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 タワーレコードとレコチョクが戦略的提携へ

2015年2月12日に、タワーレコードとレコチョクが音楽市場の活性化を目指した戦略的提携を結ぶことが発表されました。以下、Markezineからの引用です。

“タワーレコードとレコチョクは、音楽市場の活性化と最大化を目的とした戦略的業務提携に合意した。音楽視聴や購入方法の選択肢が広がる中で、両社がこれまで築いてきた音楽ファンとの顧客接点、流通方法、マーケティング・スキル等を継続的・発展的に利用することで、日本の音楽マーケットの活性化・最大化という双方の共通のミッションの実現を目指す。”

両社がこうした戦略的提携に至った背景として、音楽市場への危機感があることは当然でしょう。本稿では改めて、日本の音楽市場の状況を振り返ってみたいと思います。

 

 CDは売れていない、ではダウンロード販売は?

一般的によく聞かれるのは、「CDが売れない。インターネットが普及してダウンロード販売が伸びたからだ。」という声でしょうか。

例えばですが、2014年5月にミュージシャンのスガシカオさんは次のようなツイートをしておられます。

では、実際に数字を確認していきましょう。まず過去五年のCD売上推移を見ていきます。データは全て日本レコード協会で確認することが出来ます。

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やはりCDの売上は落ちているようです。続いてダウンロード販売の売上推移を同じ期間で確認します。

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しかし、こちらも数字が上がってはおらず、むしろ減少傾向にあります。ここでの大きな要因は、大多数の人がスマートフォンに移行したことによってそれまでフィーチャーフォンで”着うた”を利用していた人たちがその購買習慣を失ったことによるもののようです。

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CD、ダウンロード販売、そのどちらもが近年上昇していません。日本の音楽市場自体が縮小傾向にあるのです。

しかし、盛り上がっているところも勿論あります。それが音楽定額配信サービスです。

 

 音楽定額配信サービスの急激な伸び

音楽定額配信サービスとは、無料もしくは有料で会員となり、決められた期間内は利用できる曲を殆ど無制限にストリーミング再生できるというサービスです。世界的に有名なのは、まだ日本でのサービスは開始されていませんがスウェーデン発の”Spotify”で、現在約2400万人のアクティブユーザーを抱えており、そのうちの約600万人が有料会員とされています。

日本で同様のサービスを提供しているのは、冒頭でも紹介したレコチョクが2013年4月からサービスを開始した”レコチョクBest”です。またレコチョクは自社が提供する”レコチョクBest”の他にもKDDI,NTTドコモに対しても音源の提供を行っており、事実上、現在の日本における音楽定額配信サービス市場はレコチョクがほぼ独占状態にあると言えます。

さて、では実際に売上の推移を見ていきましょう。

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2013年の時点で利用金額が急激に上昇している様子が見てとれます。

また世界音楽市場の動向をまとめているIFPIのレポートによれば、世界的にも音楽市場全体としては下降傾向にありますが、定額配信(サブスクリプション)サービスの規模は大きくなってきているとのことです。

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2014年の1月から9月までのデータで、前年度の同じ時期との変化率からも定額配信サービスの成長率が圧倒的であることが見て取れます。

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 CD販売を専門とするタワーレコードが新しい道の模索へ

このように成長している市場を担っているレコチョクと、これまでCD販売というダウンロード販売とは相反する事業を行っていたタワーレコードが提携するのは、まさに音楽市場を反映したものだといえるでしょう。

まだ本格的な事業提携によるプロジェクトの存在は発表されていませんが、プレスリリースによれば両社は次のような視点に基づく事業提携を目指しているとのことです。


*新たな音楽の楽しみ方の創出と提案
両社の店頭やイベントスペースを使い、フィジカルとデジタルという枠組みを超えた音楽との接点や楽しみ方、購入特典、アプリ等を提案していきます。

*アーティストのヒットと楽曲の浸透
有名・無名を問わず、両社が推薦するアーティストのさらなるヒット化や楽曲のロングセラー化へ向け、店頭やSNSなど両社のマーケティングツールを使い相乗効果を図ります。

*新しいアーティストの発掘と育成
インディからメジャーデビュー後の新人アーティストまで、ネクストブレイクの発掘・育成に向け、両社スタッフによるプロジェクトを発足します。

この提携が音楽市場のありかたにどのような変化をもたらすのか、我々消費者もその一端を担っています。

Photo by pixabay [注釈•参考文献]

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