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 どんな職業群がなくなってしまうのかを数値的特徴から見ていく

まずはこちらの画像をご覧ください。

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この図では各職業を特徴毎にまとめて位置づけ、それぞれについてどのくらいの職業が人工知能に取って代わられてしまう可能性が高いか、その割合を書き記しています。

前編『日本版・10年後なくなる可能性が高い職業とは(前編)』ではこうした俯瞰的な視点は持たず、具体的な職業名をあげながら人工知能との関連性を見ていきました。中でも、コックと航空管制官については詳しく検討しましたが、その他の職業についてはどうでしょうか?

本来は、各職業について細かく見ていきたいところですが、調査対象になった職業全ての「将来」について見ていくことは非常に大変です。

そこで後編では、これら職業を特徴によって6つのクラスタ(グループ)に分類しました。クラスタそれぞれについて分析を行い、これからの社会においてどのような能力が求められるのか、人工知能に代行され得ない能力とは何なのかを見ていきたいと思います。

また前編にも添付致しましたが、推定結果をまとめたPDFを成いたしました。ご覧頂ければ幸いです。

日本版、10年後に無くなる職業とは(Credo,深澤祐援)

 

 6つのクラスタに分類する

今回の調査では、前編と同様に次の論文に掲載されているデータを基にしました。

『職務構造に関する研究―職業の数値解析と職業移動からの検討―』

用いた数値的尺度についても再度掲載いたします。今回の調査では、人工知能が代替出来る指標として関係が深いと考えた次の指標を用いました。

スキル…「基盤」「数理」「テクニカル」「ヒューマン」「コンピュータ」「モノ等管理」

知識…「科学・技術」「芸術・人文学」「医療」「ビジネス・経営」「語学」「土木・警備」「化学・生物学」

仕事環境…「座り作業」「他者とのかかわり」「屋外作業」「影響度・責任」「流れ作業」

これらの指標は約2から-2の間で表され、各職業について必要な部分であるならばより大きい値に、必要でないのであれば小さな値があてられています。

この数値的指標を用いて、本稿では601の職業を6つのクラスタにしました。※1,※2

具体的な職業としてどのようなものが含まれているか、大まかに見ていきながら特徴を見ていきましょう。

冒頭で示したPDFにクラスタ番号(1から6がAからFに対応)が記されているので、細かい部分についてはそちらをご覧頂ければ幸いです。

クラスタA…スーパー店員やレジ係などある程度マニュアルに添った接客をする仕事が多い。

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クラスタB…水産技術者からアウトドアインストラクターまで多岐にわたる。経験に基づく知識を要求されるものが多い。

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クラスタC…精神科医や薬剤師といった、専門知識によって人と関わる仕事など。

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クラスタD…映画監督や経営コンサルなど、クリエイティブ性を要求される文系職。

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クラスタE…システムエンジニアや数学者など、理系的な研究職など。

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クラスタF…機械組立工など、工場勤務職が多い。

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 それぞれのクラスタの位置付けを俯瞰する

続いて示す図は、横軸にスキル・知識の平均値、縦軸に仕事環境についての平均値を取ったグラフです。

円の大きさはそれぞれのクラスタに含まれる職業数に応じたものになっています。

横軸が個人の内面的な要素、縦軸が個人を取り巻く環境に関する要素だと考えてください。

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横に広く分布するグラフとなりました。つまりクラスタによってスキル・知識の求められる度合いは様々であるということが言えるかと思います。仕事環境については大きな差異はありませんが、クラスタA・B・Fは比較的他者との関係性が薄く流れ作業の多いグループであり、クラスタC・D・Eがそれらに対して責任の伴うグループだと言えます。

 

 各クラスタでどれだけの職業が失われてしまうのか

先ほど示したグラフは各クラスタの状況をまとめてみるためのものでした。このグラフに、クラスタ毎の”人工知能、コンピュータに奪われる職業”の数を基にして算出する分布率を書き足してみます。※3

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なくなってしまう職業が約90%あるクラスタは下側、分布率がそれらよりも大きく下がるクラスタはグラフの上側にある結果となりました。

やはり他者との関係性が要求され、責任の伴う職務が多い職業はまだまだ人工知能やロボットに代替される可能性は非常に低いと言えるのでしょうか。

 

 人工知能に代替されにくい能力、要素とは一体何か

先ほどまでの分析で、内面的な要素よりも仕事を取り巻く環境的な要素の方が重要なのではないかという考えを示しました。

最後に、今回の結果を導く上で、プログラム上、どのパラメータの重要度が最も大きかったのかをグラフにしてみます。※4

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非常に高い重要度を示したのは、ここでは仕事環境ではありませんでした。

知識に関して言えば、芸術・人文学、次いで医療に関するものが高い値を示しました。人工知能に代替されにくい創作性や、人の命を扱う責任が伴う医療という部分が重要視されたようです。

そしてスキルに関しては積極的聴取、話す力、学習戦略、積極的学習、読解力といった知識を吸収する能力等、職業を遂行する上で基本的に重要である基盤スキルが非常に高い値を示しています。

社会人として生きていく上で恐らく必要最低限であるこのスキルが最も高く評価されたことは非常に重要なことだと思われます。

人工知能が如何に台頭し職業を代替していっても、社会を動かすのはあくまでも人間であり、そのスキルをしっかり備えていなければならないと評価される職業は人工知能やロボットではまだまだ代替できないのでしょう。

今後世界は一層、技術革新の荒波にさらされていきます。

しかし、人工知能とうまく付き合っていくためにも、そして新しい技術が台頭してきている今だからこそ、基本的な仕事のスキルを身につけることが肝要なのではないかと思われます。

Photo by pixabay [注釈]

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