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日本から飛行機で7時間、東南アジア南部に位置するインドネシアは世界でも有数のリゾート大国です。インドネシア共和国観光省公式ページによれば、インドネシアを代表するリゾート地バリ島の観光客数はここ10年で約3倍増加しました。(2004年が約112万人、2014年が370万人)

白い砂浜と透明度の高い海を目当てにインドネシアを訪れる人も多いはずです。

しかし、インドネシアの白い砂浜に立つ観光客は、目の前に広がる海峡が世界で最も危険な水路だとは思いもよらないでしょう。

 

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photo by History of Piracy in Asia

以下の文章はTIMEが公開した動画「History of Piracy in Asia」を抄訳したものです。

マラッカ海峡を含むインドネシア周辺の海域では、現在も海洋当局が世界最古の国際犯罪である“海賊行為”の取り締まりに悪戦苦闘しているようです。東南アジア海域では、近年海賊による船舶への襲撃が増加していますが、この“海賊行為”は今に始まったことではなく、昔からこの海域で確認されていたようです。

19世紀には、ピストルと短剣で武装した海賊がしばしば、当時極東の支配権を狙っていた海軍大国のオランダとイギリスの船舶を奇襲し、絹や宝石、香辛料、ブランデー、さらに生身の人間をも攫っていました。

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photo by History of Piracy in Asia

数多くの島々が存在する東南アジアの海域はあまりにも広大であったため、世界最大の海軍をもってしても統制することができませんでした。

第二次世界大戦以降、インドネシアのリアウ諸島周辺は巨大な海賊組織の主要拠点となっています。

この地域では、海賊という犯罪組織が、近海の漁師や船乗りにとって“儲けの良い”第二の勤め先となっているようです。

1990年代の半ばには、東南アジアの海賊は自動小銃や『マチェーテ』と呼ばれるナタで武装し、より暴力的な犯罪組織となっていきました。

1995年から2013年までの18年間に、アジア海域を縄張りとする海賊によって殺害された人の数は136人までに上っています。この数字は、アフリカ海域を縄張りとする海賊による犠牲者数の約2倍にあたります。

かつての海賊は香辛料貿易の航路を渡る船舶を襲撃していました。

しかし現在では、中国の経済成長に伴い、世界の約1/3の海上貿易と約1/4の石油輸送の航路が集中している東南アジアの海域で海賊による輸送船の襲撃が数多く確認されているようです。

実際、2014年には、数百万ドル相当の石油が海賊によって奪われたとされています。

さらには、不法な“金儲け”を目論む人々が、次々に“海賊ビジネス”に足を踏み入れています。

海上安全の専門家は「不当とは言え莫大な利益をもたらす“海賊ビジネス”は今や海上だけでなく、陸上の人々をも巻き込んだ大きな“うねり”となっている」と深刻な危惧を示しています。

 

<編集部コメント>

漫画や映画などの創作作品における海賊はロマンに満ちたイメージで描かれることが多いですが、実在する海賊たちは、ロマンという言葉とはかけ離れているように思えます。彼らの海賊行為の目的は”ロマン”ではなく”お金”です。

グローバリゼーションが進み、貿易が増加し、海峡間の船の移動が活発になれば、海賊ビジネスはさらに激化するかもしれません。各国はこの古典的な犯罪行為、グローバル化の副作用に対してどのような対応をとっていくのが注目されます。

Translated by Itsumi Miwa, Cited by History of Piracy in Asia, photo by Descrier

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