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7日、世界有数のシンクタンクである米国ブルッキングス研究所は「ISIS(イスラム国)ツイッター調査(The ISIS Twitter census)」と題する分析ペーパーを発表しました(※)。

ISISによるSNSの用い方やその戦略などについては、すでに多くの報道などで指摘されていましたが、その具体的な中身については未だ明らかになっていませんでした。ブルッキングス研究所による分析ペーパーは、このことについての世界で初めての本格的調査と言えそうです。本文は70頁ほどありますが、本記事ではその概要について解説します。

分析ペーパーをまとめたのはブルッキングス研究所のJ.M.バーガー氏とジョナサン・モーガン氏です。2人は、ISISを支持する20,000のツイッター・アカウントを精査・分析し、主に以下の諸点について明らかにしました。

 

 ISIS支持者がもっとも多くTwitterを開始した時期は?

分析ペーパーによると、ISIS支持者の多くは昨年の9月から12月までの間に、もっとも多くTwitterアカウントを作成し、それを用いたことが明らかになりました。分析者らによると、この時期、ISIS支持者は少なくとも46,000件以上のツイッター・アカウントを作成したものと推測されています。

年代順に見てみると、2008年には僅か2件のISIS支持者によるアカウント作成がなされただけですが、2009年には92件、2010年には182件、2011年には1064件となりました。1万件を突破したのは2014年が初めてで、その数は11,902件に達しました。

 

 使用言語とプロフィール上の出身国は?

ISIS支持者はどのような言語でツイートしているのでしょうか。分析によると、全体の約75%がアラビア語を用い、約20%が英語を主要言語として設定していることが分かりました。

プロフィール上に記されている出身国では、サウジアラビアが一番多く866件、次いでシリアが507件、イラクが453件、米国が404件、エジプトが326件となっています。分析者らによると、ISIS支持者でツイッター・アカウントを有する人々は、シリアやイラクだけでなく、ISISを敵視する米国などにもいることが分かりました。

 

 各アカウントのフォロワー数やツイート回数は?

ISIS支持者のフォロワーの数は、一般的なツイッター使用者よりも非常に多く、平均して1,000件であることが明らかとなりました。

また分析者らは、昨年9月から12月までに少なくとも1,000件のISIS支持者によるアカウントが凍結処分となっていることを明らかにしました。これらのアカウントは、多くのフォロワーを持ち、頻繁にツイートしていたようです。

いずれにせよ、ISISによるソーシャル・メディア上の成功は、500件から2,000件ほどのアカウントによる集中的なツイートによるものと分析者らは指摘しています。

ISIS支持者による一日のツイート数は、0回から50回までがもっとも多く18,425件確認されており、50回から100回までが817件、100回から150回までが213件、150回から200回までが545件に上ります。

 

 その他の分析についてと提言内容

分析者らは以上の他に、どのような点について分析しているのでしょうか。本記事では詳細については割愛しますが、彼らは他にツイッター上の「ユーザーネーム」の特徴や使われている「アバター」など、さらにはツイートのパターンやツイートとリツイートの相関などまで分析しており、示唆深い内容となっています。

最後に分析者らは、特に米国政府に対しての政策提言を行っています。

もっとも有効な手段としては、ISIS支持者のツイッター・アカウントを凍結することが考えられますが、彼らによれば、それは新たなリスクを生むものである、とのことです。

なぜならそれは、ISIS支持者の孤立をもたらし、彼らをさらに過剰なネットワーク作りへと向かわせてしまうからです。ISIS支持者によるソーシャル・メディア利用に対抗するためには、民間のソーシャル・メディア会社と米国政府との密接な連携が不可欠である、と結論づけています。

【参考文献】ブルッキングス研究所HP “The ISIS Twitter census: Defining and describing the population of ISIS supporters on Twitter” http://urx.nu/igJJ Photo by Rosaura Ochoa

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