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ワクチンを打つべきか。打たざるべきか。

ワクチンによる恩恵を実感できない先進国では、ワクチンの必要性がたびたび議論の的になります。しかし、「意義ある議論を進めるためには、前提となる正しい知識と持論を展開するための説得力ある論拠」を賛成派・反対派問わず、双方が持ち寄らねばなりません。

今回の記事で解説するのは「ワクチンの議論の前提となるべき正しい医学知識」についてです。

ワクチンを打つべきか。打たざるべきか。

議論を始める前に、前提となる医学知識をこの記事で理解しましょう。

 

Ⅰ.”知らない間に受けている集団免疫の恩恵”

ワクチンの効果は「個人免疫」と「集団免疫」の2つの側面から理解されます。個人免疫とは、みなさんもご存じのとおり、ワクチンによって病原体に対する免疫ができることで、感染した時に発症を防いだり重症化を防いだりする効果のことです。

では、「集団免疫」とはなんでしょうか。次の図を見てください。

集団免疫
(出典: Pharmaceutical Research and Manufacturers of America “Vaccine Fact Book 2012″)

集団の中に免疫を持つ人が多くいる場合、病原体を運ぶ人や増幅させる人が少なくなるため、その感染症自体が伝染しにくくなります。

この間接的なワクチンの効果のことを「集団免疫」と言います。

あまり知られていませんが、この「集団免疫」というワクチンの効果は、とても重要なワクチンの効果の1つです。この「集団免疫」の素晴らしい点は、生まれたての赤ちゃんやアレルギーのある人、免疫不全患者などさまざまな理由でワクチンを打つことができない人々にもワクチンの恩恵を届けることが出来る点にあります。

個人免疫と集団免疫について、図でわかりやすく解説したいと思います。

2
出典:著者作

ワクチンの普及している日本に生まれ育っている時点で、曝露(ばくろ:病原体にさらされること)の可能性は減っています。これが「集団免疫」の効果です。

さらに、病原体にさらされてもワクチンによって獲得した免疫が病原体を追い払い、発症する確率が減ります。これが「個人免疫」の効果です。

「ワクチンを打たないけど病気にならないよ」という人がいますが、「集団免疫」というワクチンの恩恵はそういった人にも平等にもたらされていることを忘れてはいけません。
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