人は抱かれないと生きることができないから、赤ちゃんの事故を起こさないためにするべきこと

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出典:BABIES CRLEBRATED Beatrice Fontanel , Claire D’Harcourt Harry N. Abrams,Inc., Publishers1998

抱っこ紐から赤ちゃんが滑り落ちて怪我をしているというニュースが話題になりました。過去5年間で116件もの落下事故が発生しているということですが、これは受診するなどの怪我をした件数で、実際はもっと多いのかもしれません。このような事故報告は数年に一度報道されています

なぜこのような事故が起こるのかを道具の変遷から考えてみました。

 

人は抱かれたから生きている

今、この記事を読んでいる方で抱かれたことがない人はいません。人は人に触れられないと生き延びられないようです。赤ちゃんを抱いたりおぶったりすることは、授乳とセットで何万年も続いてきた行為です。

赤ちゃんを身につけて何時間も労働に従事するためにはできるだけ両手があき身体に負担がかからず、しかも赤ちゃんの成長にとっても良い状態になっていることが求められます。そのために各民族はそれぞれの環境にあったやり方を発見し、道具を作って利用してきました。

 

抱っこ具・おんぶ具の成り立ち

伝統的な子育ての道具はその民族固有の体型や地形、気候などの環境にあったものが取捨選択されてきました。同時に民族の生活にあった身体性と切り離せないものであったようです。

アフリカの民族の多くもかつての日本人もよくおんぶをしていましたが、その位置や方法は全く異なっており、民族特有の体型と環境にあったやり方が受け継がれていました。しかし日本人の生活は半世紀ほどで劇的に変化しており、1世紀前の人と同じように身体を動かすことは難しくなっているようです。

今子育てをしているお母さんたちに赤ちゃんをおんぶしてもらうと、身体に馴染むようにおぶえない人も珍しくありません。周囲に心地よく抱っこやおんぶができている人が少ないのでモデルがいないのです。生活環境の変化が子育ての知見の狭めたと言ってもよい状況です。

そこに海外の道具が入ってきました。欧米の抱っこ紐やおんぶ紐はアフリカの人々と日本人のおぶい方が違うように、抱く・おぶうことについて元々の身体性や考え方が異なるベースから作られています。製品づくりの前提となる使用者の体型も欧米人と日本人では大きく異なります。

 

事故がおこるのは道具の使い方が下手だから?

今回報道されているような事故は抱っこ紐の大きさが体に合っていないか抱っこ紐を体のサイズにあわせて使用しているとは言えない状況で使用していることと、赤ちゃんへの注意の向け方が散漫になってしまったことが原因のひとつだと考えられます。

もともと製品のサイズが合わないことに加えて、中学生頃から続けてきたリュックなどをだら~んと背負うことへの慣れがそうさせてしまっているのかもしれません。

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出典:『写真ものがたり 昭和の暮らし1』農村 須藤巧編,農文協,2004年,撮影 佐藤久太郎

しかし最も大きな原因はお互いの体に寄り添った気持ちの良い抱っこの経験やモデルがないために、ぶら下げて「持ち運ぶ」ようになってしまっているために注意が向かないことが考えられます。

今後メーカーでは安全ベルトを二重にするなどの対応策を検討していくようです。それに加えて海外製品であっても日本国内で販売する以上、主なユーザーである日本人の体型にあったものが提供されることを期待します。

製品としての安全対策も重要ですが抱っこやおんぶをした状態で赤ちゃんがどのような姿勢をとっているか、重心はどこにあるのかを感じられるようなユーザーである必要もあるでしょう。私たち人類は過去何万年も安全ベルトなしで子育てと労働を両立してきました。

便利すぎる生活と引き替えに、そうした身体感覚をなおざりにしすぎているのではないでしょうか。

※本記事は2014年8月6日に書かれた記事を再投稿したものです。

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