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 ”FF零式HD”が3月19日に発売

昨日の2015年3月19日に、PS4用ソフト”ファイナルファンタジー零式HD”(FF零式HD)が発売されました。まだ正確な売れ行きに関する情報は分かっていませんが、非常に大きなセールスを記録していると思われます。

その大きな理由は、人気タイトルのHDリマスター版であること以上に、FFシリーズ正統派続編であるファイナルファンタジー15(FF15)の体験版が同梱されている点にあります。

FF15は2006年5月に情報が発表されてから今なお開発されている大規模タイトルで、ファンの期待度が尋常でなく高まっているタイトルです。この体験版を目的に購入する層も相当数存在したと考えられます。

本稿で合わせて考えてみたいのがPS4の売れ行きに与える影響です。今、日本国内においてスマートフォンなどではなくゲーム専用機でプレイするコンシューマゲームは苦境に立たされていると言われており、コンシューマゲームプラットフォームの最新機種であるPS4の売れ行きも芳しくないという意見も一部聞かれます。

では、”FF零式HD”が発売されることはその売れ行きにどう影響するのでしょうか。

本稿ではこれまでのPS4の国内販売台数を同時期のPS3と比較しながら振り返るとともに、両機種の週別売上と同週に発売されたソフトを合わせて見ていきます。

 

 PS3、PS4の発売初週からの売上台数比較

まず見ていくのはPS3とPS4の国内販売台数の比較です。数字で見ると、実際に売上が好調なのはどちらでしょうか。

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(以下、画像はクリックで拡大されます)

PS4は発売直後、PS3にかなりの差をつけたセールスを記録しました。発売初週の売上について見てみると、PS3は約8万台だったのに対し、PS4は約32万台と約4倍もの台数を売り上げています。

ただそれ以降の売れ行きを見ると、PS3はコンスタントに売り上げを伸ばしている一方でPS4の売上成長率はかなり低い水準となっています。

次に示すグラフは、両機種の売上台数成長率を比較したものです。

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発売初週の売上台数は先ほども見たようにPS4の売上台数が圧倒的に多かったですが、その後の成長率を比較するとPS3が圧倒していることが分かります。

PS4はローンチが好調でしたが、それ以降PS3に比べると売上台数が伸び悩んできました。

ここからは両機種の週別販売台数と合わせて、その週に発売されたソフトを振り返っていきます。

 

 PS4の売上推移とピーク時に発売されたソフト

次に示すグラフは週別販売台数と、各ピーク時に発売されたソフトを吹き出しで示したものです。尚、グラフを見やすくするために発売初週の数字は除いています。※1

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各ソフトの簡単な説明をいたします。

Metal Gear Solid 5 Ground Zeroes(MGS5GZ)…KONAMIより発売されている「隠れんぼゲーム」のメタルギアシリーズ最新作です。ただ、このソフトはシリーズ続編であるMGS5のプロローグ的位置づけの作品となります。

Destiny…欧米で人気のFPSソフト、”Halo”を手がけたBungieが新たに開発したソフトです。1年以上前から各ゲームメディアで情報が報じられ、ユーザーの期待値が非常に高い作品でした。日本以上に欧米で爆発的なセールスを記録しています。

Grand Theft Auto5(GTA5)…これも欧米を中心に人気のシリーズです。Rockstar Gamesが開発を行っています。その特徴は、リアリティ溢れる街を舞台に”犯罪”を中心としたアクションを楽しむ点にあります。

ドラゴンクエストヒーローズ…コーエーテクモゲームスが開発し、スクウェア・エニックスが発売したドラゴンクエストシリーズの派生作品です。シリーズ初のPS4での作品となります。(PS3にも対応。)

開発元のコーエーが無双シリーズという、多くの敵を薙ぎ払っていく爽快感を売りとした作品群を手がけており、本作も爽快感を特徴としたアクションゲームとなっています。

 

 PS4の売上を支えたソフト

以上のソフトは、ピークと合わせて紹介した分となります。続いて、累計売上の上位10作品とそのソフトが発売された週のPS4の売上を同時に表示したグラフを見ていきます。

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まず上位10作品のうち、日本を拠点とする企業が開発に主に関わっているソフトが3つ(赤文字で示しています)しかまだありません。

ですが同時にこの3作品はどれも累計売上で他よりも比較的高い水準にあり、特にドラゴンクエストヒーローズは圧倒的な売上を記録しています。

PS4の売上と合わせてみていくと、左から3つのローンチソフトを除くと、GTA5の発売週がドラゴンクエストヒーローズ以上の売上となっています。つまり、未だに発売直後以降において日本開発のソフトで牽引力のあるソフトはまだ出ていない、ということになるでしょうか。

 

 PS3発売直後期の売上推移とピーク時に発売されたソフト

続いて、まずPS4と同じ発売週からの期間でPS3の売上推移とピーク時のソフトを見ていきます。

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発売からおよそ5週後はクリスマスなど年末商戦の時期でした。PS3の発売直後以降、コンスタントに売上を伸ばすことができていたのはこうした季節的背景が大きな要因の一つであったようです。

このグラフでもピーク時のソフトを表示していますので、簡単に説明していきます。

ガンダム無双…前項でも触れたコーエーテクモゲームスが、無双シリーズのキャラクターにガンダムシリーズを用いて開発された作品です。

みんなのGOLF5…SCEが開発発売しているシリーズです。1997年以降、手軽な操作で楽しめるゴルフシリーズの定番ソフトとして、主にプラットフォームの発売と合わせて発売されています。

真・三國無双5…コーエーテクモゲームスが開発する無双シリーズの一つです。

ウイニングイレブン2008…1995年から発売されているサッカーゲームの定番ソフトです。様々なプラットフォームに跨って数多くの作品が発売されてきました。

PS4と異なるのは、これら発売直後のPS3を支えたソフトが日本開発のものであることです。まだ欧米から輸入されるゲームが馴染んでいなかったのかもしれません。

 

 PS3の売上を支えたソフト

ここからはPS4と同じように累計売上上位10ソフトとPS4売上を合わせてみていきます。PS3に関しては、2006年から2014年までの期間で整理した情報をまとめました。

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(左軸:ソフト売上、右軸:PS3売上)

左から順に発売時期が早い順に並べていますが、上位10作品に入ってくる中で最も早い作品は
PS3発売から約2年後の2008年に発売されたMetal Gear Solid4(MGS4)でした。この週にファイナルファンタジー13(FF13)に次ぐPS3の売上が記録されています。

2009年に発売されたFF13はそれ以上の圧倒的売上を記録しました。PS3をこのソフトをプレイするために購入したという人が非常に多かったことが伺えます。

それ以降のソフトは、累計売上数などでMGS4を上回るソフトはあったものの、PS3売上数は全てMGS4以下となっています。MGS4FF13がPS3の売上数を伸ばすのに大きな貢献をしたソフトであったと考えて問題なさそうです。

 

 ”FF零式HD”はどれだけPS4の売上を牽引できるか?

ここまでの情報を踏まえて、FF零式HDの影響力を考えてみたいと思います。

2011年秋にPSP用ソフトとして発売されたFF零式は国内で約77万本を売り上げた人気作です。

しかしHDリマスター作品は、当たり前なのかもしれませんが元作品と比べるとどうしても売上が落ちる傾向にあります。

下に示すグラフはそれぞれファイナルファンタジー10ファイナルファンタジー10-2(PS2用ソフト)をリマスターしたファイナルファンタジー10/10-2(PS3ソフト)の売上比較、そしてキングダムハーツ2(PS2ソフト)のリマスター版との比較を行ったものです。

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勿論これはPS2とPS3の普及率に依る部分も大きいのですが、どちらも約10分の1にまで売上が落ちています。

この二種類のソフトの売れ行きだけではあくまでも仮説にすぎませんが、今回のFF零式HDもHDリマスター版のみであったならば約10分の1、つまり約8万本になる可能性が高いと考えてみます。

これに加えて、FF15体験版が同梱されている影響を含めてみます。

参考としたいのは、PS4の項でも触れたMGS5GZです。このソフトはシリーズ正当続編MGS5のプロローグとしてのものであったにも関わらず、初週10万本、現時点での累計で15万本を売り上げました。

勿論それはプロローグであったため価格が低かったこと、またそれにもかかわらず相当なボリュームを持っていたゲームだったということも大きな要因ですが、それ以上にMGS5というシリーズ最新作への期待値の大きさを示すものでもありました。

そしてMGSと同等にブランド力があり、かつ2006年から約9年もの間ファンを待たせてきたFF15というタイトルへの期待値を考えれば、FF15の体験版を同梱する今回のFF零式HDはかなりの売上に達することが見込まれます。単純にMGS5GZの売上を参考値として用いて加算すると、初週だけで15万本以上を売り上げる可能性も大いにあるといえるでしょう。

ハードの売上に関しては各ソフト発売時期に関するデータを見つけられませんでしたので、先程も触れたようにシリーズ最新作の一端に触れることが出来るという点で共通項のあるMGS5GZのみの売上値を参考にすれば、少なくともPS4売上は3万台以上になると考えられます。

 

 恐らく多くのユーザーはFF15でPS4を購入する可能性が高い

ここまであくまでも参考値ではありますが、ソフト売上、PS4売上に関する動向を述べてきました。PS4を牽引するというソフトに関していえば、FF零式HDと同日に人気のFPSシリーズの最新作“バトルフィールドハードライン”も発売されています。次週の3月26日にはコアゲーマーをファン層として持つソウルシリーズの最新作”Blood Borne”の発売が控えていることや、半年以上先の話になってしまいますが9月にはMGS5が発売となり、PS4を購入する動機足り得る見通しとなります。

しかし、PS3発売から3年後という月日が経過していたにも関わらず驚異的なソフト売上、本体売上を記録したFF13のことを考えれば、やはり多くのユーザーがFF15と同時にPS4を購入したいと考えているのかもしれません。

FF15の発売日はまだはっきりとされていませんが、今回のFF零式HDのソフト、そして本体に関する正確な売上情報が発表され次第、それはFF15というソフトがどれだけのポテンシャルを持つタイトルなのかを示すものとなるでしょう。

Photo by wikimedia [参考文献・注釈]

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