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8日、東京都内のホテルで開かれた自民党の党大会で安倍晋三首相(党総裁)は、「皆さん、来る統一地方選挙に勝ち抜いて、黄昏から新しい朝を迎えた日本の夜明けを確かなものとしていこうではありませんか」と述べ、4月に実施される統一地方選での勝利に向けて結束を呼び掛けました。自民党は、統一地方選挙での勝利によって地方の地盤を固め、来年夏の参議院選挙につなげたい考えです。

一方、民主党の岡田克也代表も1日に開催された党大会で、網膜剥離により大会を欠席したため蓮舫代表代行によって代読されたメッセージの中で、「統一自治体選挙で土台を固め、国会論戦などを通じて安倍政権と対峙し、来年の参院選挙、そして総選挙に向けて、大きく反転攻勢をかけていく」と述べました。

 

 そもそも「統一地方選挙」とは?

これほど各党党首が力を入れる「統一地方選挙」とは何なのか、皆さんご存知でしょうか?

統一地方選挙(以下、統一地方選)は、4年に1度、地方公共団体における選挙日程を全国的に統一して実施される地方選挙です。4月の第2日曜日には、都道府県知事や政令指定都市の市長、そしてそれぞれの地方議会議員選挙が、第4日曜日には、政令指定都市以外の市町村(東京都の特別区を含む)の首長と議会議員選挙が行われます。

これはもともと1947年4月に、日本国憲法の施行を控え、全国で一斉に地方選を実施したことがきっかけとなっています。全国の自治体で一斉に首長選と議会選を行うことにより、選挙への関心を高め投票率を上げたり、選挙の事務コストを抑えたりするのに有効だという考えから、なるべく地方選の日程をこの統一選に集中させようとしています。

 

 なぜ重要視される?

今年は、4月12日(日)投開票で、北海道、神奈川県などの知事選、埼玉県、千葉県などの県議選、静岡市、広島市などの市長選が行われます。また、4月26日(日)には、東京都特別区長選(中央区、渋谷区など)・区議選などが投開票となっています。

普通に考えれば、政権を左右する国政選挙とは異なりますので、その重要性は低いと考えがちですが、冒頭で紹介したように、どの党もそうした統一地方選を非常に重要視しています。それは、同選挙がまさに直近の国政選挙の前哨戦といえるものだからです。

国会議員が選挙でより多くの票を獲得するためには、地元に密着した活動を行っている地方政治家の協力が不可欠です。それが知事であれ市長であれ、県会議員であれ市会議員であれ、影響力に多少の差はあったとしても、その積み重ねが当選に直結するからです。自身の政党・グループなどに属する地方政治家が選挙で敗れれば、それだけ次回の選挙で自分の集票のために働いてくれる人の影響力が失われるため、それは国政選挙でもボディーブローのようにじわじわと効いてきます。

また、知事選、主要政令指定都市の市長選などで自党の候補が敗れると、特に党内で反主流の立場にいる人々からの本部の執行部への批判が高まりますので、党の運営が難しくなります。特に政権政党にとっては、どれほど政権運営が上手くいっていたとしても、地方でのほころびが「アリの一穴」になりかねませんので、地方選挙だといって軽く見ることはできません。

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 制度には疑問の声も

このような統一地方選ですが、最近は首長の任期途中での辞職、市町村合併などにより任期のズレが生じ、そのため統一的に選挙が実施される自治体の数は下がり続けています。そのため統一地方選という名前でありながら、その不統一性が問題となっています。統一率の低落傾向を受け、制度見直しの議論は出るものの、問題解決のためには、統一地方選で選挙を実施していない首長や議会議員の任期を延長、または短縮するしかない手立てがないため、その制度の可否を含め、根本的な議論が求められています。

また、各種国政選挙でも投票率は下落傾向にありますが、地方選挙でも状況は同じです。4年前の統一地方選での投票率は、知事選が52.77%、市区町村長選が51.54%、道府県議選、市区町村議選に至っては5割を切りました。新潟県で行われた調査では、20代~40代の「子育て世代」に、自身の選挙区の現職議員の名前が分かるかどうか質問したところ、「誰か分からない」と答えた人の割合は、市会議員、県会議員、国会議員でいずれも5割以上となり、特に県会議員の知名度が低く、6割以上の有権者が現職議員を知らない、という結果になっています。知名度が全てではありませんが、この数字は、現在の地方における政治の実態を物語っていると言えるかもしれません。

 

 投票に行こう

前回、統一地方選が行われたのは2011年4月、東日本大震災の直後でした。民主党が政権交代を果たしてから初の統一地方選でしたが、原発事故対応などで菅直人内閣への批判が集まり、民主党が全国で大幅に議席を減らしました。その後2012年、民主党は政権を失うことになりました。一連の流れは、国政への批判が統一地方選に影響をもたらし、その結果としての地方での敗北が、次の総選挙においてマイナスに作用したとみることもできます。

今回は、地方で関心が高いテーマとしては、農協改革、政務活動費(政務調査費)の問題などが考えられますが、当然、社会保障制度の見直し、景気対策といった国政レベルでの政策も、有権者の投票行動に影響を与えるでしょう。

今月、NHKが行った世論調査では、統一地方選について、「非常に関心がある」が19%、「ある程度関心がある」が45%、「あまり関心がない」が25%、「まったく関心がない」が6%でした。前回の2011年の統一地方選前に行なわれた調査と比べると、「非常に関心がある」と答えた人は11ポイント低くなっています。この結果を踏まえると、投票率は続落の可能性が高いと考えられます。

統一地方選は、あくまで地方の首長・議会議員を選ぶ選挙ですが、その後の国政運営に大きな影響を与えます。地方選挙であっても、国政選挙であっても、その都度、投票によって自分の意思表示を行う。それが民主主義の根幹ではないでしょうか。是非投票に行きましょう。

Photo by Sendai Blog ,Ken Zirkel

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