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4月は、季節の変わり目と共に環境の変わり目でもあります。生徒として、学び場を先に進め、新しい環境で勉強をする人、そして先生あるいは教授として、新しい環境で指導する人も少なからずいると思います。

そこで今回の記事では、「講義とは何だろうか」「テクノロジーと教育」「未来の教育」など、教育について考えていきます。

以下の文章は、米国マサチューセッツ工科大学で言語学の教鞭を執るノーム・チョムスキー教授が、『WISE(The World Innovation Summit for Education)』のインタビューで語った内容をまとめたものです。

 

 講義とはなんだろうか

20世紀を代表する物理学者のヴィクター・フレデリック・ワイスコフは、「この授業の講義内容はなんですか?」という学生の質問に対し、以下のように答えました。

『本当に大切なことは、“ここで何が講義されるか”ということではなく、“君たちがこの講義を通して何を見つけるか”なんだよ。』

講義を通して何かを発見できるということは、“自分の頭で物事を考える人(independent thinker)”になる準備が整っているということです。“教育”とは本来、学生の“自分の頭で物事を考える力”を育むために施されるべきなのです。

“講義”とは、教授から教えられたことを学生がただ確認していく一元的なものではなく、何かを発見することを目的として学生と教授が共に創りあげていく双方向的な“学びのプロセス”のことです。

 

 テクノロジーが教育にもたらす利益

授業に生身で参加する機会を得られない人にとって、テクノロジーを通じた教育は次善の策だと思います。

しかし、インターネットは単なる技術でしかありません。つまり、世界中の人と建設的な対話をし、様々なことを学び、熟考するためのツールになることもあれば、利用者の注意を無意味なアクティビティへと逸らし、彼らを商業的ないしは政治的なプロパガンダに触れさせるツールにもなり得るのです。

目の前にある機会をどのように活かしていくかは、我々次第ということです。

 

 未来の教育

“教育”を、これまで通り“空の器に水を注ぐこと(教諭から学生へと知識を伝えていく一元的な行為)”と見なすか、”学生が自分の頭で物事を考えるために機会を与えること”と見なすかの選択がとても重要であると思います。

後者の“教育”を通して、学生は自分の頭で物事を考える力を高め、自由な社会の生産的な人間になっていくことを学んでいくのです。

 

<編集部コメント>

3月30日付日経新聞朝刊にて東京大学の新学長に就任した五神真氏も、これから東大を「自ら考え、新しい知を生み出し、人類社会への活用に向け行動する意欲満ちあふれた人材、「知のプロフェッショナル」を育てる場にしたいと述べています。

また、チョムスキー氏自身、インタビュー(*1)の中で理想の教育を子どもの創造性(Creativity)と創作力(Inventiveness)をのばすものだとしています。21世紀の日本社会においても、ますます創造性は重要視され、そのような人材を育てる教育が必要とされています。

*1『知の逆転』(NHK出版 2012年)所収 Translated by  Kazuhisa Orikawa, Cited by Noam Chomsky WISE Exclusive Interview

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