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 2014年、最も売れたゲームとは

2014年、日本のゲーム市場を最も賑わせたゲームとは何だったのでしょうか。

想像がつく方もいらっしゃるかとは思いますが、それは”妖怪ウォッチ”です。シリーズ2作目の”妖怪ウォッチ2 元祖/本家”(2014年7月発売)が12月22日時点で約300万本を売上げました。

妖怪ウォッチはジャンルとしてはRPG(ロールプレイングゲーム)に分類されます。この他にも2014年での売上本数第五位までのうち、4つがRPGに独占されています。更に言えば、5本全てが架空的なキャラクターをメインにしたものです。

対して世界で一番売れたゲームは何でしょうか。

こちらは歴史の長さからか、日本での売上は第三位でしたが、”ポケットモンスターオメガルビーアルファサファイア”が約500万本の売上で第一位となりました。これもRPGに分類されます。

しかし、第五位までのゲームジャンルを見てみると、RPGはその中で唯一ポケモンのみで、5つ全てが異なるジャンルです。また、その中で3本がリアルに登場人物を描いたものです。

本稿ではこうした乖離現象がなぜ起きてしまうのか、考えていきたいと思います。

 

※ゲームジャンルについて

話を進める前に、ゲームジャンルについて分かり難い部分について簡単に説明いたします。

本稿ではRPG、アクション、アドベンチャー、対戦、シューティング、スポーツ、レーシング、シミュレーション、パズル、戦略、その他という分類を用いています。

RPGはコマンドを選択するなど、静的に物語を進めていくゲームです。

アクションの定義は非常に広く、プレイヤーが登場人物を動かして障害物を越えたりボスキャラクターを倒したりするものとされています。そういったアクションを使う中でも、特に対戦相手が存在するものを対戦ゲーム、一人称視点で銃を撃つもの(FPS)、それ以外にも広く弾を発射するものをシューティングと呼びます。

アドベンチャーゲームはRPGが登場人物たちの能力値を高めるといった成長要素を全面に押し出す一方で、それら要素を排除し物語性を中心に置いたものを呼びます。テキストノベルゲームなどがその一例です。

シミュレーションと戦略は似ていますが、シミュレーションが世界そのものをプレイヤー自身が作り上げていくものを指すのに対し、戦略ゲームは既にある設定の中で敵領地を攻めるなどというものに対する呼称です。前者は街を作るゲーム”シムシティ”、後者は戦国時代をシミュレートする”信長の野望”などがその代表作です。

その他はこれらに含まれないものについての呼称です。日本のゲームで言えば”マリオパーティ”のようなパーティゲームなどはその他に含まれている傾向があります。

 

 RPGは世界と日本で勢いが違う

過去10年分のゲームチャートから世界と日本での傾向の違いがあるかどうか見てみます。ゲームチャートはVGChartsからTOP100までのゲームを抽出し、ジャンル別に集計しました。

(※世界がどこの市場を正確に定義しているのかは定かではありません。VGchartsでGlobal chartsと記載されているものが細かい部分についてはわかりませんが世界市場について定義していると解釈いたしました。)

まずRPGとアクションについてです。

globalgame3

これらのジャンルは非常に定義が曖昧な上、ゲーム産業が始まってからずっと存在しているゲームジャンルなので世界でも日本でもかなりシェアが大きいです。ただ世界的にはアクションのシェアがRPGに差をつけています。

日本ではRPGが強かったのですが年を追うごとにアクションの勢いが強くなり、2014年ではこれら二つのジャンルだけで75%を占めています。

冒頭の分類を参考にすると、世界的にはゲームはより動的な方向へシフトしており、一方で日本では静的な方向性も同じくらい市場を席巻していると言い換えることが出来るでしょう。

 

 スポーツとシューティングは世界と日本で乖離が激しい

続いて、他のジャンルの推移について見てみます。ここで取り上げるのはその他を除いて世界もしくは日本の過去10年間TOP100チャートで一度でも10%以上のシェアを占めたことがあるジャンルについてです。具体的には、シューティング、スポーツ、レーシング、シミュレーションについて見ていきます。

globalgame8

1つずつ確認します。レーシングは2008年以降、世界と日本で殆ど同様の割合となっています。シミュレーションは値に差はありますが、2009年以前は世界・日本どちらでも一定のシェアがあったもののそれ以降大きくシェアを落としているという点で共通しています。

ではシューティングについて見てみましょう。これについては世界では年を追う毎にシェアが増えているのに対し、日本では一向に伸びていません。スポーツについては、世界市場では一時は30%をも占めるほどの大きなジャンルとして存在しているほど安定したジャンルですが、日本では近年殆ど0%に近い水準となっています。

それではなぜ、シューティングとスポーツはここまで異なる動きとなっているのでしょうか。様々な考え方があると思うのですが、ここでは”経路依存性”という経済学などで用いられる理論に基づく仮説を立ててみます。

すなわち、「日本ではゲームは物語を提供するパッケージだが、欧米などではゲームは自身を投影するシミュレータという性格が強い」という仮説です。

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