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  2015年全豪オープンで錦織選手が4回戦進出

1/19から2015年全豪オープン(オーストラリアンオープン)が開催されました。2/1まで大会は続きます。現在、世界ランキング5位の錦織圭選手も出場するこの大会は、昨年秋の全米オープンがWOWOWのみでの放送だったのに対して今回はNHKも放送権を獲得しており、前回以上に錦織圭選手は勿論他のテニスプレイヤーの試合を見るべくテレビをつけるひとが多いのではないでしょうか。

25日現在、錦織選手は四回戦への進出を決めており、26日にダビド・フェレール選手(スペイン:世界ランキング10位)と対戦します。

テニスの試合では途中のインターバルで必ずその試合に関する統計(Match Stats)が表示されます。しかし馴染みのない人にとっては突然表示されるこれら数字を理解する間もなく、次のポイントが始まってしまうことも多々あるかと思います。

本稿ではこの統計から、テニスの試合において重要なサーブ・リターン・ラリーという3つに関連した4つの数字について、その重要性を述べていきたいと思います。

解説する用語については、全豪オープンなどグランドスラム大会の公式サイトで閲覧できるものを基準にしています。

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(Photo by ausopen official)

 

 1. 2nd serve points won

テニスの試合はサーバーと呼ばれるサービス権を持っているプレイヤーからサーブを行ってポイントが始まります。

相手の打ったボールに自分のペースを合わせて、テニスラケットの先で繊細なタッチをすることを強いられるテニスにとって、サーブは非常に重要なフェーズです。何故なら自分でトスを上げて、自分のペースで打つことが出来る唯一のショットだからです。

互いのプレイヤーのレベルが高度な試合になればなるほど、ラリーに持ち込まれると相手のボールペースに自分を合わせなければならない以上、ポイントを取れる可能性は不安定になってしまうでしょう。

サービスは男子のトッププレイヤーであれば時速200km以上が出ることもよくあります。新幹線並みのスピードで迫ってくるサービスを返すには反応だけではなく、どうしても予測によって補わなくてはならないので、優位を握る事ができる可能性はラリーよりは高いと考えることが出来ます。

そのサービスに関する重要な数字が1st serve points wonと2nd serve points wonです。サーバーは二回までサーブを打つことが出来ますが二回失敗するとダブルフォルトとして失点することになります。その一回目のサーブを打ってポイントを取得できた確率が前者、二回目のサーブでのポイント取得率が後者です。そして特に重要なのが後者の2nd serve points wonであると言われています。

それを確かめられるデータとして、2014年の全米オープン4回戦での錦織選手vsラオニッチ選手のStatsを見てみましょう。この試合、錦織選手がラオニッチ選手(カナダ)を4-6, 7-6(4), 6-7(6), 7-5, 6-4 というスコアで下しました。サーブに関する統計数字を抜き出してみます。

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錦織圭選手がラオニッチ選手に対してサービス関連の数字で大きく差をつけているのは2nd serve points wonです。これは、1st serveで優位を獲得すること以上にダブルフォルトで失点する一歩前の2nd serveでいかに攻められにくいサーブを打てるかどうかということが重要であるということを意味しています。

勿論錦織選手が隙のある2nd serveを見逃さずリターンで優位を握ることが出来るスキルを有しているということでもありますが、全豪オープンという非常に大規模な大会であれば他の試合でも同様に重要な数字となることは間違いありません。

 

 2. Break points won, Receiving points won

前述した2nd service points wonはサーバー側にとっての重要な数字の一つでした。ではサーブをリターンするレシーバーにとっての重要な数字とはなにか。それがBreak points wonとReceiving point s wonです。

Break points wonは、相手のサービスゲームでレシーバーがゲームを取れる場面(Break points)でのポイント取得率を表します。この数字が高いということは、そのプレイヤーがブレイクチャンスを確実にものに出来ているということを意味しています。

Receiving points wonはリターンゲーム全体のポイントに対する数字です。リターンゲームにおいて、どれだけポイントを取得できたかを表しています。

ここでも同じく錦織選手とラオニッチ選手の全米オープンにおける数字を見ていきます。

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ラオニッチ選手は強力な1st serveを武器にした選手なので、リターンを得意とする錦織選手であっても1st serve return points wonで勝ることは出来ませんでした。またブレイク率もこの試合ではラオニッチ選手が高い値を示しました。

しかし、2nd serve return points wonでは錦織選手が上回っており、相手の2nd serve時に得点を重ねていくことの重要性を示しています。

 

 3. Unforced error

最後はラリーに関するものです。どんなプレイヤーでもミスを全くしないということはなく、ミスショットが必ずあります。そのミスはunforced errorとforced errorに分類されます。

Forced errorはラリー中、相手のショットが非常に良く、返しきれないような状況に起きたミスショットのことです。例えば、相手がスマッシュを打って かろうじてそれをキャッチしたもののコートに返せなかった場合、これはforced errorとなります。

対してunforced errorは、そうした相手のショットが特別に優れていたわけではない場面でのミスショットを指しています。言い換えればイージーミス、勝利する上で減らしたいミスです。

単純な話ですが、こうしたミスを減らし自分が本来イメージし、組み立てたプレイで得点することが重要となってきます。

 

 数字が高いことは勝率にどれだけ影響するのか

以上、3つのカテゴリで4つの数字を見てきました。最後にこれらの数字が勝率に対してどのように反映されるのかを見てみましょう。

このことを調べるにあたって用いたのは、データが見易かった2014年ウィンブルドンでの男子シングルス計100試合です。決勝戦から順に観測しました。以下で示していくのは、対戦プレイヤーそれぞれの統計数字を見て勝利したプレイヤーの方が、統計数字が高かった確率となります。Unforced errorのみ、数字が少ない方について数えました。

サンプル数も少なく、比較対象となるその他の統計数字も検討すべきでしたが、本稿ではこの4つに絞って調べました。参考資料として見て頂ければ幸いです。

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一番顕著だったのはReceiving points wonでした。この数字が高い方のプレイヤーの実に9割弱が勝利できているということを意味しています。

その他の数字も低くても75%のプレイヤーが勝利するという結果となり、これらの数字が少なからずテニスにおける優勢・劣勢を表す指標であるということを示唆しています。

 

 色々なことを考えながらテニスというスポーツを見てほしい

今回見てきたのは試合統計という、あくまでもプレイの結果浮かび上がってくる一部のものでしかありません。実際に試合を見ていて感じる部分というものが他のスポーツと同様に勿論テニスにもあります。

互いのプレイヤーが何を武器としてプレイしているのか。今のプレイは一方がミスショットをしたことで起きたのか、それとも素晴らしい攻めをしたことで得点できたのか、サーブ、リターン、ストロークのコースを各プレイヤーはどのように配分して、それに対してどのように対応しているのか。

このように考え始めればキリがないほどに、テニスは一瞬のプレイから得られる情報量が膨大です。テニスの試合を見慣れていない人は情報の取捨選択が出来ず、処理しきれないままぼんやりと試合を見てしまうかもしれません。

全豪オープンの統計は公式サイトやスマートフォンアプリで自分の好きなタイミングで確認することが出来ます。大まかに試合の流れを知りたい時には、本稿で紹介した統計を確認して優勢か劣勢かを判断する一助として頂ければ幸いです。

Photo by pixabay [参考文献]

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