STAP細胞騒動を振り返る

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STAP細胞発表

今年1月28日、「普通の細胞にある刺激を加えるだけで、どのような細胞にも変化ができる万能細胞(STAP細胞)を作り出すことに成功した」と、ユニットリーダーである小保方晴子さん(当時30歳)を中心とした理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(以降、理研)のグループが発表しました。

イギリスの有名科学誌ネイチャーに論文が掲載され、この画期的な新技術に世界中の注目が集まりました。小保方さんが割烹着姿で実験している姿が報道されるなど、そのキャラクターも注目され、理系女子(リケジョ)への注目が集まりました。

 

発表から一転

2月に入り、「掲載された論文中の画像に不自然な点がある」という指摘を受け、調査が始まりました。当初はささいなミスであり、結論はゆるがないとされていましたが、論文中に過去の論文と酷似した表現があるなど次々に信頼性を低下させる指摘がなされたことを受け、3月に入って理研は論文の撤回を表明しました。

4月、記者会見を行った小保方さんが「STAP細胞はあるのか?」という問いに対して、「STAP細胞はあります」と回答しました。論文執筆にあたって未熟な点があったことは認めつつも、「200回以上作製に成功した」という発言もみられ、STAP細胞の存在はゆるがないとする立場を示しました。

また、理研の調査委員会が小保方さんによるねつ造や改ざんがあったとする認定を下したことに対して、不服申し立てを行いました。現在、理研は来年3月を期限とし、STAP細胞の検証実験を行っていますが、中間報告によるとまだ再現はできていないということです。

 

笹井氏の自殺

8月、論文の共同執筆者であり小保方さんの指導者であった理研の笹井芳樹副センター長が自殺し、ニュースになりました。理研側が小保方さんの不正を公式に認定する中で、笹井氏の責任を追及する声が高まり、精神的に追いつめられていたとみられています。

 

STAP細胞報道をめぐって

STAP細胞騒動が世間に投げかけたことは、

・日本の研究への信頼が揺らいだこと:いわゆるコピペ(コピーアンドペーストの略。他人が書いた既存の文章を、引用という形はとらずにそのまま自分の作成する文章に使用すること)がSTAP論文中に指摘されました。また、データの改ざんも指摘されました。どちらも客観性、独自性が求められる科学論文において、あってはならないことです。このようなことが理研という国を代表する研究機関から出された論文中にみられたことを受け、日本の研究への信頼がゆらぎました。研究不正、研究倫理への世間の目は、この騒動をめぐって厳しくなりました。

・若手研究者への待遇:今回の騒動を巡り、小保方さんという一人の若手研究者にのみ責任を負わせることへの是非が物議を醸しました。また、成果主義に偏重しがちな日本の研究環境など、必ずしも若手研究者にとって好ましくない状況も指摘されました。

・引責自殺をもたらした職場環境:笹井氏の自殺を受け、引責自殺を避けることができなかった理研の職場環境への 批判がなされました。

といったもので、日本の研究機関全体における問題が露見したと言えます。

Photo by Robert Couse-Baker on flickr

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