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 「教育」のニュースに出てくる組織はややこしい

昨今、「道徳の教科化」「大学入試改革」「学制の見直し」など、教育改革に関するニュースが巷を賑わせています。特に2014年末に中央教育審議会(以下、中教審)が答申した大学入試改革案(正式名称は『新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について』)は日本の教育制度やその方向性を抜本的に見直すものであり、その影響の大きさゆえに世間の注目を集めました。

さて、このようなニュースを見聞きするたびに思うことは、教育再生実行会議や中教審、そして文部科学省(以下、文科省)などそれぞれがどのような役割を担っているのか、またどのような過程で政策が進んでいるのかがわかりづらいということです。

本記事では、中央教育政策においてそれぞれの機関がどのような役割を担い、そして政策立案の過程について解説したいと思います。

 

 教育再生実行会議とは?

教育再生実行会議とは、2012年12月の第46回衆議院選挙において第2次安倍政権が発足し、その翌月の2013年1月、安倍首相が力を入れる教育改革を進めるために設置された、安倍内閣総理大臣(以下、安倍総理)直属の教育政策に関する諮問機関のことです。

つまり、安倍総理がこれから実行していく教育改革案に関して意見を求め、それに対して学識経験者を中心とした有識者が審議・調査を行い提言する機関であるといえます。

 <よく混同されやすい組織>

 教育再生会議

教育再生会議とは2006年10月、第一次安倍内閣発足時に設置された、安倍総理直属の教育政策に関する諮問機関のことです。この会議は第一次安倍内閣退陣に伴い、2008年1月に最終報告を行いその役割を終えました。第二次安倍内閣において、「実行」の二文字が加わったことから安倍総理の本気度が伝わってきます。

 教育再生実行本部

教育再生実行本部とは、自由民主党の党内部に設置された教育改革について自民党の議員・党員が中心となり教育政策について全党的な議論を行う場です。前述の教育再生実行会議とは全く無関係な組織です。教育再生実行会議は、安倍総理の私的な諮問機関であり、外部の有識者・学者を招いての議論の場であるのに対し自民党内部の所属議員を中心とした議論の場であるという違いがあります。

 

 中央教育審議会

つづいて中教審について説明したいと思います。中教審とは文科省に設置されている審議会です。

主な役割は、文部科学大臣の諮問に対して、委員として所属している有識者たちが調査・議論を行い、その諮問に対して答申を行うことです。中教審には、教育の中でも課題の性質によって5つの分科会とその下に部会・委員会が設置されています。

 

 全体像を図解化してみる

それでは、最後に「高大接続・大学入試改革」を例として教育制度改革案が決定されるまでの流れの全体像を示したいと思います。

①内閣総理大臣から教育再生実行会議へ諮問し、調査議論が行われる。

(第9回〜第14回教育再生実行会議にて。平成25年6月6日〜平成25年10月31日)

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②教育再生実行会議が安倍総理に対し提言をおこなう。

第四次提言として。2013年10月31日)

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③文部科学大臣から中教審へ諮問。担当部会である高大接続部会などで議論が行われる。

(主に第8回〜第21回高大接続部会において。2013年11月8日〜2014年10月24日)

文科大臣から中教審004

④総会を経て、中教審から文部科学大臣へ答申が行われた(中教審第177号 2014年12月22日)

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⑤文科省内で法案整備などの政策設計が行われる(2015年1月から)

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 まとめ

注意すべき点は、教育再生実行会議、および中央教育審議会で提言・答申されたことに法的拘束力はないということです。

たとえばマスメディアなどでは「センター試験廃止」や「大学入試においてボランティア経験などの人物評価を重視すること」が決定されたかのように報じられておりますが、あくまでもそのような提案がなされただけなのです。

最も重要なのはこれから文部科学省内でどのような議論がなされ、具体的な制度に改変されていくかという部分でしょう。

photo by 街画ガイド

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