噂だけじゃなかった!?データを可視化してわかった某政党の衰退【衆議院選】

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国会における各議員の活動を把握することは投票における選択肢として非常に重要な事でありますが、今回の衆議院解散総選挙に関して言えば、単純計算で720日間の活動の全てを把握することはまたとても難しいことだと思われます。

本稿では、その時々においてどのような発言をしたのか、どのような考えを持っているかといった質的な情報からは一度目を離して、量的な情報に目を向けてみたいと思います。

 

 国会議員白書を用いた活動の視覚化

東京大学先端科学技術研究センター准教授の菅原琢氏が公開している『国会議員白書』における衆議院活動統計を用いて、グラフによって可視化することで各政党の動きを概観することが本稿での目的となります。

またデータを見ていく際、議員がどのような行動をしていても、例えその人の議員としての資質がある人の観点に照らして低いものだとしても一つの数字として他の議員と平等に扱われております。よって単純に判断材料とすることは出来ませんが一つの参考指標としてご覧頂ければ幸いです。※1

 

 用語の説明

用いたデータに関する簡単な用語説明を致します。

*本会議

その議院の議員全員の会議であり、議院の意思はここで決定されます。本会議は、公開が原則であり、本会議を開くには総議員の三分の一以上の出席が必要です。その議事は特別の場合を除いて出席議員の過半数の賛成で決められます。

*委員会

常任委員会と特別委員会の二つがあります。本会議と異なるのは、17のカテゴリに分かれて少人数で議論を行うことにより、議題を詳細な点まで審査することに目的がある点です。議員は少なくともその一つの常任委員となることになっており、委員の員数は衆議院ではいちばん多いのが予算委員会の50人で、その他の委員会は20人から45人までとなっています。

実際にこれら組織がどのように機能するかについて、例えば通常の議題について取り上げますと、まず委員会において審査・討論が行われ、そこでの結論を本会議に持って行き、本会議において議論が行われた後、採択を行って可否を決定します。

*質問主意書

国会議員が内閣に対して質問する際の文書のことを指します。委員会等の質疑では所轄外事項について詳細な答弁が期待できないことや、所属会派の議員数によって質疑時間が決まるため、無所属や少数会派所属議員は質疑時間が確保するのが難しくなっています。これに対し質問主意書は一定の制約はあるものの国政一般についての質問が認められ、議員数の制約もないことが最大の特徴です。

 

 今回解散された衆議院における活動について

それでは、実際にグラフを見ていきます。まず、今回解散された第46期衆議院(2012/12/16~2014/12/16)に関する活動統計です。

棒グラフが左側の軸(実際の数値)に、折れ線グラフが右側の軸(各政党ごとの議員数で割った平均)に対応しています。

また本会議・委員会のどちらにおいても発言数と発言文字数は相関係数が非常に高かったため、発言数のみを掲載いたしました。※2

*議員数

num11
与党である自由民主党が多いのは自明だと思われます。野党において注目すべきは日本維新の会が民主党(58人)とほぼ同数の56人の議員数であったことです。

 

*本会議発言数

num33
共産党の平均発言数の多さが目立ちます。自民党の絶対値が大きいのは、やはり殆どの答弁に関わってるからではないかと推察されます。

社民党・新党大地・国民新党は発言数が0回でした。

 

*委員会出席数

num322
ここでも先ほどと同様に、絶対値においては自民党が高く、平均値で見ると共産党が高いという結果が見られます。

 

*委員会発言数

num321
委員会発言数においては、民主党・日本維新の会の絶対値が自民党を上回りました。平均値で見るとここでも共産党が高く、次点の日本未来の党よりも10回以上の発言を行っています。

以上の項目において共通しているのは、次の3点です。

・自由民主党・民主党・日本維新の会は平均値においてほぼ同じ水準に位置する。
・小政党の中では共産党・日本未来の党が若干高い位置にある。
・社民党・国民新党・新党大地・無所属は総じて低い位置にある。

また公明党については、本会議における値は低いとはいえませんが、委員会での発言に関する数値は低いものとなりました。これは現政権が自民・公明の連立政権であり質問する立場になることが少ないことによるものだと思われます。

 

*質問主意書提出数

num323
絶対値でみれば民主党も172回提出していますが、新党大地(2人)は283回の提出を行いました。ただ、これに関して言えば、新党大地の鈴木貴子議員のみで264回の質問主意書提出が行われたことが大きな要因であります。

そこで新党大地を除いたものを以下に示します。

num324
このグラフでは社民党、次いでみんなの党の平均値が高い結果が得られました。社民党は質問主意書に関しては他政党以上の活動を行っていたことが分かります。

 

 民主党政権時代との違い

次に45期(2009/8/30~2012/12/16:民主党政権)と合わせて作成したグラフで、先ほども用いた政党ごとの人数で割った平均値がどのように変動していったのかを見ていきます。

ここでは、期における日数が異なることを留意してデータを見て頂ければ幸いです。全体として、45期が約3年であったのに対し、46期は2年だったため、ほぼ全ての政党の数値が下降傾向にあります。

また比較対象が多すぎて見難くなるのを防ぐために、ここで表示するグラフには自民党・民主党・共産党・社民党・無所属のみを表示しております。

*議員数

num1
自民党・民主党を除いて目に見えて数を伸ばしたのは公明党で22議席から31議席でした。対して、グラフ上では読み取れませんが、社民党は7議席から2議席まで減っています。

 

*本会議発言数

num2
46期は社民党の本会議発言数が0回だったため、他党に比べて大きく減少している様子となりました。他の党に関しては大きく変化してはいませんでした。

 

*委員会出席数

num346
ここでも社民党の落ち込みが目立ちます。また政権担当政党であるかないかという影響からか、45期から46期にかけて民主党の数値の減少が自民・公明よりも大きくなりました。

 

*委員会発言数

num345
民主党は政権担当政党を外れたことで質疑の回数が増えたと考えられます。また、このグラフにおいても社民党の減少が他よりも大きくなりました。

 

*質問主意書提出数

num344
自民・公明と民主党は政権交代の影響が色濃く出ています。他政党と比べると、社民党は質問主意書に関して精力的に活動していたことが読み取れます。

 

大きな傾向として読み取れるのは質問主意書提出数を除いて、45期・46期の期間の長さが違うという影響以上に社民党の活動量が減少していることです。46期では議席が2つしかないため無理もないことではありますが、45期で7議席だった頃と比べると大きく変わった点であると言えます。

また政権が交代したことを受けて、自民党・公明党の推移と民主党の推移は殆ど逆の動きをしています。具体的には、政権担当時に発言数及び発言文字数、特に委員会に関して減少する傾向が見られました。質問主意書提出数に関しても同様の傾向が見られました。

 

 共産党の活躍、社民党の衰退

自民党・民主党・公明党は政権に関わっており正確に活動量を測るには影響が大きすぎたため、共産党・社民党に焦点を合わせます。どちらも小政党ながら政局における存在感を示してきた政党ではありますが、ここにきて対比的な構造が見られました。

つまり、共産党は人数が少ないながらも量的な視点で見れば活発に活動しているのに対して、社民党は46期で議席が減少した影響が活動統計に如実に現れた、ということです。

今回の選挙を経て、この状況がどのように変化していくのでしょうか。

[参考文献•注釈]

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