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毎日新聞の取材に対して、自民党の野田税制調査会長が酒税を変えることに関して次のように言及しました。

将来的な酒税の一本化を目指し、まずは酒税が安い発泡酒と第3のビールの税率を増税し、高い酒税のビールを減税したい。(自民党の野田毅税制調査会長)(文献1)

 

酒税法って何?

そもそも、酒税とはなんなのでしょうか?言葉から考えると、お酒にかかっている税金が酒税だろうことは予想がつきます。しかし、これがどういう仕組みであるのか、詳しく知っている方は少ないと思います。

酒税は次のように定義されています。

酒税とは、「飲用に供し得る程度まで水等を混和してそのアルコール分を薄めて1度以上の飲料とすることができるもの」や「水等で溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む飲料」といった「酒類」に対して課される税金です。(文献2)

さらに、酒税には基本税率と特別税率があります。基本税率とは、4つのジャンル(発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類)に対してかかる異なる酒税のことです。特別税率とは、4つのジャンルのなかの1つずつに対して、別途決められている異なる酒税になります。

なんだかよくわかりませんね。例えば、4ジャンルのうちの1つ 発泡性酒類では、基本税率は、1klあたり22万円。特別税率は、条件ごとに約18万円、13万円、8万円となっています。

 

消費税と酒税の違い

消費税と酒税の違い
(筆者作成)

同じ税金でも、酒税と消費者では課税の仕組みが違うことがわかります。さらに、詳しく知りたい方は、「二重課税問題」で検索すると複数の事例を知ることができます。(文献3)(文献4)(文献5)

 

酒税のジレンマ

2013年時点で、酒税は国税収入の約3割、国税と地方税を合算すると、相続税と同じくらいの比率を占めると言われています。(文献2)つまり、酒税は、日本にとって大きな収益源。ということは、酒税が高いお酒が売れた(出荷された)ほうが、高収入で日本にとってプラスになります。

まず、出荷量(課税数量)を見てみましょう。(文献6)

ビール、発泡酒と第3のビール出荷量の推移
(筆者作成)

次に、ジャンルのカテゴリの構成比を見ます。(文献6)

ビール、発泡酒と第3のビール構成比
(筆者作成)

両グラフとも、わかりやすいように好調の第3のビールだけを黄色で強調しました。

こうしてみると、今後も第3のビールの出荷量が増えていくだろうから、いまの安い酒税ではもったいない。酒税を増税することでより税収入が多くなるだろう、という酒税変更の背景が予想できます。

 

まとめ

第3のビールのように、明らかに出荷量が増加傾向にあるお酒に関しては、酒税を増税したほうが多くの税収入が予測できます。それが理由で自民党の野田税制調査会長が、第3のビールの増税に言及したのだろうと思われます。

ただし、疑問も残ります。それは、「発泡酒はビール同様に小康状態にあるのに、なぜ増税をするのだろうか?」ということです。なぜ、第3のビールだけ増税することにならないのか。いずれにせよ、出荷量を一つの理由として、第3のビールの酒税見直しがされる可能性があることがわかりました。

[参考文献]
(1)2014年、「自民税調会長:ビール類税率「一本化が望ましい」」、毎日新聞、(http://mainichi.jp/select/news/20141102k0000m020103000c.html 2014年11月3日 取得)
(2)田中卓也、2014年、「知っているようで知らない「たばこ税」と「酒税」」、All about、(http://allabout.co.jp/gm/gc/428072/ 2014年11月3日 取得)
(3)2014年、「酒類の税率と課税標準」、Japan Tariff Association、(http://www.kanzei.or.jp/refer/in_t/internal_tax1_2.htm#happousei 2014年11月3日 取得)           
(4)2014年、「酒税に消費税を掛けるタックス・オン・タックスは二重課税」、多酒創論(http://tasyusouron.jugem.jp/?eid=30 2014年11月5日 取得)                      
(5)2014年、「「たばこ税・酒税・ガソリン税と消費税の関係」第364号」、牧野正高 税理士事務所、(http://primedata.jp.net/fax/2012/08/364h24831_2.html 2014年11月5日 取得)(6)2014年、「データブック2013」、Kirin Company、(http://www.kirinholdings.co.jp/irinfo/library/annual/pdf/ar2013_03.pdf 2014年11月3日 取得)

Photo by http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BA%E6%B3%A1%E9%85%92

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