薬剤が、多様ながんに適応、また副作用のリスクも低いと考え、30万種類の化合物の中からTOPKの働きを阻害するという新物質を探し出したのです。

実際にこの化合物を肺がんのマウス6匹に週2回ずつ、3週間に渡って注射したところ、5匹のがん細胞が最初の注射から25~29日後に完全に死滅したそうです。この化合物にはそのまま投与すると白血球が減ってしまうなどの副作用がありましたが、化合物を脂質の膜で包むという改良を加えることにより、副作用も小さくなったということです。

この発見をした中村教授は、専門は遺伝学、分子生物学で、10年以上前からがん細胞にだけ働くタンパク質を見つける研究に取り組んできました。既にいくつかのがんに関する発見や研究結果を発表し、高松宮妃癌研究基金学術賞、(財)癌研究会学術賞などを受賞しています。

今回発見された低分子化合物による分子標的治療薬は、がんワクチン医薬や抗体医薬などとともに、より副作用が少なく治療効果の高いがん治療薬として、その開発に期待が高まっています。

Photo by flickr

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