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イギリス、ロンドンには国立ベスレム病院があります。この病院は、世界で最も古い精神科病院の一つです。病院はもともと、患者たちによって創作された芸術作品のコレクションを持っていました。今回、それらを展示する博物館が完成し、公開されました。世界的に有名な芸術作品を数多く残したリチャード・ダッドもかつてはベスレム病院の患者でした。そして芸術家のダン=ダグン氏も患者の一人でした。

 

ダン=ダグン氏:ご飯がのどを通らなくって、ベスレム病院の摂食障害セクターに入院することになりました。入院当初は息が詰まりそうでした。まるで、出口のない森の中に捕われているような感覚でした。しかし私は、同じ『顔』の絵を繰り返し描き続けることで、自分の心の闇や怒り、混乱と対話、そして自分自身の状態を把握することができました。

芸術を通じて自己を表現することはとても良い治療法だと思います。私はベスレム病院で治療を受ける他の患者が生み出した素晴らしい作品を多く目にしてきました。その多くの作品がこの博物館に展示されています。

絵を描くことは、摂食障害の克服にとても役立っていたと思います。また、これらの作品を残し、ベスレム病院から退院できたことは大変誇らしいです。

精神病治療という領域は進歩していかなければならないと感じています。20世紀は「身体の時代」でしたが、21世紀は「精神の時代」に推移してきています。

 

ベスレム病院付属博物館の館長ヴィクトリア・ノースウッド氏は博物館について以下のように述べています。

ヴィクトリア・ノースウッド氏:来場者の方には、精神病治療がどうあるべきかを考えてもらい、それについて意見を交わしてほしいと思っています。この博物館が投げかける問いは、自分一人の頭ですんなりと理解できるものではありませんので。

 

〈編集部コメント〉

アートセラピー(絵を描くことや作品の創作を取り入れた治療)は、以前から精神病治療の一つとして用いられてきました。非言語による自己表現を通して、患者は自分自身に向き合い、自分自身を取り戻して行きます。アートセラピーには医療と芸術の二面性があり、どちらに重きを置くかで作品の解釈が変わってきます。

加えて、この作品の”捉え方”を巡っては、描いた当事者の声が抜け落ちがちという指摘が、かねてからなされてきました。この、博物館での展示を通して、当事者の声が何らかの形で社会に届くことが期待されています。

Cited by How can art help mental health? Translated by Hidenori Ishii, Photo by Martin Howard

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