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各社報道によれば、福島県の内堀知事は21日、放射性廃棄物を保管する中間貯蔵施設について、汚染された土壌等の搬入開始を了承する考えを示しました。

報道によると内村知事は、今月25日には搬入開始の了承を環境省に伝える意向で、これにより同施設の受入をいち早く表明した大熊町(2014年12月)と同町に続いて受入表明を行った双葉町(2015年1月)には、来月1日より廃棄物の搬入が始まる見通しとなりました。

では、この中間貯蔵施設を受け入れることで、大熊町や双葉町には、今後何がもたらされるのでしょうか。今回は、受入による交付金に焦点を絞り解説します。

 

 両町の役割りは?

そもそも、大熊町や双葉町の中間貯蔵施設が、「除染と復興の推進に向けて、除染土壌などを最終処分までの間、安全に集中的に貯蔵する」施設であることに注目する必要があります(※1)。

放射性物質によって汚染された「廃棄物」に関する施設なので、主管省庁は環境省です。この施設については、昨年度まで受入に関わる交付金などの予算措置は取られていませんでした。

一方、日本には全く同じ名前の「中間貯蔵施設」が青森県むつ市にあります。こちらは、原子力発電から排出されたモノを「廃棄物」としてではなく、あくまで「燃料」(いわゆる使用済核燃料)として、一定期間貯蔵する施設です。主管省庁は環境省ではなく、経済産業省です。

この施設はすでに、電源三法(電源開発促進税法、特別会計に関する法律、発電用施設周辺地域整備法)による交付金事業の対象となっています。

 

 どの程度の交付金が入るのか?

大熊町や双葉町に対し、交付金関係の予算措置が初めて成立したのは昨年のことです。もっとも、中間貯蔵施設の必要性については、2011年秋の時点ですでに政府内での議論が開始され、受入自治体に対する法整備の検討も行われてきましたが、交付金については2014年6月に初めて予算が成立しました。補正予算枠で承認された「中間貯蔵施設等に係る交付金(1,500 億円)」と「福島復興交付金(1,000 億円)」です。

では、今回受け入れを開始する大熊町や双葉町には、具体的にどの程度の交付金が入るのでしょうか。そしてその内訳はどういったものなのでしょうか。もちろん詳細な金額やその内訳については、今後の更なる調査や検証が必要であることは確かですが、環境省による資料でその大枠が見えてきました。

環境省は今回の搬入に先立ち、今月8日、福島県に対して、中間貯蔵施設に関する取り組み状況についての説明を行いました。その時に用いられた資料が「中間貯蔵施設への搬入に当たっての確認事項等について」です(※2)。

同資料によれば、まず中間貯蔵施設等に係る交付金は「極めて自由度の高い制度」であるとし、交付金は「中間貯蔵施設の整備等による影響を緩和するために必要な生活再建・地域振興策等に係るソフト・ハードにわたる広範な事業」に活用できるものとして記述されています。

ソフト・ハードにわたる広範な事業の具体項目は、「ふるさととの結びつきを維持するための事業」や「生活空間の維持・向上のための事業」「風評被害緩和対策事業」等、9項目にわたります。この枠組みで、平成26年度には、大熊・双葉両町に合わせて 850 億円が直接交付され、福島県には650 億円が交付されます。

また、平成 27 年度予算案において政府は「福島特定原子力地域振興交付金」を提示しており、この予算が成立すれば今後福島県には「福島第一原子力発電所の事故による廃炉という特殊事情に鑑み、現行の同原子力発電所に係る特例措置(毎年度 67 億円)を増額(+17 億円)し、増額分を福島県に対して 30 年間継続して交付する」予定であると記されています(※3)。同予算は総額で 510 億円となる見通しです。

 

 復興への意味

さて、これらの交付金は大熊町や双葉町の復興にとってどれだけの意味を持つものとなるのでしょうか。26年度の予算成立の時点で、一部の報道はあたかも施設の受け入れ自治体(市町村)が今後、約3,000億円の支援を受け取るかのように報じていましたが、実情は異なるものと予想されます。

交付金の全額は、福島県全体を対象としたものであり、実際に施設を受け入れる大熊町や双葉町ではありません。環境省の資料によれば、今回の搬入開始によって大熊・双葉両町が直接受け取るのは850億円です。

事業内容についても今後の精査と検討が求められるところです。一例を挙げれば、交付金の対象事業として挙げられている「ふるさととの結びつきを維持するための事業」は、具体的にどのような事業なのでしょうか。そもそも「こころ」の問題をお金で解決することができるのかどうかは不明です。

交付金の使い道や具体的な事業内容の追跡調査が期待されるところとなっています。

[参考文献] Photo by Haruhiko Okumura

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