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「若者の〇〇化」や「若者の〇〇離れ」など、今の若者はおかしいという趣旨の言葉はありふれています。特に最近は若者と呼ばれる世代といわゆる「ゆとり世代」が重なっているので、特殊に見られる傾向が強いようです。

この「若者論」でも特に頻出するのが犯罪についてです。暴力的になった、犯罪が増えて危険なの世の中になった、凶悪犯罪が増えている、そうした言説が溢れています。

しかし、これらは事実なのでしょうか?本記事では二つのアプローチをもって若者の犯罪、すなわち「少年犯罪」について論じてみたいと思います。

なお、ここでいう少年犯罪とは、少年法第3条第1項第1号を参照し、14~20歳未満の者で犯罪行為をした者とします

 

少年犯罪の増加?凶悪化?

以下、警察白書より二つの資料を引用します。(クリックで拡大します)

資料①:刑法犯少年の検挙人員と人口比の推移

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※「平成26年警察白書」より作成

資料②:凶悪犯少年の検挙人員の推移

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※「平成16年警察白書」「平成26年警察白書」より作成

資料①から読み取るに、年度ごとの増減はありますが全体的な傾向として少年犯罪は減少の傾向があることがわかります。資料②では、凶悪犯少年の減少を表しています。なお、ここでいう「凶悪犯」とは警察白書の凡例に従い「殺人、強盗、放火、強姦」の罪を犯した者とします。

以上の資料より、現在の少年犯罪は過去と比較して、「犯罪数が増えている」ことも「増えておらずとも犯罪自体が凶悪化している」ことも否定できそうです。

 

 対応する少年法

一方でこの減少傾向に対応して少年法には何か変化はあったのでしょうか。

最も直近の少年法の改正は、昨年2014年にありました。様々な改正内容を含んでいますが、この改正は「厳罰化」と言われることが多いようです。その根拠とされることの多い改正内容が以下となります。

 

○ 不定期刑の長期と短期の上限について,改正前の少年法では長期は10年,短期は5年とされていたのを,長期は15年,短期は10年に引き上げる

○ いわゆる無期刑の緩和刑に関して、これまで10年から15年の範囲内で定期刑を言い渡すとされていたのを,10年から20年の範囲内で定期刑を言い渡すこととする

※法務省HP「少年法の一部を改正する法律に関するQ&A」(http://www.moj.go.jp/content/000122447.pdf)より

 

以上の内容です。要するに、前者は懲役の年数を定めず幅を持たせて刑を決める時(例:○年~△年)の長期・短期の上限ともに引き上げてより重く処罰する可能性を広げたという話です。後者は、これまでの少年法では成人では無期刑とされる時は10年~15年の刑を下さなければならなかったのですが、その上限を引き上げ、前者同様より重く処罰する可能性を広げたということになります。

確かに一見すると、少年犯罪の刑罰が上方修正され少年法の厳罰化が進んだように見て取れます。しかし、この少年法の改正は「厳罰化」と一刀両断してしまうのではなく、少年の処遇の幅を持たせ、裁判官の裁量の利く範囲を拡大したと考えるべきでしょう。

特に重大な犯罪が起こされてしまった時、被害者側の感情を考慮しないわけにはいきません。最近はこの被害者側の感情を重視する意見が強まってきているように感じます。

しかし、少年犯罪を考える時には成人の犯罪について考える場合とはまた別の考え方をしなければなりません。なぜなら「犯罪少年の更生」について考えなければならないからです。少年法の目的もこの「更生」にあると言われています。犯罪少年を更生の道へと適切に導くには、家庭環境など少年への深い理解が必要不可欠です。それを踏まえた上で処遇を下さねばなりません。

昨年の少年法改正によって、複雑化しやすい少年犯罪それぞれのケースに応じて判断できる可能性が高まったのではないでしょうか。少年犯罪全体が減少しているとしても、関係者それぞれがより不幸の少ない道を見つけ出すことをより容易にした、昨年の少年法改正はそのように評価できるのではないでしょうか。

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