ネット選挙時代到来!12/5ニコ生で行われたネット演説の内容まとめ【衆議院選】

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2014年12月に行われている今回の衆議院解散総選挙はネットでの選挙活動が解禁されてから、衆議院に関して初めての選挙となります。

そして12月5日にはニコニコ生放送でネット演説大会が行われ、13人の候補者が15分の持ち時間の中で応援者と共に演説をしました。候補者はステージ上で演説を行うのですが、四方をモニターで囲まれており、モニターには来場者のアバターが表示され、コメントが候補者に直接伝わる形が取られました。

本稿では各候補者がネット演説で話した内容をまとめ、コメントの反応を交えながら概観していきたいと思います。用いた図表は全て筆者が作成いたしました。

 

候補者たちはどんな人たちだったか

今回、演説を行った候補者は次の13人です。演説の順番は上から順でした。

政党 候補者 選挙区 応援演説者
自由民主党 平沢勝栄 東京17区 浅川博忠
日本共産党 大田朝子 東京16区 崎明日香・白石たみお・牧野研二
日本共産党 池内さおり 東京12区 青山昴平・米倉春奈・山崎たい子
民主党 早川周作 東京比例 水口昌司・伊藤健太・明星智洋
維新の党 落合貴之 東京6区 真山勇一、三木悠貴、薗部誠弥、比留間聡子
社民党 石川大我 東京比例 佐藤あずさ
社民党 松本翔 埼玉1区 勝浦敦
生活の党 松崎哲久 北関東比例 星川一恵
新党改革 後藤まさよ 東京比例 岡田恵理子
自由民主党 ふくだ峰之 神奈川8区 松前博恵・村上明日香・大西亜里
新党改革 中川コージ 東京比例 杉山知之・中川光代
次世代の党 渡辺徹 東京1区 竹田恒泰
次世代の党 田母神俊雄 東京12区 山際澄夫

公明党のみ演説者がいない格好となりました。自由民主党・共産党・社民党・新党改革・次世代の党は2人、民主党・維新の党・生活の党は1人が演説をしました。

ここからは各候補者がどのような演説を行ったのかについて、

1-経済政策について

2-外交関係について

3-安倍政権が推進したことについて(原発再稼働、秘密保護法、集団的自衛権など)

4-その他や演説姿勢について

以上の四つの観点に基づいて概観していきます。本稿では政策など具体的な事柄に限ってまとめているため、候補者の人柄などに関する演説内容については割愛させていただきました。

表中の政党については省略したもの、候補者については苗字のみで表記しております。

 

 1-経済政策について

13人中10人が経済政策に関する意見を述べました。

政党 候補者 主張内容
自民 平沢  アベノミクスを止めるべき時ではない。政策の連続性を保っていくとき。
共産 大田  非正規雇用を増やすアベノミクスを容認は出来ない。サービス残業・非正規雇用の増加を取り締まる法案を作成して国会で成立させる。
共産 池内  アベノミクスで庶民生活の景気は全く良くなっていない。失敗したことを安部首相は認めるべき。大企業の内部留保を放出させる。
民主 早川  アベノミクスで私達庶民の生活は良くならなかった。欠けているのは中小企業・ベンチャー企業の支援ではないか。
社民 石川  一生懸命働いた人が報われるような政策を実施したい。
社民 松本  TPPは日本の農業者を苦しめてしまう。効率は上がるかもしれないが、本当にそれでいいのか。 
生活 松崎  安部首相が増税を行ったことで経済再建が失敗した。増税する前にやるべきことがある。アベノミクスでは見かけの景気が上がるだけ。実質賃金は下がっている。良い数字だけでなく現場の声に耳を傾けよ。
新党改革 後藤  女性の社会進出推進法案、エネファームなど代替エネルギーを推進する法案を通し、徐々に脱原発、アベノミクスが成功する後押しとしたい。
自民 ふくだ  アベノミクスにかわる政策パッケージを野党から提示されて議論したことは国会でもない。そういう意味でもアベノミクスしか考えられない。
新党改革 中川  大学院生、研究者としてコンテンツ産業を研究してきた。コンテンツ産業にしっかりお金が回って、若者たちが盛り上げていけるような仕組みを作ってアベノミクスの経済成長の助けとしたい。

アベノミクスについて明確に批判の姿勢を示したのは民主党・共産党・生活の党でした。対して賛成を示したのは自民党・次世代の党、また補完の必要性を示唆したのは新党改革でした。

 

 2-外交関係について

13人中6人が外交関係に関する意見を述べました。

政党 候補者 主張内容
自民 平沢  韓国・中国に対して過剰に配慮する必要はない。
共産 大田  9条を改正せず、そのまま活かす外交戦略を模索すべき。
共産 池内  ヘイトスピーチを許してはならない。また慰安婦に関する歴史を偽造する政権を許してはならない。
新党改革 中川  その時の首相が情勢を見て判断することなので、私から述べるべきことは特にない。
次世代 渡辺  韓国・中国に対しては無理に関係を改善しようとする必要はないのではないか。
次世代 田母神  公明党が推し進めているように、韓国・中国に過剰に配慮してしまうような行動を取る必要はない。

共産党は安倍政権を批判する形をとって、9条改正・ヘイトスピーチ・慰安婦について言及しました。自民党・次世代の党は韓国・中国との関係に関して意見を述べました。

 

 3-安倍政権下で行われたことについて

13人中6人が安倍政権下で推進されたことについて意見を述べました。

政党 候補者 主張内容
民主 早川  一党独裁にして安倍政権の今回のような暴走を許してはならない。そのための受け皿として民主党がある。
維新 落合   原発が再稼働されてしまうのは利権と絡み合っている自民党が政権だから。 私達なら、原発に頼らず新エネルギーへの投資を強化して住み良い社会を作ることが出来る。
生活 松崎  安倍政権の、秘密保護法や集団的自衛権などの暴走をあなた達若者は容認できるのか。戦争に行くことになっても構わないのか。
自民 ふくだ  解散前は水素社会の実現に向けたロードマップの作成、ネット選挙解禁の法案を担当してきた。
次世代 渡辺  外国人参政権、在日外国人への生活保護。これらはありえないと考える。GHQに押し付けられた憲法は絶対に改正したい。
次世代 田母神  集団的自衛権について、マスコミが戦争まっしぐらだとか煽るのは本当におかしい。自衛隊が命をかけて活動しているのに、日本の法律によって国際活動が自由に許されていないせいで、自分の国を自分たちで守ることが出来ない。

民主党・維新の党・生活の党が安倍政権への批判を明確にする一方で、次世代の党は安倍政権下で行われたことに対する賛成姿勢を示しました。

 

 4-その他、演説姿勢などについて

以上3つの観点で捉えきれなかったことについてまとめてご紹介します。

政党 候補者 主張内容
自民 平沢  民主党政権時代に赤字国債が増えたことなど、民主党批判の姿勢。
共産 大田  これまで若者の雇用問題にミクロな視点で関わってきた実績を主張。
社民 石川  応援者と対談形式で、コメントを拾いながら演説を行った。ニッチな要望を取り入れられるような政党を目指すとのこと。
社民 松本  応援者と対談形式で、コメントを拾いながら演説を行った。
新党改革 後藤  年金介護保険を一本化して安定化させること。オリンピックに向けてバリアフリーを推進することもしたい。
自民 ふくだ  ネットの選挙に対するインパクトを示す選挙でもあること。ネットvsテレビの対決姿勢を強調。
次世代 渡辺  応援者との対談形式で、コメントを拾いながら演説を行った。
次世代 田母神  応援者との対談形式で、コメントを拾いながら演説を行った。

5人が候補者と応援者との対談形式にし、表示されるコメントを拾いながら双方向的に演説を行ったという点はネット演説ならではのものだと考えられます。

 

 今回の演説大会のおけるユーザの特徴

ここからは筆者の視点に基づく主観的なものではありますが、コメントの様子について概観いたします。

まずコメントを打った来場者の属性について、放送中に行われたアンケートの数字を用いて整理します。

年齢層・男女比・投票に行くかどうか・ネット演説の感想に関するアンケートが行われました。なお、リアルタイムでの来場者数は84618人、コメント総数は208325でした。

*年齢層

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最も多い年齢層は30代で31%、逆に最も少ないのは10代で7.1%でした。10代の視聴者が少ないのは選挙番組ですので当然だと考えられます。どこかの世代が欠けているということはなく、どの年齢層のユーザも一定数視聴していました。

 

*男女比

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男性が女性を大きく上回る72%となりました。DWANGOが2014年11月13日に発表した9月期通期決算資料によれば、男女比は男が66%、女が34%であったことを踏まえると、今回のネット演説大会は女性よりも男性の興味を引くコンテンツであったことが分かります。

 

*選挙に行くつもりかどうか

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過半数を大きく超える87%が選挙に行くつもりであると回答しました。行かないと答えた人について、このアンケートの後で運営側から「なぜ行かないのか理由をコメントして下さい」ということでその時間が設けられましたが、「未成年だから」というコメントが多くを占めました。

 

*今回のネット演説大会の感想

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過半数を大きく超える79%が”とてもよかった”と回答しました。”まぁまぁよかった”を含めれば約95%のユーザが今回のネット演説大会というコンテンツに満足したことになります。

 

コメントの大まかな傾向ですが、自由民主党や次世代の党が右寄りの発言をする際に好意的な反応を示しました。具体的には、表にも上げたような「中国韓国に対して配慮する必要はない。」や、「日本という自国の愛すべき国を自分たちで守らねばならない。」といったものが例として挙げられます。

対して安倍政権に対する批判は基本的に冷ややかな態度でしたが、特徴的だったのは単純な批判に対して“具体的政策は?”というように、建設的な議論を求めるコメントが目立ちました。その傾向が顕著にみられたのは新党改革の二人が演説を行った時でした。アベノミクスに対して基本的に賛成の立場を取りつつも、欠けている点を指摘し補おうとする姿勢の演説を行った二名にはポジティブなコメントが多くみられました。

また、今回は割愛しましたが、社民党など自身の人柄に関するアピールを行う演説姿勢に対しては、これもまた具体的な意見を求めるコメントが大勢を占めました。

以上をまとめれば、抽象的なテーマよりも具体性のあるテーマを好み、比較的右寄りの考えを持つユーザ層であったということが言えるかと思われます。

 

 演説姿勢に関する特徴

ネット演説の特徴として次に挙げられるのは、コメントを拾いながら演説を行っていく姿勢が必ずしも成功したように映らなかった点です。

これは前述したユーザの好みと関連する所ではありますが、例として社民党はコメントを丁寧に拾いながら社民党、立候補者について知ってもらうという視点による演説を行いましたが、ユーザからの反応は芳しくありませんでした。

対して、自民党のふくだ峰之候補がネットとテレビの対決構図を明確にしたり、次世代の党が右寄りの発言をして対立構図をはっきりさせていく演説では、コメントが明らかに盛り上がりました。しかし、逆に言えば、これは(現実におけるものと同様に)扇動的な手法に乗せられやすい一面を示した事例でもあるかと思われます。

ネットでの選挙運動が解禁されてから今回が初めての衆議院総選挙となります。ネットでの活動がどれほど実際の選挙結果に影響を及ぼすことになるのでしょうか。

Photo by Wikimedia [参考文献]

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