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誰もが一度は、自分の買ったものを後になって後悔した、という経験があるでしょう。衝動買いをした際などが主に挙げられますが、この現象は買う際には確信を持っていたとしても、何故か起こってしまいます。

しかし、ここで特筆すべき点は、商品の価値はその間に変わった訳ではないということです。ここでの価値は市場における価値ではなく、商品が持っている物理的性質を指しています。これは非常に重要な点で、わたしたちの主観的判断が時間の経過に変わってきている、ということを示しています。

それではなぜ私たちは本来必要としていなかったはずの商品に手を伸ばしてしまうのでしょうか。その大きな要因の中の一つが認知バイアスと呼ばれるものです。

認知バイアスとは、意思決定の際に無意識に作用するフィルターのことで、育った環境や文化、経験な様々な要素からなっています。無意識のうちにかかってしまうこのバイアスの作用により、正確な判断を下すことを困難にしてしまいます。

 

バイアスの具体例

記事画像②

photo by Allan Ajifo

以下、具体的な例を2点挙げて説明していきます。

人は行列のないお店と行列のあるお店を見た際では印象が大きく異なります。行列のあるお店を見た際、「皆が並んでいるこのレストランは良いレストランに違いない」と感じ、自分もその行列に加わろうとします。

これは「ハーディング」という認知バイアスの一種で、他多数の人が価値を感じているものは、自分にとっても価値が高いと判断しやすい、というステレオタイプが影響しています。私たちは他人のとった行動をもとに物事の善し悪しを判断してしまう傾向があるのです。

さらに、自分のとった行動を繰り返す自己ハーディングという現象も起こりやすく、一度自分のとった行動の主観的な価値判断に従って毎回おなじ判断を繰り返してしまうこともしばしばです。

それ以外にも、脂肪分5%と記載されたヨーグルトより無脂肪分95%と記載されたヨーグルトのほうがよく売れるという例があります。

これは「フレーミング効果」と呼ばれる認知バイアスの代表例で、意味が同じであったとしても説明の表現や状況の違いによって、心理的解釈が違ってくるためにおこるものです。人は表面的な情報から短絡的に判断を下してしまう傾向があるのです。

 

 複雑な情報処理を日々こなしている私たち

以上のような認知バイアスは一見厄介に思いますが、人間にとって不可欠なシステムでもあります。

わたしたちは日々、200以上の選択に迫られていると言われています。膨大な量の情報を処理しなければならない際には全て論理的に考えている余裕がなく、無意識下に考える手間を省いて物事の判断を一瞬でおこなえるようになっているのです。

無意識に下された判断は、効率的に物事を選択することができる一方で、合理的でないと思われるような選択をしばしばしてしまいます。これこそが認知バイアスであり、衝動買いなどの原因として作用してしまっています。

これは人間が生きていく上で備え付けたシステムなので、100パーセント避けることはできません。しかしわたしたちには認知バイアスというものが働いている、という認識を持つことで自分の思うようなよりよい選択をできるようになるかもしれません。

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