【読了時間:約 3分

トマ・ピケティ氏は、今年日本に来日し、著書である『21世紀の資本』も国内外問わず話題となりました。総発行部数は160万部に達しています(2015年1月現在)。

しかしながら、実際に彼の著書を熟読し、著書内に何が書いてあるかを明確に知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。

この記事では、BBC News nightが「Thomas Piketty’s ‘Capital’ in 3 minutes」と題して行ったコンテンツに基づき簡単な解説を行います。

 

トマ・ピケティ氏は経済不平等を考える際、まず私たちが「資本」について考えなくてはならない述べています。

本書でいう「資本」とは、不動産、土地、株など、人々に所有され収入をもたらす全てのものを指します。

この「資本」と「収入」との繋がりは、ジェーン・オースティンやオノレ・ド・バルザックといった19世紀の小説家やその読者たちがこの二つの言葉を交換可能なものとして捉えていたように、古くから根付いていたものでした。

ピケティ氏の『21世紀の資本』の斬新さは、膨大なデータを基に何世紀も前にまで遡る富の所有のパターンを明らかにした点にあります。

18、19世紀には、「資本」の価値の成長率が国の経済成長率よりも大きく、1900年のイギリスにおいては国富が国民生産の7倍にまで増大していました。

「資本から得られる収入」が「労働から得られる収入」をはるかに上回るという「富める者はますます富む構造」が出来上がっていた当時のイギリスでは、収入上位10%の富裕層の資産が国富全体の八割以上を締めていました。

しかし、20世紀になると状況が変わります。1910~1950年代にかけて、二度にわたる世界大戦と植民地の独立によりヨーロッパの富裕層が打撃を受けたためです。

理由の一つとしては追いつき成長であったことが指摘できますが、この時期は資本収益率が経済成長率よりも小さく、課税率も引き上げられていたため、富裕層が「資本」を多く所有していてもそれが彼らの富の増大にはつながらない構造になっていました。

ところが、1980年代から再び資本収益率が経済成長率を上回るという古いパターン(18、19世紀)に戻ったというのがピケティ氏の主張です。

富裕層は元々「資本」をより多く所有しているため、この古いパターンへの回帰は経済不平等の拡大につながります。現時点では議論の対象にはなっていませんが、ピケティ氏は、この「富める者はますます富む構造」は恐らく今後も続き、私たちはヴィクトリア朝時代のような社会階層の流動性が乏しい世界へ逆戻りしてしまうだろうと述べます。

このような経済格差の固定化は公共政策を考える上での大きな課題になります。

この指摘自体を快く思わない人もいるでしょうが、それ以上に反発を買いそうなのは経済格差の固定化に対してピケティ氏が提唱する「グローバル富裕税」の導入です。この政策の実現性の低さはピケティ氏本人も認めています。

たとえ「グローバル富裕税」の導入が現実的ではないとしても、彼の膨大なデータ分析を基にした指摘は傾聴に値すると言えます。

参照:Thomas Piketty’s ‘Capital’ in 3 minute Translated by Yuriko Hamaguchi

Credoをフォローする