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 安保を巡る様々な感情

安倍内閣によって提案された安全保障法案を巡って、賛成・反対、日々様々な意見が交わされています。

その入り乱れた状況を理解することは非常に難しいでしょう。本稿ではその分かり難い状況を少しでも理解するために、関連するツイートを分析してみました。

ツイートをするとき、人々はその時々の感情のままに文章を書いていると思います。そんな、日々雑多に吐き出される「国民感情」を整理・分析することで、安保法制を一般国民がどう見ているかあぶりだすことが出来ないか、と考えたのです。

 

 ツイートを感情・トピック分析してみる

今回「安倍 安保」というキーワードで、検索時点で遡れる最も古い7月19日12時から7月27日の17時までの約3万件のツイートを取得しました。※1

これらツイートについて、「感情分析」と「トピック分析」といわれる手法でその内実を探っていきます。

感情分析とはツイートを、その内容がポジティブなのかそれともネガティブなのかを分類する、というものです。

今回は、ツイートから名詞や形容詞など 文の核となる言葉を抽出しました。

そして、ポジティブなものかネガティブなものかを予め点数で分類した辞書(単語極性感情対応表)を用いて各ツイートに点数をつけ、それがポジティブなツイートかネガティブなツイートかを分類しました。

ただ、この対応表がネガティブに分類される語がポジティブな語よりかなり多く、そのまま点数が0以上のものをポジティブ、0以下をネガティブとしてしまうと、以下のようにほとんど全てのツイートがネガティブに分類されてしまいます。

allnegative

そこで今回は一時間ごとの点数平均よりも上のツイートをポジティブ、下のものをネガティブとして分類しました。

また、同時に行ったトピック分析とは、文章を構成する言葉を抽出し、その言葉の組み合わせを分類して、この組み合わせなら「トピックA」が、またある組み合わせでは「トピックB」が存在するだろうという推測を行うという手法です。

今回は、各ツイートに含まれる語の組み合わせから、そのツイートが属するトピックを推定し、その割合を求めました。※2

 

 感情分析の結果を見てみる

細かい分析内容や手法については注釈をご覧いただくとして、実際に分析した結果を見てみましょう。

negaposimodify

まず、感情分析の結果を見てみます。

平均を基準として分類したこともありますが、予想以上にポジティブに分類されるツイートが多いという結果となりました。

続いて一時間ごとの推移を見てみましょう。

abaanpo1

(パソコンの方はこちらでグラフを細かく操作できます。)

こちらで見てみても、概ね相対的にポジティブに分類されるツイートが多いことが分かります。

しかし、昨今の抗議デモの盛り上がりなどを思い起こせば、安倍政権を巡る感情がポジティブ寄りだという結論は少し意外な結果かもしれません。

なぜ、このような結果になったのでしょうか。続いて、トピック分析の結果からこのことを考えてみたいと思います。

 

 トピック分析の結果を見てみる

続いてトピックの推移を見てみましょう。こちらは12時間ごとにまとめています。

トピックの名前は、そのトピックにおいて頻出する語を示したものとなっています。

abeanpo6

(パソコンの方はこちらでグラフを細かく操作できます。)

少しわかりにくいので、いくつかにフォーカスしてみます。

まず、一時期盛り上がったトピックを示したのが次のグラフです。

abeanpo7

これらトピックの特徴は、その時に広まっていた記事やニュースに言及したものということです。感覚的には確かに出現しやすいトピック群だと思います。

例えば7月20日にはタレントのShellyさんが安保法案に関してツイッターで言及したことをまとめた記事が広まっていました。

http://lite-ra.com/2015/07/post-1306.html

それぞれの時間帯で頻出していた記事をまとめてみました。

7月19日~20日:『海外メディアが暴くメディアタブー日本会議の正体(クーデタ・神政)

7月21日~22日:『現役のヤクザ100人に安保法制について聞いてみたら意外な結果が…「安倍は人を殺すってことを分かってない」の声も』(ヤクザ・

現役・100人)

7月22日午後~7月23日午前:『安保法制で「バカの壁」化する安倍政権ー不誠実な説明、「ウソも繰り返せば本当になる」的な手法』(不誠実・バカの壁)

7月23日午後~24日午前:『安倍総理、台湾・李登輝元総統と会談 李登輝氏「安倍政権の安保法制を高く評価する」 テレビ東京「中国の反発も予想されます」』(台湾・李登輝)

7月24日午後~26日午前:『日比谷野音を埋め尽くした「安倍政権NO!!」のプラカード、安保法案反対の市民集結』

『「安倍政権NO!」と参加者気勢 安保、TPP、原発で集会』

(集結・プラカード・TPP)

7月26日午後~7月27日17時:『安保法案反対のママたち「渋谷ジャック」街宣デモ「だれの子どもも、ころさせない」』(渋谷・主婦・デモ)

続いて、一時期頻出するトピックではなく、長期間一定割合存在するトピック群を抜き出してみます。

abeanpo5

目的・共産党・アベ・答弁・侵略

これらのような言葉が多く属するトピック群は、常に一定割合以上話題になる性質を持っています。ツイート内でリンクを引用することなく言説を述べる際にはこうした言葉が頻出する傾向が見られます。

 

 感情とトピックの対応をもう少し細かく見てみる

わかりやすくするために、先ほどの感情分析時系列グラフに、その時間帯で一番大きかったトピックを重ねてみました。

abeanpo2

こうして二つの分析結果を合わせて見てみると、デモに対する反応が賛否両論であるのに対して、例えばShellyさんの発言が話題になっている時はポジティブツイートが多いなど、安倍政権を直接的に避難するネガティブな内容よりも、反対行動を取っている誰かを擁護する、肯定する趣旨のツイートが比較的多かったのではないか考えられます。

 

 話題となっているトピックは安部政権に反対するものがほとんど

今回の感情分析の結果ではポジティブの方がネガティブよりも少し多いという結果を得ました。

しかし、話題となっているトピックの内容について見てみると、7月23日から24日にかけての保守速報の記事を除けば、それ以外は全て安部政権に対して反対の意見を述べているものがほとんどでした。

つまり、そうした安部政権に反対するトピックについてポジティブなツイートが多く見られたということは、安部政権を支持しない機運が少なくともTwitterで展開される議論の中において多数を占めていると考えられると思われます。

最近の支持率調査で、発足以来初めて不支持率が支持率を上回った安部政権は、やはり今回の安保法案を起点として苦しい状況に陥っていると言えるのではないでしょうか。

アベノミクスによる経済再建も道半ばの安部政権ですが、今後この流れを変えることができるのでしょうか。それともこのまま政権を退くことになってしまうのでしょうか。

今後の政局に注目が集まります。

Photo by Pixabay [注釈]

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