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24日、第3次安倍内閣が発足し、新たに中谷元・元防衛庁長官が防衛相に起用され、他の閣僚17人は再任されました。27日には、中小企業や生活者、地方支援に重点を置いた3.5兆円の緊急経済対策を閣議決定するなど、新内閣が始動しています。

内閣発足翌日の25日、大手5紙(読売、朝日、毎日、産経、日経)は揃って社説で第3次安倍内閣にいて論じていますので、各紙の論調を比較してみましょう。

各紙の見出しは、読売「経済再生と好循環を完遂せよ」、朝日「数におごることなかれ」、毎日「異論に耳傾ける政治を」、産経「強い日本へ加速する時だ」、日経「対話重視の政権運営を心がけよ」となっています。

 

政権運営に対するスタンス

まずは政権運営に関して。朝日は、「投票率は戦後最低の52.66%に終わった。自民党の小選挙区での得票率は、そのうちの48.10%。小選挙区で4分の3の議席を得たのは、『民意の集約』を重視した選挙制度の特性によるところが大きい」と、自民党の大量議席獲得は必ずしも多くの有権者の支持を得たものではないことを示唆し、「安倍氏は数の力におごることなく、少数意見にも耳を傾ける丁寧な政権運営を心がけるべきだ」としています。

読売は、衆院選における自民党に対する有権者の支持は、「他の党よりはまし」という消極的なものが多いと指摘した上で、「『1強多弱』体制下でも、自民党は、野党に配慮した、丁寧な国会運営を心掛ける必要がある」と慎重さを求めています。

日経も、「過去の自民党にしばしばみられた『勝ったもの勝ち』といったおごりは厳に慎んでもらいたい」としています。

一方、産経は「おごってはいけない」といった、安倍内閣にある種の「自重」を求める論調に対して、「為政者がおごってはならないのは言うまでもない。しかし、『おごるな』という注文が『安倍政治』の路線を否定し、政策遂行のスピードダウンを迫る意味だとすれば、大きな間違いだ」としています。数を頼みに強引な政権運営をしないよう求める朝日、読売、日経と、安倍首相に足枷をつけるべきではいと主張する産経とで意見は分かれています。

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Photo by  kate hiscock on flickr

経済政策に対するスタンス

経済政策に関しては、読売、産経、日経とも「岩盤規制」(役所や業界団体などが改革に強く反対し、緩和や撤廃が容易にできない規制)を改革することで成長戦略を強化することを求めています。

毎日も、「経済政策で決め手を欠いていた成長戦略は今度こそ中央官庁のタテ割りを排し、農業などの構造改革に本腰を入れる時だ」とほぼ同様の主張です。

朝日は成長戦略の加速を求めつつ、「足もとの政策課題に対応しつつ、財政再建を進めるのは、困難を伴う『狭い道』だ。しかし、両立しか道はない」と財政再建への取り組みの重要性を強調しています。規制を改革し成長戦略を重視すべきという点では、各紙の主張は共通しています。

 

憲法解釈について 

集団的自衛権に関する憲法解釈の変更に伴う安全保障法制の整備では、各紙の論調は二分されています。朝日、毎日は、必ずしも先の衆院選で国民の理解が得られたとは言えないと、関連法案について慎重な姿勢を求めています。

一方で、読売、産経は日米同盟強化の観点から、法案の早期成立を促しています。日経は、「この国をしっかり守ってほしい。そう思わない人はまずいないのに、憲法解釈変更への反発はかなりのものがあった」と指摘し、その理由として、「説明が不十分でないか。もっとわかりやすく語るにはどうすればよいのか。そう考える政権であってほしい。保守派にありがちな一方通行的なものいいでは国はまとまらない」とし、国民への説明を尽くすよう求めています。

 

大手各紙の社説での論調にはそれぞれの思想が反映されます。通常、経済では極端な主張の違いは見られませんが、安全保障、憲法、外交などのテーマでは、保守系の読売、産経とリベラルの朝日、毎日で意見が分かれることが多く、今回の社説でもその傾向があるように見受けられます

経済再生、普天間基地移設、地方創生など課題山積の第3次安倍内閣ですが、今後どのような舵取りを行っていくのか。また、メディアそれをどう評価、あるいは批判していくのか。

主権者たる国民として、それらの動きに注目していきましょう。

Photo by Day Donaldson on flickr

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