30代以上の世代が若者の低投票率に寛容であるべき理由【衆議院選】

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12月14 日の衆議院選挙に向けて、メディアでは様々な政治に関する報道がされています。

今回の選挙で鍵を握るのは無党派層だと言われています。選挙の際には必ず言われることですが、この無党派層がどう行動するのか、それによって選挙結果は大きく左右されます。今回の選挙も例外ではないでしょう。

そして近年の投票率を見てみると、20代の若者の投票率が最も低いため、選挙の情勢を左右する可能性を秘めていると考えられます。

しかしながらその20代の投票率は、昭和42年の衆議院選挙を除いて、それ以外の全ての選挙で世代間最下位です。つまり、「低投票率の裏に若者が…」といったような報道は今に始まった事ではないようです。

本稿では過去に低投票率を出した若者は今どのような投票をしているのかというとに注目して議論を進めていこうと思います。

 

 戦後史上最低の投票率を出した世代

戦後の若者(20代)の投票率を見てみると、ワースト1位が平成15年(35,62%)、2位が平成8年(36,42%)、3位が平成24年(37,89%)となっています。この投票率と各当時の人口より投票棄権数を割り出し、どの世代の若者が最も投票を棄権しているのか見ていきましょう

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参考文献: 公益財団法人 明るい選挙推進協会「衆議院議員総選挙年代別投票率の推移」
(※投票数の試算方法は選挙が行われた各当時の人口×投票率[%]/100、投票棄権数の試算方法は人口×100-投票率[%]/100)

結果的には、投票棄権数に関しては推定ながらも平成15年平成8年の方が現在よりも多く、相対的に見て現在の若者(20代)よりも政治意識は低いと考えられます。ではこの当時20代だった若者の投票率は今どうなっているのでしょうか。

このワースト2つの平成8年平成15年を体験している若者ということで、平成8年に20歳であった人たちの投票率の推移を見ていこうと思います。

 

 政治意識の低かった彼らは…

平成8年に20歳だった人たちは平成15年では27歳、平成17年に29歳です。この平成17年の衆議院選挙が彼らにとって最後の20代としての選挙で、次に行われた平成21年の選挙では彼らは33歳で、30代になってから初めての選挙となります。

 

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参考文献: 公益財団法人 明るい選挙推進協会「衆議院議員総選挙年代別投票率の推移」

 

平成8年の20代の投票率は戦後2番目に悪い36.42%という数字です。偶然にも今回の選挙と似ていて、消費税増税の是非が主な争点でした。ちなみに現在20代の若者たちよりも低い投票率です。

平成17年の選挙では平成8年に20歳であった有権者たちが29歳になり、彼らにとっては20代最後の選挙でした。この当時の20代の投票率は46,2%と9年前に比べ約10%も増加しています。

そして彼らは30代になってからの初めての選挙では、30代の投票率は63,87%で彼らが30代になる前の直近の平成17年の選挙よりも約4%も増加しています。この4%という増加率は他のどの世代よりも高い数字です。

歴代ワースト1,2位の20代投票率を出したその当時の世代は30代になっての初めての選挙で投票率増加に貢献しているように思えます。

 

 今の若者はこれからどうなるのか

メディアが一緒くたに「若者」「投票率」と語るものの、投票率の計算の仕方は投票権を持つものを分母に、投票権を行使した人を分子において計算されます。人口は常に変動しているため、その時々の選挙で彼らの言う「若者」と「投票率」は常に変わり続けているのです。

予測の方法が様々あるものの、本稿では平成8年に20歳だった若者が30代になっていく過程で投票率が増えてっていった例を提示しました。今の20代の投票率が低いからとといった将来にわたってそうであるわけではなく、いずれ多くの人が投票に行きだす可能性を秘めているという部分を理解することが大切でしょう。

しかし、20代の人が投票に行かなくて良いというわけではありません。当時と現在では社会状況は全然違います。むしろ、人口ピラミッドがつぼ型の高齢化社会の日本では若者の状況は当時よりも悪いのではないかと言えます。(それを象徴するように今年「2025年問題」という言葉が流行語対象候補にノミネートされました。)

既に述べたように本稿の目的は投票率の増加を遮るようなものではありません。このような若者にとって不利な状況だからこそ、前回よりも一人での多くの若者が投票することが求められています。

そして、昔若者であった現在の30代以上の世代には今の若者の低投票率を批判するばかりではなく、温かい目で見守りつつ力を貸してあげる姿勢を見せるべきではないでしょうか。

photo by Kevin Dooley on flickr

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