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米ミズーリ州ファーガソンで丸腰の黒人少年が白人警官に射殺された事件(マイケル・ブラウン事件)で、地元大陪審は24日、警官ダレン・ウィルソン氏を不起訴処分としました。ファーガソンでは、これに反発した黒人住民らのデモが暴動・略奪となり、警官隊と激しい衝突を繰り広げました。

 

事件の発端

事件の発端は今年8月、黒人少年マイケル・ブラウン氏が歩道を歩くよう同警官に注意され口論となり、警官が丸腰の同氏を射殺したことでした。

ウィルソン氏は、「身長約193センチ、体重が136キロ近いブラウンさんが迫ってきて、命の危険を感じた」と主張しましたが、複数の目撃者は「ブラウンさんは降伏しようと、両手を上げていた」とし、両者の主張は食い違っており、判断は地元の大陪審に委ねられました。

事件以降、長期に亘りブラウン氏を支持する人々によるデモが続き、暴動を懸念したニクソン州知事は8月に非常事態宣言を行いましたが、9月には一旦解除されました。その後、大番審による判断が近づいた11月17日、再度非常事態宣言が出されています。

結局、大陪審はウィルソン氏を不起訴とし、マクロウ地方検事は大陪審の判断を受け、24日の記者会見で「一方的な証言者の話がいくつもメディアに流れたが、今回の大陪審はすべての証拠を見て判断した」と述べました。その上で「警察官は射殺したが、発砲のきっかけとなった犯罪をしたのは青年だった」としました(11月25日付日本経済新聞電子版)。

納得のいかないデモ隊の抗議は頂点に達し、暴徒と化しました。大陪審の陪審員が白人9名、黒人3名という構成だったことも、ブラウン氏支持者に「フェアな判断ではない」と思わせた理由のひとつでしょう。

CNNによる現場の中継では、ファーガソン市内で車や建物が焼かれ、店舗からの略奪の様子も報じられました。また、「撮影するな」と叫ぶ暴徒もおり、リポーターの安全が脅かされる場面も見受けられました。

今回の暴動は、日本でも大きなニュースとなった1992年のいわゆる「ロス暴動」を想起させます。これは白人警官による黒人殴打事件について無罪判決が出たことを機に、黒人を中心とした暴動が起こり、死者53人、負傷者2,000人、放火件数3,600件、崩壊した建物は1,100件にも達した大暴動でした。

 

アメリカにおける人種問題

アメリカにおける白人と黒人の対立は古くて新しい問題です。南北戦争中の1862年のリンカーンによる奴隷解放宣言、戦後の憲法修正によって体裁として黒人は奴隷としての地位を脱しましたが、現実社会における黒人差別は相変わらずでした。

南北戦争の混乱が収まると、アラバマ州、ミシシッピ州などの南部諸州では、黒人差別を合法化するジム・クロウ法が制定されました。この法律は、主に黒人(白人以外の有色人種全て)の、一般公共施設の利用を禁止・制限した法律です。

例えば、病院、電車、レストラン等で、黒人は白人と同席することはできませんでした。奴隷解放宣言や憲法修正は理念としては素晴らしいものでしたが、社会生活においては、特に南部では全く実の伴わないものでした。

黒人が真の意味で「解放」されたのは、1950年代から60年代にかけてのいわゆる公民権運動によってでした。

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