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 2年を越えた安倍政権

先日、安部首相がアメリカのオバマ首相を訪ね、日米同盟の強固さを共同会見でアピールしました。

今や安倍政権は2年を超え、安定政権としてアメリカを始めとする諸外国との関係向上に努めています。

このように外交で成果を上げている安倍政権ですが、成立当初の最大のスローガンは何だったでしょうか。それは勿論、”アベノミクス”という言葉に集約される経済状況の活性化でした。

 

 現在の景気の状況を数字で振り返る

まだ終わったわけではありませんが、すでにアベノミクスには様々な評価が下されています。日本を民主党時代の不景気から救った政策だ、と言う人もいれば、いたずらに格差を増大させただけだ、と批判する人もいます。

筆者は昨年の5月にも、アベノミクスがもたらした経済への影響をいくつかの景気指標から探る、という記事を執筆しました。

「本当に景気は良くなっているのか?複数の景気指標から現在の経済状態をみてみる」(2014年5月掲載)

本稿ではこの記事の流れを汲み、一年を経てどのような変化が生じたかを見ていきます。

日本経済新聞のサイトで確認することが出来る指標の中から今回は16種類を取り上げ、

経済成長率・企業動向・消費・労働環境・景気の先行き

という区分けで見ていきます。※1

ここから読み解きたいのは次の二点です。

*消費税増税の影響がどれだけ強かったのか、そしてその影響は今も爪痕を残しているのか

*前回の景気指標からは分からなかった労働状況に関する改善がどれだけ見られるか

では、第二次安倍内閣政権が始まった2012年12月26日の一期前である2012年10月からの推移を見ていきましょう。基本的に一番最新の指標までを見ていますが、2015年1-3月期が発表されているものとされていないものがありますのでご了承下さい。

 

 経済成長率について

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やはり消費税増税の影響は大きかったようです。2014年3月まではプラスでしたが、それ以降は一気にマイナスに転じています。ただし、下降傾向が続いているというわけでもなく、一番最後の2014年10-12月の時点ではかなり回復しつつある様子が読み取れます。

 

 企業の動向について

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企業短観とは、景気が良いか悪いか各企業にアンケートをとり[良い]-[悪い](%)の平均を集計したものです。※2

大企業に関しては消費税増税の影響が強く出たわけでもなく、安倍政権が始まってから製造業・非製造業共に上向きが続いています。その中でも非製造業が製造業を上回り続けているようです。

対して中小企業は未だにマイナスを抜け出すことが出来ていません。安倍政権発足後しばらくは上昇傾向が続いていましたが、消費税増税によって大きな打撃を受けたと思われます。現在に至るまでほぼ横ばいで、大きな回復を見せたとはいえない状況です。

こちらは大企業とは対照的に、製造業が非製造業を上回っています。

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営業利益、設備投資は安倍政権に変わってから大きく上昇傾向が続いていましたが、消費税増税の影響が強く出てしまったようです。どちらも駆け込み需要を反映して2014年1-3月に大きく上昇した後、一気に落ち込んでいます。

とはいえ、決してマイナスに陥るというわけではなく、一定以上の水準は保っています。

 

 消費について

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こちらも増税の影響を大きく映し出す指標推移となりました。特に消費支出は増税以降、前年比マイナスのままとなっています。小売業販売額前年比は一時プラスに転じましたが、2015年になって再びマイナスとなってしまいました。

 

 労働環境や賃金について

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現金給与総額は、ボーナスの伸びもあって緩やかではありますがプラスに転じてきています。まだボーナス以外の基本給が大きく上昇しているわけではないようですが、少しずつ庶民生活に結びつく部分が改善されてきているのではないでしょうか。※3

また完全失業率も同様に緩やかではありますが、着実に下降傾向にあります。

ただ、所定外労働時間を見ると楽観視は出来ません。好景気になれば残業が増え、不景気になれば残業が減るというように景気の動向に敏感に反応するこの指標が、消費税増税を境目に減少に歯止めが効かない状況となっています。

総合的に考えると労働状況は、悪化したとも改善されたとも言えない予断を許さない状況と言えるでしょう。

 

 有効求人倍率について

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求職者一人当たりに対する求人の数を示した有効求人倍率は一貫して上昇を続けています。ミスマッチの問題などはあるにせよ、企業側が人材を求める状況は続いているようです。

 

 景気動向指数について

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景気動向に先行する先行指数、景気動向と同時に動く一致指数、景気動向に遅れて動く遅行指数の3つがあります。基準は2010年が100となっております。※4

遅行指数を見れば、これまで日本経済が着実に上向いてきていたことが分かります。ただ、一致指数・先行指数を見ると上向く状況が続くわけではなく、特に先行指数が2014年1月を境目に落ち込んだままの状況が続いているので、やはり楽観視出来ない状況が続きます。

とはいえ、基準値である100をどの指標も下回っていないことを考慮すれば、決して経済状況が悪化したとはいえないのではないでしょうか。

 

 消費税増税の影響は強いが、庶民生活に一定の改善も見られたか

前回の記事(2014年5月)では、好景気を迎えつつも現金給与総額が伸びていないなど庶民生活に結びつくところでは改善が見られないという考察となりました。

対照的に、今回は現金給与総額や完全失業率など庶民生活に直結する部分で良い傾向を示す数字が確認されたという点が注目に値します。

消費税増税の影響は大きかったものの全体として大きく冷え込んだというわけではなく、一時的なショックを与えたに過ぎないものだったのではないかと思われます。

数字だけではわからないミクロな部分の話も勿論あるとは思います。しかし、ひとまず経済全体の状況というマクロな部分において、安倍政権は一定の役割を果たしたと言っても良いのではないでしょうか。

Photo by Pixabay [参考文献・注釈]

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