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イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」に日本人2名が拘束されている事件で、その影響が、同組織の拠点となっているシリアの隣国、ヨルダンへも波及しています。

24日、インターネットの動画サイトに「イスラム国」に拘束された後藤健二さんの画像が投稿されました。この画像は、後藤さんが同じく拘束されている湯川遥菜さんとみられる写真を持っていて、「湯川さんが殺された」とする音声が付いているものです。

音声では後藤さんを名乗る男が英語で、「これは私と共に拘束された湯川さんが殺害された写真だ」と述べた上で、イスラム国による新たな要求を告げています。

「イスラム国の要求は難しいものではない。彼らはもはや金を要求しておらず、テロリストに資金を渡す心配をする必要はない。彼らはヨルダン当局に拘束されているサジダ・アル・リシャウィの釈放を求めているだけだ。彼女が釈放されれば私も解放される」と語られています。

 

 サジダ・アル・リシャウィとは

サジダ(サージダ)・アル・リシャウィという人物は、2005年、ヨルダンの首都アンマン市内で数十人が死亡した、連続自爆テロ事件の実行犯の1人で、ヨルダン当局に拘束された後、2006年に死刑判決を受けたイラク人女性とみられています。

東京大学准教授・池内恵氏によれば、現在ヨルダンでは、昨年「イスラム国」に人質に取られた同国空軍のムアーズ・カサースベ中尉の救出が大きな問題になっています。米軍の特殊部隊による救出が断念され、最後の手段として「イスラム国」メンバーの釈放が検討されていて、その切り札がサジダ・アル・リシャウィだとされています。

つまり、もしその「切り札」を日本人人質解放のために使えば、ムアーズ中尉の救出が極めて困難になると考えられます。

 

 両立困難な課題

自民党の参院議員・佐藤正久氏は自身のブログで、

”…ヨルダン国内にはムアーズ中尉の釈放運動もあり、それを見透かしての、ヨルダン政府に拘束されているテロリスト、サージダと後藤氏の交換釈放要求と思われる。即ちヨルダン政府と国民への揺さぶりと、日本とヨルダンとの分断も視野に入っていると見るべきだ。極めて狡猾だ!”

と述べています。
ヨルダン政府が、数十人を殺害したテロリストを釈放するとは考えにくいですし、ましてや自国の軍人を救出するための取引材料となり得る人物であれば尚更のことでしょう。

佐藤議員はヨルダン政府の苦境を、

”後藤氏を助ける為に、ヨルダンで惨劇テロを起こした仲間のサージダを釈放するということは、イスラム国に拘束されているヨルダンのムアーズ中尉とザジーダとの交換釈放の可能性がなくなることも意味する他、日本からの多額の人道支援を得る代わりに、テロリストを釈放し自国民を見捨てたとの批判がヨルダン政府になされる可能性もある”

と指摘しています。

事件が複雑化してきている中、日本人人質を取り戻す有効な手段は考えにくいというのが現状です。今後事件がどう推移するにせよ、日本政府は、テロリストに屈せず、その上で人質を無事救出するという、両立困難だと考えられる課題に取り組み続けなければなりません。

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