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世界の全人口約3分の1を占める中国とインドでは、近年、多くの男性が深刻な“結婚難”に直面しているようです。

中国では、5000万人もの裸の枝(中国語で独身男性を意味する)たちが、独身生活を運命づけられています。

一方、インドでは500年間続いた法律が改訂され、男性がカーストや、地域、国といった“枠”を越えて様々な女性と合法的に結婚できるようになるなど、この深刻な問題に対し、措置をとっています。

そもそも、なぜ中国とインドの男性がこのような“結婚難”に陥ってしまったのでしょうか?

その理由としては2つ考えられます。

 

 ① 女性人口の低さ

男児の出生が歓迎される中国やインド社会では、一世代ほど前から胎児の出生前診断が可能になったために、女の子の胎児を中絶してしまう夫婦が増加していました。

新生児男女比が100(女児):120(男児)というような極端な比率を示す地域もみられていたようです。

現在そのようにして生まれた「男女比が非常に偏った世代」が結婚適齢にさしかかっているため、男性人口が女性人口を遥かに上回っています。

実際に、2010年の中国における人口の男女比は、男性約7億500万人に対し女性約6億5500万人であり、男性の数が約5000万人も女性の数を上回る偏った男女比率を示しています。

 

 ②出生率の低下 

新生児の出生率が下がると、若い世代の人口は当然その上の世代の人口よりも少なくなります。

この「若い世代になるほど数が少なくなっていく人口構成」が中国人男性/インド人男性の“結婚難”に拍車をかけているのです。

中国やインドの結婚事情で最も典型的な「年上の男性/年下の女性」という組み合わせを成立させるためには、男性は“自分よりも若い女性”(=自分の世代よりもさらに出生率の低い年に産まれた数少ない女性)を巡って他の男性と競争しなければなりません。

また、その競争率は若い世代になればなるほどどんどん上がってゆきます。このように、年々「若い女性の争奪戦」が苛烈化してゆくのに伴って、未婚男性の数も増加しているのです。

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photo by John Haslam 

 

 更なる深刻化

2060年までに、中国とインドでは「100人の女性に対して160人以上の男性が結婚を望んでいる」という状態になる可能性があると推定されています。

中国とインドでは「結婚していること」が社会的に重要なステータスであるとみなされているため、現在の“結婚難”という状況は、男性たちにとって非常に深刻な問題です。

中国とインドという2つの大国は、この深刻な“結婚難”問題に対し、今後どのような対応をとってゆくのでしょうか。

(上記の文章は、英メディア「The Economist」が公開した動画“Why China and India face a marriage crisis?”を抄訳したものです。)

 

 社会的地位の不平等

ノーベル経済学賞を受賞したインドの経済学者であるアマルティア・センは、1990年発表の自身の論文の中で、中国、アジア南部、アジア西部、北アフリカの地域を合わせると、約1億人の女性が「missing:失われている」と指摘しています。

これは、本来予想される女性の人口よりも約1億人分女性の人口が少ないということです。

理由として、男性優位の社会の中で、女児とわかったことによる中絶や、不平等な医療ケアのため、女性の人口が人為的に減っていることを挙げています。

本来は女性のほうが生物学的には長寿であり、日本や欧米のように医療が男女平等に受けられる地域では、人口比も女性が男性を上回ります。中国やインドで起きている逆転現象は、明らかに不自然な人為的要素が関わっていることを示唆しています。

この問題は、男女の社会的地位の不平等を改めて浮き彫りにします。また、女児の選択的中絶という問題を取り上げて考えれば、途上国での、社会的弱者=女性という構造は、先進国では社会的弱者=障がい児という構造に置き換わります。

いずれにせよ、社会的弱者が選択的に中絶されがちという共通点においては、次元の差はあれど今後も倫理的な議論が必要です。

Cited by Why China and India face a marriage crisis?, Photo by Chris Yarzab

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